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「あんなに負ける馬じゃない…」ニホンピロマリブの敗因とは

  • 2021年02月17日(水) 18時01分
先週の土日は、小倉で5鞍に騎乗。キクノクライフ、ニホンピロマリブなど期待馬が揃っていたものの、残念ながら歓喜の瞬間は訪れず。なかでもマリブについては、「あんなに負ける馬じゃない…」と落胆を露わにした小牧騎手。はたして敗因は⁉ ジョッキーにしかわからない視点で、先週の競馬をじっくりと振り返ってくれました。(取材・文:不破由妃子)

※このインタビューは電話取材で実施しました。

思った以上にすんなり勝たせてくれんわ


──あすなろ賞(2月14日・小倉10R・芝2000m)のニホンピロマリブは、まさかの8着。「どうしてもここでひとつ勝たせたい」と、満を持しての小倉遠征だっただけに…。

小牧 うん…、ショックでしたね。

──スタートもよかったですし、前半はいつも以上に流れに乗ってスムーズな競馬に見えました。

小牧 3コーナーで上がっていったときにマクられて、あれで嫌気が差したのかもしれん。僕もいろいろ敗因を考えたんやけど、今のところそれしか考えられんわ。あそこで無理やりにでも行かせておけばよかったのか…。難しいよね、生き物やから。

──直線に入ってからの雰囲気は?

小牧 4コーナーを回るときはいつもと変わりなかったんやけど、追ってからの反応がなかったんでね。本当に残念やった。厩務員さんもガックリきてたわ。まぁあんなに負ける馬じゃないから、敗因は必ずある。ちょっと考えていきたいね、これから。

──キクノクライフは際どい3着(2月13日・小倉1R・3歳未勝利・ダ1700m)。勝ちパターンに見えましたが、最後の最後に内と外から強襲されて。

小牧 自分のペースで運べていたけど、最後に甘くなってしまったなぁ。3、4コーナーで早めにこられたのが痛かった。思った以上にすんなり勝たせてくれんわ。もしかしたら、もうちょっと距離が短いほうがいいのかもしれん。まぁまだトモが緩いんでね。一旦放牧ということなので、楽しみに成長を待ちますわ。勝ち上がる力があるのは間違いないからね。

──初騎乗となったエグレムニ(2月13日・小倉12R・大濠特別・芝1200m)は、4角最後方からいい脚で伸びてきましたね(6着)。

小牧 スタートでちょっと出負けして、直後にちょっと挟まれてしまって。すごく怖がりな馬だと聞いていたので、外に出すしかないなと思ってた。外枠だったら、もっといい勝負ができていたと思う。

──これまでは好位からの競馬が多かった馬ですが、今回はどういうレースプランだったんですか?

小牧 好位からの競馬でもうひとつの結果が続いていたから、思い切ってじっくり乗ってみようとは思ってた。

──スタート後に挟まれた誤算はあったものの、結果的に新たな可能性を感じさせる内容でもありました。

小牧 僕もそう思うんやけどね。上がりも速かったでしょ? 本当にいい脚やった。もう一度乗りたいけど、小倉に行く機会はなかなかないからなぁ。思い切ってといえば、ドルチェリア(2月13日・小倉11R・和布刈特別・ダ1700m・4着)もね、じっくり乗ってみるとか、これまでとは違った競馬をしてみてもいいかもと思ってる。安定して上位にはきているし、頑張ってくれているけど、最近は同じ競馬になってしまっているんでね。

──もどかしさはありますが、勝ち上がる力はありますものね。さて、今週スタンバイしている楽しみは馬はいますか?

小牧 楽しみなのは、ニホンピロランド。すごくようなってますよ。ただ、休み明けでね。ちょっと大きくなっているから、それがどう出るかやね。

──約7カ月ぶりの実戦にして、昇級初戦。条件は厳しいですが、ここでいい競馬をするようなら、今後がさらに楽しみになりますね。

小牧 うん。昇級しても楽しみやと思える馬やし、期待してるよ。

──では、ユーザーからの質問をふたつほど。「最近は度々小倉で騎乗されていますが、中央場所のレースとはどんな違いを感じますか? ローカルならではのレースの特徴があれば教えてください」。

小牧 出入りが激しいね。やっぱり小回りということもあって、動きのあるレースになることが多い。だからこそ、自分のペースを守って乗るのがいいね。

──出入りが激しいのは、若手ジョッキーが多いことも関係してきますか?

小牧 まぁ元気なジョッキーが多いのは確かやね。ただ、マクったり動いたりするのも、いい競馬をするための判断のひとつやから。小回りならではでしょう。

──続いては、「ひとつ騎乗したあとの疲労感というのは、どんな感じなのでしょうか。やはり距離によって疲労度は違うものですか?」

小牧 いや、距離は関係ない。ズブい馬か、気のいい馬かによるね。気のいい馬は、直線まであんまり動かさんでもいいでしょ。もちろん、気のいい馬をがっつり抑えていけば腕がパンパンになったりするけど、レースのあとに息切れするようなことはない。レースのあとに息切れするのは、スタートから追って追って…という競馬。だから、疲労度はあくまで馬次第やね。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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