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モーリス産駒初の重賞勝利 粘り強い脚質は大きな武器に

  • 2021年01月12日(火) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・1/10 シンザン記念(GIII・中京・芝1600m)
 意表をついてハナに立ったピクシーナイトが後続を寄せ付けず逃げ切りました。1番人気で3着と敗れた前走の秋明菊賞はスタートで大きく出遅れる不利。力を出し切れば重賞を勝てるだけの能力があることを今回の楽勝劇で証明しました。

 父モーリスは現3歳世代が初年度産駒で、これが初めての重賞勝ち馬となります。昨年12月の最終週にドゥラメンテに逆転を許し、ファーストシーズンサイアーチャンピオンの座を逃しましたが、その鬱憤を晴らすかのように、新年早々重賞勝ち馬を出しました。2着ルークズネストもモーリス産駒です。ライバルのドゥラメンテは重賞出走数は多いもののまだ勝ち馬は出していません。

 前後半のラップは46秒3-47秒0。逃げ馬にとってはきつい流れでしたが、ラストの瞬発力よりもスピードの持続力に強みがあるモーリス産駒にとっては、むしろ持ち味を活かせる流れだったといえるかもしれません。母ピクシーホロウも現役時代は逃げ馬でした。先に行って粘り強い脚質は、前が止まりにくい馬場になりやすいビッグレースでも大きな武器となるはずです。

・1/11 フェアリーS(GIII・中山・芝1600m)
 中団に控えたファインルージュが直線で外から豪快に突き抜けました。8月の新潟新馬戦(芝1200m)で2着と敗れたあと、10月の東京未勝利戦(芝1400m)を2馬身差で勝ち上がり、このレースに臨んでいました。距離を延ばすにしたがって良さが出てきており、今回2着馬につけた「2馬身半差」は、フェアリーSが芝1600mになった09年以降、11年のダンスファンタジア、20年のスマイルカナと並んで最大です。

 父キズナは初年度産駒の現4歳世代から6頭の重賞勝ち馬を出していますが(北海道2歳優駿のキメラヴェリテを含む)、2世代目の現3歳世代からはこれが初の重賞勝ち馬となります。4歳世代限定の種牡馬ランキングはディープインパクトに次ぐ第2位、3歳世代限定ではディープインパクト、モーリス、ドゥラメンテに次ぐ第4位。ディープインパクトがフェードアウトする数年後は、ロードカナロア、モーリス、ドゥラメンテ、エピファネイアといった面々とリーディングサイアーの座を争うことになりそうです。

 2020年の種付けシーズンからノーザンファームが手厚くサポートするようになったので、2021年生まれの産駒が競馬場に姿を現せば、現在よりもワンランク上の産駒実績を残す可能性があります。ファインルージュは馬体重が492kgと牝馬にしては馬格に恵まれており、半姉レンブランサとエストは古馬になってからひと皮むけたので、まだまだ伸びる余地があるでしょう。

今週の血統注目馬は?


・1/16 響灘特別(2勝クラス・小倉・ダ1700m)
 登録馬の父のなかで小倉ダ1700mに強い種牡馬はオルフェーヴル。連対率30.5%は、2011年以降、当コースで産駒が20走以上した125頭の種牡馬のなかで第2位。当レースに登録のある馬の父のなかでは第1位。当レースにはアドマイヤビーナスが登録しています。ここ3走いずれも2着となっており、クラス実績は文句なし。そろそろ順番でしょう。

今週の血統Tips


 2020年の北米種牡馬ランキングはイントゥミスチーフが首位の座につきました。獲得賞金2218万8256ドルは、2016年にタピットが記録した1998万3173ドルを更新する歴代最高記録で、初めて2000万ドル台に到達しました。ビホルダー(米G1を11勝した女傑)、メンデルスゾーン(BCジュヴェナイルターフ、UAEダービー)の半兄にあたる良血で、父系はハーランズホリデー→ハーラン→ストームキャットとさかのぼります。現役時代にキャッシュコールフューチュリティ(米G1・AW8.5ハロン)を勝ちました。

 2020年はオーセンティック(ケンタッキーダービー、BCクラシック)、ガミーン(BCフィリー&メアスプリント)が好成績を挙げました。日本でもこれまで12頭が出走して10頭が勝ち上がり、未勝利の2頭はいずれも3歳馬なので、いずれ勝ち上がれそうです。日本では芝4勝、ダート14勝と完全にダート向きです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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