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【共同通信杯】咲かんばかりにふくらんだつぼみを見るよう

  • 2021年02月13日(土) 12時00分

賞金加算や一気に台頭を目論むものなど様々


 2月7日で平場の重賞は13レースが終了したが、そのうち京都金杯を除く12レースで初重賞制覇が生まれている。光の呼びかけに応じて、次から次へと梅の枝に姿を見せている春を思わせる。

 満開のときも素晴しいが、一輪また一輪とわずかずつ花をつけてゆく姿にも風情がある。そんな中行なわれる共同通信杯は、いま正に咲かんばかりにふくらんだつぼみを見るようなもの。クラシックにつながることもあるだけに見所は多い。

 とにかくキャリアの浅い馬たちばかりだから、一筋縄ではいかない。あくまでも叩き合いという有力馬もいれば、賞金を加算して足場を固めたいもの、一気に台頭を目論むものなど様々。

 出走頭数が多くないのに、この10年で一番人気が1勝しかしていないことが、難しさをあらわしている。厳冬期を過ぎての復帰戦だったり、欠点を修正しての再出発だったり、一段と成長した姿に変貌を遂げていたりといろいろあり、その見極めが大切だ。

 人気に応えて勝った7年前のイスラボニータは、それまで4戦3勝、11月の東スポ杯2歳Sを勝って2ヶ月半ぶりのレースだった。別定57キロを背負い、上がり3ハロン33秒2の切れ味を4番手の好位からくり出し見事な勝利で、その勢いで直行した皐月賞も勝っていた。

 デビュー2戦目の新潟2歳Sで出遅れて敗れていたが、その後スタート難を克服、またひとつ強くなっていたのだが、不確かな要素が多く、それまで負けたことのない一番人気馬が敗れることが多いのだ。事実、この3年続けて、共同通信杯ではそういう人気馬が敗れていて、力を出し切れていない。

 その理由のひとつに、東京の1800米はスタートして向正面の直線が長く、ペースが速くならないことが上げられる。この10年で8回が完全なスローペースで、勝った馬はほとんどが3、4番手、悪くても5、6番手の好位置につけており、上がりは34秒台前後ときまっている。前半はレースが流れないために苦しんだ人気馬が多く、ためを利かせて走れる馬が有利だということになっている。

 少なくとも2戦以上のキャリアがもとめられるが、6年前、暮れの阪神1800米の新馬戦を好位から楽に抜け出し3馬身差で勝って2戦目のリアルスティールが、単勝1.8倍のドゥラメンテを下し、史上初のキャリア1戦での重賞制覇を達成したことがあった。12頭立ての1番枠から好位の内につけ、しぶとく脚を伸ばしていたが、枠順がいいのも勝つ要素のひとつと言える。

 このケースで今年ねらえるのがディオスバリエンテ。ラスト1ハロンで2馬身差をくつがえした内容がよかった。レフトゥバーズとシャフリヤールの2頭にも、2戦目ながら未知の魅力があり、実績のあるステラヴェローチェなどにどう挑むか注目したい。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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