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サウジCナイトをより一層楽しめるレース展望

  • 2021年02月17日(水) 12時00分

日本馬5頭のレースだけじゃない 要注目の残り3競走を解説


 第2回サウジCナイトの開催が、今週土曜日(20日)に迫っている。日本調教馬が出走する3競走は、各メディアに展望記事が出ているので、ここでは残り3つあるサラブレッドの国際競走を展望したい。

 まずは、現地時間の16時、日本時間の22時に発走する、総賞金100万ドルのネオムターフC(芝2100m)。昨年、ディアドラが2着になった競走だ(昨年はモハメドユスフナギモーターズカップとして実施)。

 実績最上位は、北米から遠征してくるチャネルメーカー(セン7、父イングリッシュチャネル)だろう。カナダ産馬で、3歳時はカナダ3歳3冠の最終戦となるブリーダーズS(芝12F)を制している。アメリカでも4歳時にG1ジョーハーシュターフクラシック(芝12F)、5歳時にG1マンノウォーS(芝11F)、6歳時にG1スウォードダンサーS(芝12F)とG1ジョーハーシュターフクラシックを制している他、昨年秋にはG1・BCターフ(芝12F)で勝馬タルナワから約1馬身差の3着に入っており、北米の芝部門では間違いなく最強クラスの1頭だ。ただし、距離は12Fが最適で、ここでの10.5Fというのは同馬にはやや短い。

 逆に、2100mの距離を乗り切るスタミナがあれば、台頭しておかしくないのが、ゴドルフィンのミリタリーマーチ(牡4、父ニューアプローチ)だ。2歳時を2戦2勝の成績で終えた後、昨年初戦のG1英2000ギニー(芝8F)は4着だった同馬。その後は故障でシーズン末まで戦列を離れ、1月21日にメイダンで行われたG2シングスピールS(芝1800m)で復帰。7か月半ぶりだったここは8着に敗れたが、ひと叩きされて本来の力を出せる状態にあれば、能力的には通用すると見る。愛国調教馬で、昨年・一昨年ともにシーズン後半は渡豪してフレミントンのG3クイーンエリザベスS(芝2600m)を制しているトゥルーセルフ(牝8、父オスカー)も、争覇圏にいる馬だろう。

 続いて、現地時間の16時35分、日本時間の22時35分に発走する、総賞金100万ドルのstc1351ターフスプリント(芝1351m)。実績最上位は、2020年のG1モーリスドゲスト賞(芝1300m)を制したゴドルフィンのスペースブルース(牡5、父ドバウィ)だ。昨年は、これを含めて1300m〜1400mの重賞を3勝。3歳時にも、G1ジャンプラ賞(芝1400m)2着、G1モーリスドゲスト賞3着などの成績を挙げている。ここが今季初戦となるが、仕上がりさえ問題なければ中心となりそうだ。

 昨年に続くこのレース連覇を狙うのが、バーレーン調教馬のダークパワー(セン7、父ダークエンジェル)だ。今季はここまで2戦し、ローカルG2ナスコーポレーションBSCカップ(芝1200m)3着、前走オープンクラスの一般戦(芝1200m)3着と、悪くない競馬をしている。

 昨年のこのレースは3着だったグロリアスジャーニー(セン6、父ドバウィ)も、仏英首の3か国で1400m〜1600mの重賞を4勝している実力馬。今季初戦となった、1月21日にメイダンで行われたG2アルファヒディフォート(芝1400m)は3着だった。そのG2アルファヒディフォートを勝って参戦するのが、ランドオヴレジェンズ(セン5、父イフラージ)だ。昨年6月に去勢され、G2アルファヒディフォートは10か月ぶりの復帰戦だった。昨年までとは馬が一変している可能性があり、ここも大勢逆転の可能性を秘めている。

 続いて、現地時間で17時10分、日本時間で23時10分に発走する、賞金総額250万ドルのレッドシーターフH(芝3000m)。さすがに賞金が良いだけに、ヨーロッパから粒ぞろいのメンバーが遠征してきている。筆頭は、前年に次ぐこのレース連覇を狙う、仏国調教馬コールザウインド(セン7、父フランケル)だ。昨年は欧州に戻った後も、ドーヴィルのG3バルベヴィル賞(芝3000m)、同じくドーヴィルのG2ケルゴレイ賞(芝3000m)を制し、この路線における重賞制覇を重ねている。4歳時に制しているG1カドラン賞(芝4000m)は、昨年は3着だった。

 英国調教馬ながら、3年連続で遠征しているオーストラリアで実績を積み重ねているのがプリンスオヴアラン(セン8、父シロッコ)だ。5歳時にフレミントンのG3ホーザムH(芝2500m)、6歳時にジロングのG3ジロングC(芝2400m)を制している他、3年連続で参戦しているG1メルボルンC(芝3200m)でも、3着、2着、3着と大健闘している。今季初戦となった、2月6日にケンプトンで行われた条件戦(AW15F218y)は3着だった。

 昨年のG2ドンカスターC(芝17F197y)を含めて、この路線の重賞を2勝している英国調教馬スパニッシュミッション(牡5、父ノーブルミッション)が、3番手評価か。以下、4歳だった昨年、G3ヴィンテージクロップS(芝14F)2着、G1愛セントレジャー(芝14F)4着の実績を残した愛国調教馬バーベイドス(セン5、父ガリレオ)、重賞入着が6回あり、今季初戦となったウルヴァーハンプトンの条件戦(AW16F120y)を勝っての参戦となる英国調教馬ミルデンバーガー(牡6、父テオフィロ)、昨年のこのレースの2着馬で、ミルデンバーガーが勝った条件戦は5着だった英国調教馬ミーコング(セン6、父フランケル)などが、争覇圏にいる馬たちだろう。

 サウジCナイトの模様は、グリーンチャンネルで中継予定(25時30分〜27時00分)。マテラスカイ(牡7、父スパイツタウン)、ジャスティン(牡5、父オルフェーヴル)、コパノキッキング(セン6、父スプリングアットラスト)の3頭出しで臨む、日本時間25時50分発走のリヤドダートスプリント(ダ1200m)と、チュウワウィザード(牡6、父キングカメハメハ)が挑む、日本時間26時40分発走のサウジC(ダ1800m)は、生放送でお届けする他、このコラムでご紹介した3レースと、ピンクカメハメハ(牡3、父リオンディーズ)が出走するサウジダービー(ダ1600m)は、録画放送される予定だ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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