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【シンザン記念/4歳以上1勝クラス】現代のスピード競馬で求められる“馬の御し方”

  • 2021年01月14日(木) 18時00分
哲三の眼

シンザン記念を制したピクシーナイト(C)netkeiba.com


2021年最初にピックアップするのは中京競馬場から、シンザン記念と9日の12R(4歳以上1勝クラス)の2レース。シンザン記念をピクシーナイトで勝利した福永祐一騎手、そして9日の12Rをイバルで勝利した小崎綾也騎手の騎乗から、スピード競馬で勝つために、本当に大切な馬の御し方とは一体何なのか。哲三氏ならではの視点で語ります。

(構成=赤見千尋)

今年の祐一君もやるな、と感じた一戦


 今年最初に取り上げるレースはシンザン記念。4番人気ピクシーナイトが逃げて快勝しました。前走でスタートの駐立が悪かったことをしっかり修正してきたのは厩舎陣営のファインプレーだったと思いますし、タイミングを上手く掴んでゲートを出せたというところは(福永)祐一君のファインプレーだったのではないでしょうか。

 ピクシーナイトは今回初めてのマイル戦で、距離延長というパターン。距離的に確信が持てない段階で、馬場状態を含めてハナに行って勝ち切ったところがさすがだなと。

 僕が現役の頃はハナに行かない方がいい風潮というか、どれだけ脚を溜めて最後に弾けるかという競馬が主流でした。僕としてはハナに行くから折り合えることもあるし、先頭に立つとソラを使うということもその特性を生かせばいいと考えていて。だから僕は変わり者だと言われていたんですけど(笑)。

 現在はスピード競馬になって、スピード感、スピードを出していったものに対してどうなってくるかということが大切になっていると思います。そういう部分で祐一君の進化というか、コントレイルに乗って掴んだ感覚もあると思いますし、そこからさらに違うスピード感覚、御し方というのが馴染んできたという風に感じています。

 細かい技術は人それぞれですが、今回の祐一君の騎乗は馬の回転に合わせた理に適った騎乗をしているなと。昨年の活躍も素晴らしかったですが、今年の祐一君もやるなと感じましたし、また楽しい競馬を見せてくれそうだなと思いました。

 祐一君の場合はある程度極めてきているレベルなので、今そういう乗り方に試行錯誤しているように感じる若手の騎乗をご紹介したいと思います。

約500kgある体をスピードに乗せずに御し切ってしまったら…?


 小崎(綾也)君が、土曜日の最終レースでとてもいい勝ち方をしていました。これまでの小崎君は、僕から見ると消極的というか、形を考え過ぎているという風に見えていて。もちろん勝つために考えているわけですが、最初にスピードに乗せずに自分の思い通りの形を作ってしまうと、ゴール前伸び切れず、手ごたえほど伸びず、ということに繋がると僕は考えているわけです。

 その中でずっと試行錯誤しているなというのは感じていましたが、年末に3着だったレースがあったんですけど、接戦の3着争いを横一線で抜け出してきたレースを見て、「おっ!」と思いました。

 最近のレースはポジションを取りにいくという意思表示がずっと見えていて、それが3着だったけど繋がってきたかなと感じて、さらにそれが先週土曜日の最終レースに繋がったのではないかと。

 スタートは速くなかったのですが、向正面くらいからスピードに乗せていって、スタートから32秒辺りのところから、前の馬と接近してきてちょっと抑える場面があるんです。以前の小崎君だったら、こういう場面で抑えたら次に進まなくなる形が多かったというか、抑えてしまったら流れに乗り難い形が多かったように思います。

哲三の眼

イバルと小崎騎手(ユーザー提供:ワラビさん)


 でも今回は抑えても馬の方がグイグイ伸びようとしている。もちろん馬に力があるということもありますが、最初にスピードに乗せるレースを心がけていたから、馬のスピードの乗りが良くなっているんですよね。

 これは僕の持論ですが、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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