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【共同通信杯】エフフォーリアの未来は一気に広がった

  • 2021年02月15日(月) 18時00分

日本ダービーの直線なら能力全開が可能だろう


 2戦2勝のエフフォーリア(父エピファネイア)が、わたしたちもそう思ったが、手がける鹿戸雄一調教師でさえ「思っていた以上に強かった。馬がしっかりしてきた」と絶賛する文句なしのレースを展開。3戦全勝のステークスウィナーとなった。

 東京芝1800mで行われたこの重賞を、敗戦なしのまま3戦以内で勝ったのは、2015年リアルスティール(2戦2勝)。3戦3勝は、1985年サクラユタカオー、2019年ダノンキングリー。ここまでわずか3頭にとどまる。のちのGI快走馬ばかりであり、エフフォーリアの未来は一気に広がった。

重賞レース回顧

文句なしのレースを展開したエフフォーリア(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 夏の札幌の新馬2000mは0秒1差(4分の3馬身)、秋の東京の百日草特別2000mは0秒2差(1馬身4分の1)、今回は0秒4差(2馬身半)。相手が強化したはずなのに、一戦ごとに着差を広げているからすばらしい。確実に馬が良くなっていると同時に、横山武史騎手(22)とレース中のリズムがぴったりになってきたからでもある。

 レース全体の流れは、「前半4F49秒6-(1000m通過61秒9)-後半4F45秒7」=1分47秒6。

 見た目にもスローで、レース上がり33秒8の決着になったが、エフフォーリアはノーマークの単騎逃げだったわけではなく、なだめて好位に下げ、馬群はほとんど一団に近い展開。

 直線600mを自身推定「11秒2-10秒7-11秒5」=33秒4で抜け出している。

 前回の百日草特別の後半600mも推定「11秒1-11秒0-11秒3」だった。坂で抜け出す場面で11秒0を切ろうかという切れを発揮している。ただ、あくまで印象だが、瞬時にスパッと切れるイメージはないので、中山の皐月賞でインに閉じ込められたりすると心配だが、東京の日本ダービーの直線なら能力全開が可能だろう。

 最近10年、共同通信杯の勝ち馬は皐月賞で【3-1-1-5】。日本ダービーは【0-3-1-6】ではあるが、ハーツクライの牝馬にエピファネイアの組み合わせで、つとに知れ渡るサンデーサイレンスの「4×3」。距離のカベはないはずである。

 少し胴を長く見せる身体つきで、背も高い。ヒョロッと映る印象もあったが、鹿戸調教師のコメントに出てきたように「馬がしっかりしてきた」。パドックより、返し馬に入っての動きが光るあたりが成長を示している。身体つきのバランスは、あくまで個人的な見方だが、父エピファネイアというより、その母シーザリオの父に登場するスペシャルウィーク。少し細身に映った体型はその祖母の父セントクレスピン(凱旋門賞馬。父は女王陛下のAureoleオリオール)の特徴に似た雰囲気ではないかと思える。スペシャルウィークは1998年の日本ダービーを独走している。

 2着ヴィクティファルス(父ハーツクライ)は、中団で流れに乗って前のエフフォーリアをマークするように早めのスパート。目下22勝でJRA騎手ランキング2位の松山弘平騎手らしい積極策が正解だった。ゴール前は追い詰められてなんとか2着死守だったが、まだここが2戦目。先を見据えての東京コースへの遠征で、2着して賞金加算に成功したことにより、今後のローテーションが楽になった(使いたいステップで除外の心配がない)。

 ディープインパクトの勝った日本ダービー3着シックスセンスと、母ヴィルジニア(父Galileoガリレオ)はいとこの間柄。母の半弟シルバーステート(父ディープインパクト。5戦4勝で引退)は毎年150頭以上の種付け頭数を記録する人気種牡馬となり、今年その初産駒がデビューする。ファミリーの評価を高める快走が期待できるだろう。

 2番人気で3着のシャフリヤール(父ディープインパクト)は、2着ヴィクティファルスと頭差だけ。外枠のため、スローで一団になった後方集団の外々を回らざるをえない展開が痛かった。2017年の皐月賞馬アルアイン(松山弘平騎手)の全弟で、ムードを秘めたしっかりした好馬体。ずっと510キロ以上だった全兄のアルアインより身体の幅が薄いような印象はあるが、父ディープインパクトの切れ味を受け継ぐにはこの方がいいと考えることもできる。クラシック路線はきびしい。痛恨の頭差3着とならないよう、この経験を生かしてたちまち巻き返したい。

 1番人気で5着(0秒5差)にとどまったステラヴェローチェ(父バゴ)は、決してデキは悪くなく、勝ち馬を射程に入れて進んだ位置取りも悪くなかったが、坂を上がったところで挟まれる場面があった。高速の上がり勝負で57キロの不利もあった。ただ、不良のサウジアラビアRCを1分39秒6で激走し、一転、1分32秒4の超高速決着となった朝日杯FSも快走。2歳馬にはともにそのあとが心配になる厳しいレースであり、大丈夫そうに見えて、エフフォーリアのように上昇一途ではなかったとはいえる。

 例によってダッシュもう一歩で、直線はインに突っ込んだキングストンボーイ(父ドゥラメンテ)が、惜しい4着(2着と同タイム)。上がり33秒3は最速だった。バランスのいい馬体で、変わらず元気いっぱいだったが、この時期、どの馬も活力の消耗を避けたい。賞金加算ならずにここが4戦目。半兄エポカドーロの皐月賞制覇は5戦目だった。不安視するほどのことではないが、慎重な陣営とすると本当は誤算だった気がする。

 牝馬レフトゥバーズ(父ディープインパクト)は、クイーンCを除外されての挑戦。切れる牝馬にスローからの上がり勝負は決して不利ではないが、休み明け、ここが2戦目、馬群のばらける展開にならず、直線寄られる不利も重なった。牝馬限定のマイル戦の数少ない除外馬になってしまったあたり、勝負に必要な運がなかったのだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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