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ボクシングデイに行われるG1キングジョージ6世チェイス

  • 2020年12月23日(水) 12時00分

このレース3連覇を狙うクランデゾーボウ


 1年を通じてほぼ毎日のように競馬開催のある英国だが、そんな中で唯一の例外がクリスマスで、今年も12月23日から25日の3日間は、競馬開催が全くない。その分、開催ラッシュとなるのが、ボクシングデイという祝日にあたる12月26日で、コロナ禍で開催が制限されている今年でも、英国・愛国をあわせて6ヵ所の競馬場で開催がある。

 中でもファンの注目が高いのが、この日にケンプトン競馬場で開催される、スティープルチェイス3マイル路線における前半戦の総決算となるG1キングジョージ6世チェイス(芝24F、障害数18)だ。

 昨年のこのレースで1・2着となった、ともにポール・ニコルスが管理する2頭の一騎打ちムードというのが、今年の同競走を巡る勢力分布である。2018年・19年に続く、このレース3連覇を目指すのがクランデゾーボウ(セン8、父カプガルデ)だ。

 仏国産馬で、祖国でナショナルハントフラットを1戦走った後、15/16年シーズンからニコルス厩舎の一員となり、障害デビューを果たした同馬。初年度はハードルを3戦して1勝した後、16/17年シーズンからスティープルチェイスに転身。このシーズンは6戦し、G2で1勝を挙げたが、シーズンで唯一のG1挑戦となったサンダウンのG1シリーアイルノーヴィスチェイス(芝20F10y)では5着に敗れており、ことさらにファンの注目を集める馬ではなかった。

 次のシーズンは4戦して1勝。最終戦となったエイントリーのG1ベットウェイボウルチェイス(芝24F210y)では3着に食い込んだから、着実に地力を強化していたことは間違いない。本格化したのは18/19年シーズンで、この年のG1キングジョージ6世チェイスでG1初制覇。この路線のシーズン総決算となるチェルトナムのG1ゴールドC(芝26F70y)は5着だった。

 19/20年シーズンのG1キングジョージ6世チェイスは、2着サーネイムに21馬身差をつける圧勝。その一方で、G1ゴールドCは8着に敗れている。

 20/21年シーズンの始動戦となったのが、11月21日にヘイドックで行われたG1ランカシャーチェイス(芝25F125y)で、ここはブリストルデマイの2着だった。ケンプトンのコースを滅法得意としており、さらに、ハードル時代を含めてここまで22戦して落馬が一度もないという、飛越の巧みさがこの馬の強味である。

 一方のサーネーム(セン8、父ニックネーム)も仏国産馬だ。祖国でナショナルハントフラットを1戦、ハードルを2戦走った後、16/17年シーズンからニコルス厩舎に加わっている。ハードルを更に3戦した後、17/18年シーズンからスティープルチェイスに転身。このシーズンに既に、ケンプトンのG2ウェイワードラッドノーヴィスチェイス(芝16F)、同じくケンプトンのG2ペンディルノーヴィスチェイス(芝20F110y)の2重賞を制した他、サンダウンのG1シリーアイルノーヴィスチェイスで2着に入り、この路線の注目株と目されることになった。

 18/19年シーズンの4戦目となった、アスコットのG1アスコットチェイス(芝21F8y)を制し、待望のG1初制覇。このシーズンはこの1戦をもって終了し、シーズンオフの間にノドナリの手術を受けている。

 19/20年シーズン初戦となったアスコットのG2クリスティ1965チェイス(芝21F8y)を制し4度目の重賞制覇後、ケンプトンのG1キングジョージ6世チェイスはクランデゾーボウに21馬身差を付けられての2着。その後、連覇を狙ったG1アスコットチェイスでは最終障害で飛越に失敗。入障18戦目にして初の競走中止を経験した。

 20/21年シーズンの始動戦となったのが、10月31日にウェザビーで行われたG2チャーリーホールチェイス(芝24F45y)で、ここを2馬身差で制しての参戦となっている。

 この2頭に、ブックメーカー各社は2.75〜3.0倍のオッズを提示し、ほぼ横並びで1番人気としている。いずれにしてもポール・ニコルスが、現在保持する11勝というこのレースの最多勝記録を12に塗り替える公算が、きわめて大きくなっている。

 昨季のG1ゴールドC2着馬サンティニ(セン8、父ミラン)、昨季のG1ランカシャーチェイス(芝25F125y)勝ち馬で、連覇を狙っての出走だった11月21日のランカシャーチェイスは3着だったロストイントランスレーション(セン8、父フレメンスファース)、昨季のG1ゴールドC4着馬で、今季初戦となったサーレスのLRブーメランチェイス(芝22F)3着のモナリー(セン9、父ミラン)の3頭が、オッズ7〜10倍で3番人気を争っている。

 26日のケンプトンでは、G1キングジョージ6世チェイスに加えて、G1クリスマスハードル(芝16F)も行われる他、翌27日には愛国のレパーズタウンでG1パディーズリワーズクラブチェイス(芝17F)が、28日には同じくレパーズタウンでG1愛クリスマスハードル(芝24F)と、G1サヴィルズチェイス(芝24F)が組まれており、クリスマス明けは見逃せないレースが目白押しとなっている。

 日本の競馬ファンの皆様も、暮れはヨーロッパの障害戦をぜひお楽しみいただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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