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一発逆転マイスターは?

  • 2021年01月26日(火) 18時00分

ファイナルレースリーディングを集計すると意外な顔ぶれに…


 先週の本欄で、高知競馬の17日(日)の売り上げが10億4800万円余りで驚いた、と書いたら、19日(火)には11億6千万円、さらに20日(水)には12億6千万円と、2日続けて1日の売上レコードを更新してさらにびっくり。この3日間の合計は約34億7千万円。どん底だった2008年度の1年間での売上約38億8千万円に、わずか3日間の売上で近づいたという、信じがたい売上の伸びを見せた。

 高知競馬の1日平均の売上が4千万円程度しかなかった時代にタイムマシンで戻って、「いずれ1日の売上が10億円になる時代が来る」と関係者に言っても、おそらく信じてもらえないだろう……というSF小説でも書けそうな気すらしてくる。

 先週も触れたが、その高知ですごいのは、重賞より“一発逆転ファイナルレース”のほうが売上が大きいこともめずらしくないということ。諸外国に比べて日本の競馬は一般戦に比べて重賞レースの売上が突出して高い傾向にあるが、その日本で、下級条件のレースが1日でもっとも売れるという状況は驚くべきことではある。

 “一発逆転ファイナルレース”は、高知競馬が瀕死の状態のときに、復活を願って考えられたいくつもの案のうちのひとつ。「馬券を売るには、スターホース、スタージョッキーがいないと」というのが一般的な発想だが、勝てない馬ばかりを集めるという逆転の発想。いわば苦肉の策と言ってもいい。それがファンの支持を得たということでは、競馬に新たな楽しみを作り出したとも言える。

 今や全国の競馬ファンから注目されるようになった“一発逆転ファイナルレース”だが、その馬券のヒントとして、ファイナルレース・騎手リーディングを集計してみた。

 以下は2020年1月1日から今年1月24日まで、1年ちょっとのファイナルレース・リーディング・トップ10+αで、【騎乗数-1着-2着-3着/勝率-複勝率】となっている。

 1. 塚本雄大【78-12-11-9/15.4%-41.0%】
 2. 山崎雅由【82-11-11-8/13.4%-36.6%】
 3. 西川敏弘【67-10-5-6/14.9%-31.3%】
 4. 林 謙佑【73-9-5-5/12.3%-26.0%】
 5. 妹尾将充【91-8-4-7/8.8%-20.9%】
 6. 郷間勇太【65-7-4-2/10.8%-20.0%】
 7. 岡村卓弥【80-6-9-5/7.5%-25.0%】
 8. 濱 尚美【56-6-5-3/10.7%-25.0%】
 9. 倉兼育康【61-6-4-8/9.8%-29.5%】
 10.赤岡修次【21-6-2-1/28.6%-42.9%】
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 13.永森大智【47-3-10-8/6.4%-44.7%】

 1位塚本騎手、2位山崎騎手、3位西川騎手は、勝率、複勝率の高さも目立つ。ちなみに、連対率ではなく複勝率(3着内率)をデータにしたのは、ファイナルレースは高配当を狙って3連単や3連複をボックスで買う人が多いと思われるため。

 高知のトップツー、赤岡騎手、永森騎手の順位が低いことを意外に思われた方もいるのではないだろうか。そもそもこの2人はファイナルレースでの騎乗が少ない。地方競馬は1日に騎乗できるレース数が主催者ごとに決まっているため(高知は8レースまで)、弱い馬ばかりが集まるファイナルレースまでは騎乗が回らないためと思われる。とはいえ複勝率はともに40%を超えているため、騎乗すれば当然狙いとなる。

 そのトップツーと変わらない41.0%という高い複勝率をマークしている塚本騎手だが、2020年の高知での成績は【605-46-51-50】で、高知リーディングでは12位。勝率7.6%、複勝率24.3%。その数字と比較すると、ファイナルレースでは勝率・複勝率ともほぼ倍の確率で馬券にからんでいることになる。塚本騎手といえば、昨年はヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンドで2位になったが、そうした勢いはこのファイナルレースでの数字にも現れているのかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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