スマートフォン版へ

やるじゃん、高知!

  • 2021年01月23日(土) 12時00分

“競合”回避は今後の重要課題


 今回は高知競馬の話。斎藤修さんのコラムに書かれていたように、17日(日)の売上が10億円を超えました。

 翌18日(月)、NHKの番組で同競馬の“復活”が取り上げられると、その効果もあってか、19日(火)は11億6000万円あまりを売って新記録をマーク。と思ったら、翌20日(水)にはさらにそれを塗り替えて、売上は12億6000万円あまりに達しました。

 斎藤さんが「高知では“コロナ対策支援競走”を実施中」と書いたのも、ファンのみなさんに対して、さらなるご購入を呼びかけるPRになったかもしれません。

 開催するごとに1億円ずつ売上が増えるという、実に喜ばしい状況。このままでいくと、3月16日(火)、黒船賞が開催される頃には、1日35億円くらいになり、年度末には一番売れなかった2008年度の1年分(約38億円)を1日で売ってしまう計算になるんですが……。

 それは冗談として、今や高知では在厩馬の数も増え、その分だけ多くのレースを開催できるようになりました。2008年の年度末、09年2月の開催日数は6日だけ。それが来月は12日と倍増しています。これも、高知が“負のスパイラル”を脱して、見事“好循環”に転じたことの証しでしょう。

 さらに、来月の開催は日、火、水の週3日間にパターン化されています。日曜ナイターは、JRAの開催が終わった後の誘客(もちろんネット上で)を狙ったもの。しかしそこは、ばんえいと佐賀が“競合”しています。

 これは致し方ないとして、平日を火、水曜日に設定しているのがミソ。ホッカイドウ競馬が冬休み期間中で、月曜ナイターを開催しているばんえいとも“競合”しません。南関東でナイターがなければ、“ヨルノケイバ”を独占できます。「やるじゃん、高知!」

 かつて、地方競馬の日程を“競合”させないように調整するのは至難のワザでした。ネット発売の普及前で、集客を見込める土日祝日に開催したい、と考えるところがほとんどだったからです。

 20年ほど前、“九州競馬”と銘打って、佐賀、荒尾、中津の3場が相互連携を図ろうとしたことがありました。これには、日程を融通し合って“競合”を避けようという狙いもあったはず。でもその試みは、中津の廃止で頓挫してしまいました。

 当時に比べると地方競馬場の数がずいぶん少なくなり、ナイターの導入もあって、“競合”を避けて各地方競馬の日程を組むことが容易になったようです。さらに、ホッカイドウ、岩手、金沢の冬休み期間中は、高知のような設定もできるようになりました。

 とにもかくにも、地方同士の“競合”をできるだけ避けて日程を組むことは、今後へ向けての重要な検討課題です。“いいとこ取り”したい気持ちもわかりますが、折り合いを付けることも大事。馬券を買う側からすれば、発走時刻の調整もしてほしいと思います。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング