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北米における2020年のリーディング・サイヤー

  • 2021年01月13日(水) 12時00分

イントゥミスチフの時代を迎えている


 先週のリーディング・ホースマン編に引き続き、今週は2020年の北米におけるリーディング・サイヤーをご紹介したい。

 ブラッドホース誌の集計によると、2020年の総合リーディングはスペンドスリフト・ファームで供用されているイントゥミスチフ(父ハーランズホリデー)で、2年連続での首位奪取となった。産駒の総収得賞金2172万5335ドルは、タピットが2016年にマークした1998万3173ドルを上回る、北米における種牡馬の年間賞金収得額の新記録となった。2位となったアンクルモーの収得賞金は、イントゥミスチフの半分以下となる1051万4310ドルだったから、文字通りのダブルスコアによる大楽勝だった。

 出走頭数の394頭、勝ち馬頭数の182頭、ブラックタイプステークス勝ち馬数の29頭も、いずれもそれぞれの部門で首位に立っている。

 稼ぎ頭は、G1ハスケルS(d9F)、G1ケンタッキーダービー(d10F)、G1BCクラシック(d10F)という3つのG1を制したオーセンティックだった。

 そのオーセンティックは昨年一杯で引退したが、今年の3歳世代にも、G3シャムS(d8F)を含めて2戦2勝の成績を挙げ、ケンタッキーダービーの前売り1番人気に推されているライフイズグッド(牡3)や、G1フリゼットS(d8F)を含む重賞2勝馬で、ケンタッキーオークスの前売りで3番人気前後に推されているデイアウトオヴジオフィス(牝3)といった大物候補がおり、3年連続リーディングが視界に入っている。

 2位は前述したように、アシュフォード・スタッドで供用されているアンクルモー(父インディアンチャーリー)だった。2020年に送り出した重賞勝ち馬数14頭は、イントゥミスチフの12頭を上回り、この部門でトップに立っている。ただし、この14頭の重賞勝ち馬の中にG1勝ち馬が1頭もいないあたりが、首位に大きく水をあけられた要因の1つと言えそうだ。

 こちらも、チャーチルダウンズのG3ポカホンタスS(d8F)の勝ち馬で、ケンタッキーオークスの前売りで4〜6番人気に推されているガールダディ(牝3)、G2BCジュヴェナイルターフスプリント(芝5.5F)勝ち馬ゴールデンパル(牡3)といった手駒が3歳世代におり、21年のリーディング争いでも上位に食い込むことになりそうだ。

 3位は、ヒルンデール・ファームスで供用されているカーリン(父スマートストライク)で、収得賞金は991万9794ドルだった。

 2歳リーディング・サイヤーも、産駒が314万2014ドルを獲得したイントゥミスチフで、総合部門とあわせてダブルタイトルを獲得した。

 出走頭数の92頭、勝ち馬数の36頭、ブラックタイプステークスの勝ち馬数6頭は、いずれも各部門の首位で、北米はまさにイントゥミスチフの時代を迎えていると言えよう。稼ぎ頭は、前述したデイアウトオヴジオフィス(牝3)だった。

 そして、2歳リーディングの第2位が、フレッシュマンサイヤー・チャンピオンとなったナイキスト(父アンクルモー)だった。

 自身が2歳時、G1BCジュヴェナイル(d8.5F)など3つのG1を含む無敗の5連勝を飾り、全米2歳牡馬チャンピオンの座に輝いたのがナイキストだ。3歳春も連勝を継続し、史上8頭目となる無敗のケンタッキーダービー優勝馬となっている。続くG1プリークネスSで3着に敗れ、連勝がストップ。これを皮切りに3連敗を喫し、3歳シーズンをもって引退。2017年にダーレー・アメリカで種牡馬入りし、初年度の種付料は4万ドルだった。

 G1BCジュヴェナイルフィリーズ(d8.5F)勝ち馬ヴェキスト(牝3)、G1サマーS(芝8F)勝ち馬グレツキーザグレート(牡3)と、2頭のG1勝ち馬を輩出。総収得賞金は242万4083ドルで、新種牡馬ランキング2位のラオバン(父アンクルモー)に86万ドルの差つける圧勝だった。自身の経歴からして、2歳戦向きであることは明白で、そういう意味では、最有力候補がフレッシュマンサイヤー・チャンピオンになったと言えそうだ。

 ナイキストの2021年の種付け料は、7万5千ドルにアップすることが既に発表されている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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