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新人騎手の活躍

  • 2021年02月16日(火) 18時00分

顕著な活躍を見せている地方騎手


 中央競馬では3月にデビューする新人騎手8名の合格発表があり、地方競馬でも4月から9名の新人騎手がデビュー予定となっている(騎手免許の合格発表は3月)。

 それにしても近年、地方・中央とも新人・若手騎手の活躍が目立っている。そこで今回は、昨年4月以降にデビューして顕著な活躍を見せている地方騎手を取り上げてみたい。

 今年、2月14日までの佐賀リーディングで1位は近年と変わらず山口勲騎手だが、昨年10月にデビューしたばかりの飛田愛斗騎手が2位となっている。しかも1着は同じ21勝で、2着回数の違いでの1位と2位。騎乗回数では飛田騎手が佐賀所属騎手で最多(117回)というのもスゴイ。

 飛田騎手はオープンクラスの馬での活躍も目立ち、ドラゴンゲートでは、デビュー間もない10月31日の準重賞・五ヶ瀬川賞を勝利。さらに1月12日には宝満山特別を8馬身差で圧勝した。2月11日に行われた中央との条件交流・グリーンカップでは中央馬の騎乗依頼があり、7番人気ながらユウファーストを勝利に導いた。デビューしてまだ半年も経っていないが、1日3勝がすでに5回もあり、2月からは△2kg減となり、ここまで通算43勝。☆1kg減になるのも間近だ。

 南関東で存在感を示しているのが、昨年4月にデビューした船橋の篠谷葵騎手。昨年の40勝は、激戦区南関東で新人がマークした勝利数としてはかなり優秀なもの。しかも11月1日の大井でスタート直前、騎乗馬がゲートに突進したことで左腕を骨折。以降は休養しており、実質7カ月での40勝だった。なお篠谷騎手は1月11日の船橋開催から復帰している。

 昨年4月にデビューした騎手で初勝利1番乗りとなったのが、金沢の魚住謙心騎手。デビュー2日目の4月7日に初勝利(9戦目)を挙げた。そのデビュー年には42勝を挙げ、昨年の金沢リーディングでは11位。金沢競馬は現在冬期休催中だが、3月14日の開幕が楽しみだ。

 勝利数こそそれほど多くはないが、名古屋の細川智史騎手(2月14日現在、通算21勝)は、ヤングジョッキーズシリーズで存在感を示した。トライアルラウンドこそ勝利はなかったが、地方・西日本で4位とギリギリのラインでファイナルラウンド進出。そして園田の第1戦では、スローペースを中団から向正面で一気に動いて先頭に立ち押し切った。この勝利によってファイナルラウンドは総合3位。デビュー年のヤングジョッキーズシリーズでの表彰台(この年はコロナの影響で表彰式は行われなかったが)は、中央騎手も含めて初めてのことだった。

 ちなみに、2017年に始まったヤングジョッキーズシリーズは、昨年まで4年連続で地方騎手が優勝し、一昨年、昨年と2年連続で地方騎手が上位3位まで独占と、地方騎手の活躍が目立っている。

 川崎の古岡勇樹騎手も昨年4月デビューでここまで12勝と目立った数字ではないが、南関東なら悪い数字ではない。古岡騎手が目立っているのは、川崎所属騎手同士で争われる、川崎ジョッキーズカップでの活躍だ。

 昨年は全8戦のうち7戦に騎乗して3勝を挙げ、新人騎手がいきなり優勝。その内容がまた印象的だった。6月12日の第2戦での勝利が、デビューしての初勝利。11月13日の第7戦では14頭立て12番人気での勝利。そして12月18日の最終第8戦も制しての優勝だった。

 さらに年が改まって1月27日に行われた2021川崎ジョッキーズカップの第1戦では、またまた14頭立て13番人気という超人気薄での勝利。年をまたいでシリーズ3連勝となり、「古岡だ、また古岡。今年も古岡!」というゴールでの実況も印象的だった。

 最後は昨年12月にデビューした、ばんえい競馬の金田利貴騎手。ばんえい競馬は平地以上に騎手の技量が問われると言われており、平地以上に新人のうちから活躍するのは難しい。金田騎手の場合は、所属が父の金田勇厩舎ということもあるが、デビューした昨年12月に5勝、そして1月以降ここまで15勝を挙げている。

 ばんえいの男性見習騎手の減量は10kgだが、ばんえいの負担重量で10kg減というのはかなり有利。それもあって、金田騎手の馬は能力以上に人気になっていると思われることもある(あくまでも個人的な感想です)。

 金田騎手は2月15日までで通算167戦20勝。勝率12.0%、連対率27.5%は、リーディング上位騎手と比べても遜色なく、ばんえいの新人騎手の成績としては“あっぱれ”だ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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