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【兄弟対談】「お兄ちゃん!……じゃない? ビックリするくらいの先輩感」/藤岡康太騎手 第1回

  • 2021年01月06日(水) 18時02分
with 佑

▲佑介騎手の弟・藤岡康太騎手がついに登場! (撮影:桂伸也)


満を持しての初登場! 2021年最初の『with 佑』は、佑介騎手の弟・藤岡康太騎手をゲストにお招きします。3つ違いの兄弟で、同じジョッキーの世界で生きる先輩後輩でもあるふたり。普通の兄弟よりも距離が近いのか、それとも遠いのか…? 知られざる、リアルな兄弟関係に迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)

いまだに定まっていない、兄弟の“呼び方”問題


──新年一発目の『with 佑』は、満を持しての兄弟対談です!

康太 よろしくお願いします(笑)。

佑介 大昔に一度、『優駿』で対談したよな。

康太 ああ、俺がデビュー2、3年目の頃ね。

佑介 そうそう。だから、10年ぶり二度目ということで、よろしくお願いします(笑)。

──素朴な疑問なのですが、普段、康太さんは佑介さんのことをなんて呼んでます?

康太 これがね、何パターンかあって、いまだに定まってないんですよ。まずは普通に「兄ちゃん」。あとは先輩ですし、仕事場で会うことも多いので、周りに違うジョッキーや関係者がいるときは「佑介くん」。

佑介 ジャニーズみたいやな(笑)。

康太 もうひとつは、周りの雰囲気に便乗して「佑介」。まぁ「兄ちゃん」か「佑介くん」が多いかな。ふたりで話しているときは、「ねぇ」とか「あのさ」とか、名前を呼ばないし。

──なるほど(笑)。さっそくですが、兄弟対談のお約束として、子供の頃のお話などを。3つ違いですが、子供の頃の佑介さんはどんなお兄さんでした?

康太 そうやなぁ、けっこうケンカばっかりしていたイメージがありますね。

佑介 そう? 俺はそういう印象がないねんけど。まぁ男同士だから、遊んでいるなかで小競り合いはあったよな。

康太 ゲーム絡みで2回揉めたのはすごく覚えてる。1回はゲームボーイを投げつけられたのと、もう1回は俺がクリアしようと思っていたドラクエを兄貴が「俺もやりたい」って言い出して…。

 普段はゲームなんかしないのに、そのときはなかなか返してくれなくてさ。「返して」ってお願いしたら、「うるさい!」って言いながらコントローラーを投げて、それがソフトに当たって俺のセーブが消えるという(苦笑)。

佑介 アハハハ! 我ながら酷い(笑)。

with 佑

▲兄弟喧嘩トークに「我ながら酷い(笑)」と佑介騎手 (撮影:桂伸也)


──佑介さん、最後は投げる系(笑)。

康太 僕もね、しつこいんですよ。

佑介 さっき康太とケンカしたイメージはあんまりないって言ったけど、ケンカした日の夜に康太が叫ぶことがあって、よく「お前が泣かすからや!」って親父(藤岡健一調教師)に怒られたのを思い出した。そう思うと、けっこうケンカしてたんだな。

康太 俺も親父にはよく怒られた記憶があるんだけど、大人になってから子供の頃の話を聞くと、兄貴のほうがよっぽど怒られてた(笑)。

佑介 たぶん康太の比じゃないよ。「康太は怒り切れへんかった」って、いまだに親父がよく言ってるもん。康太は謝るのが上手かったらしい(笑)。

康太 アハハハ! 俺が泣いて謝るのが面白くて、怒り切れんかったんやと思うわ。

佑介 そうそう。「怒ってるのに笑ってしまう」って言ってた(笑)。

子供の頃の夢は、ペットショップの店員か獣医


──完全にキャラ得ですね。3つ違いだと、けっこうお兄さんの影響って大きいと思うのですが、やはりジョッキーを目指したのも佑介さんの影響ですか?

康太 乗馬を始めたのは兄貴の影響ですけど、ジョッキーになりたいとはそれほど思っていませんでしたね。当時から動物は好きだったので、低学年の頃はずっとペットショップの店員さんになりたかったんです。ちょっと獣医もいいなと思った時期もあったんですけど、血を見るのが苦手で。

佑介 そりゃダメだ(笑)。

──でも結局、佑介さんの後を追うようにジョッキーになって。佑介さんいわく、康太さんがデビューした当時は「弟というより完全に後輩という感じだった」とのことですが、康太さんにとって、デビュー当時の佑介さんというのはどんな存在でしたか?

康太 「お兄ちゃん」のつもりで接しようと思ったら、ビックリするくらい先輩感を出していました(笑)。それは鮮明に覚えています。3つ違いなので競馬学校も入れ替わりで、兄貴が家を出てから丸々6年間、まともに会っていなかったんです。

 で、僕がデビューとなって、6年ぶりにちゃんと会ったのに「おぅ」くらいな感じで。「あ、先輩なんや」って衝撃を受けたのを覚えてます(笑)。

佑介 俺は俺で、どう接したらいいのかわからなかったんだと思う。だから、後輩のひとりという感じで接したんじゃないかな。

 もともと精神年齢的には実際の年齢差以上に離れているようなところがあって、俺は俺で子供の頃から大人っぽい面があって、康太は康太で年齢以上に子供っぽかった。家にいたらふたりで遊ぶこともあったけど、基本はバラバラで、俺は年上の友達と遊ぶことが多かったし、康太は同級生とか年下と遊んでたよな。

康太 うん。そういえば、小学6年生のとき、同じ学区内の1年生がアポなしで遊びに来たことがあったな。「コータくん、あそぼ!」って(笑)。で、みんなで普通に遊んでた。

with 佑

▲康太「小学6年生のとき、1年生と普通に遊んでた」 (撮影:桂伸也)


──キャラの違いが浮き彫りになるエピソードですね。

佑介 そんな感じなので、3つ違いでもそんなに近い存在という感じじゃないんです。

──なるほど。とはいえ、康太さんは佑介さんの背中を見てジョッキーになったわけですからね。先に佑介さんが競馬界にいたことで、どんなメリット、デメリットを感じました?

康太 名前を覚えてもらいやすいっていうのはすごく感じました。デメリットは……ないんじゃないかな。

佑介 俺の弟ということで覚えてもらいやすかったかもしれないけど、なかなか「康太」という名前自体は浸透しなかったような…。

康太 そうそう! しばらくは「コウスケ」とか「ユウタ」とか。普通に俺のことを「佑介」って呼んでた人もいたな(笑)。

(文中敬称略、次回へつづく)
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with 佑とは
JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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