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今年の重賞戦線を独走するノーザンファーム

  • 2021年02月25日(木) 18時00分

昨年とは一転して苦戦が続く日高産馬


 年明け以来、先週までに中央競馬では芝とダート合わせて計20の重賞競走を消化しているが、そのうち、現段階でノーザンファーム生産馬が実に12もの重賞を制覇しており、早くも独走態勢になっている。因みに社台ファームは2つ、そして、日高産馬はというと、現時点で東海Sと東京新聞杯、京都牝馬S、小倉大賞典の4つしか勝てていない。残り2つは外国産馬である。そのひとつは周知の通り今年初のGI競走、フェブラリーSを制したカフェファラオだ。

 とりわけ、注目したいのは、この先、クラシックレースを控える3歳世代の動向である。日高産馬で現3歳世代が重賞を制したのは、昨年7月の函館2歳S、リンゴアメのみ。それ以来、先々週の共同通信杯とクイーンCまで、日高産馬の苦戦が続いている。これはいささか気になる。

 因みに、昨年はどうだったか、というと、以下の通りになる。

中山金杯、トリオンフ(レイクヴィラファーム、洞爺湖)
京都金杯、サウンドキアラ(社台ファーム、千歳)
シンザン記念、サンクテュエール(ノーザンファーム、安平)
*フェアリーS、スマイルカナ(木田牧場、新ひだか)
*愛知杯、デンコウアンジュ(磯野牧場、浦河)
*日経新春杯、モズベッロ(村田牧場、新冠)
*京成杯、クリスタルブラック(大狩部牧場、新冠)
アメリカJCC、ブラストワンピース(ノーザンファーム、安平)
シルクロードS、アウィルアウェイ(ノーザンファーム、安平)
東京新聞杯、プリモシーン(ノーザンファーム、安平)
*きさらぎ賞、コルテジア(ノースヒルズ、新冠)
クイーンC、ミヤマザクラ(ノーザンファーム、安平)
京都記念、クロノジェネシス(ノーザンファーム、安平)
共同通信杯、ダーリントンホール(GB)
ダイヤモンドS、ミライヘノツバサ(諏訪牧場、青森)
京都牝馬S、サウンドキアラ(社台ファーム、千歳)
*小倉大賞典、カデナ(グランド牧場、新ひだか)

 ここまでが、芝の重賞。そしてダート重賞はというと、

東海S、エアアルマス(USA)
根岸S、モズアスコット(USA)
フェブラリーS、モズアスコット(USA)

 こうしてみると、「日高産馬大活躍」とまでは言えないが、同じ20重賞を消化した段階で、日高産馬は、6重賞を制している。ノーザンファームが同じく6つ。社台ファーム2つ、レイクヴィラファーム(洞爺湖)、諏訪牧場(青森)なども重賞馬を輩出しており、バラエティに富んだ分布と言えよう。残りの4つは外国産馬である。

 昨年の場合、日高は、3歳クラシック戦線で、牡牝ともに3冠馬を送り出したことは記憶に新しい。3歳世代に、この先、日高から思わぬ伏兵が出現してこないとも限らないが、現状ではどうもあまり見通しが明るくない。

生産地便り

昨年、牝馬三冠を達成した日高産馬デアリングタクト(c)netkeiba.com


 年間138レースしかない重賞競走のうち、今年はノーザンファーム生産馬が果たして何レースを制するのか。また日高産馬は、どこまでそれに迫ることができるか。

 ところでひと昔前、2011年の年明けから20レース消化した時点までを列記しておくと・・・・

中山金杯、コスモファントム(USA)
*京都金杯、シルポート(タイヘイ牧場、新ひだか)
シンザン記念、レッドデイヴィス(ノーザンファーム、安平)
フェアリーS、ダンスファンタジア(社台ファーム、千歳)
京成杯、フェイトフルウォー(白老ファーム、白老)
日経新春杯、ルーラーシップ(ノーザンファーム、安平)
アメリカJCC、トーセンジョーダン(ノーザンファーム、安平)
*平安S、ダイシンオレンジ(戸川牧場、日高)
*シルクロードS、ジョーカプチーノ(ハッピーネモファーム、浦河)
*根岸S、セイクリムズン(清水スタッド、様似)
*京都牝馬S、ショウリュウムーン(高村牧場、浦河)
*小倉大賞典、サンライズベガ(下河辺牧場、日高)
東京新聞杯、スマイルジャック(上水牧場、むかわ)
きさらぎ賞、トーセンラー(社台ファーム、千歳)
*クイーンC、ホエールキャプチャ(千代田牧場、新ひだか)
*共同通信杯、ナカヤマナイト(沖田牧場、日高)
京都記念、トゥザグローリー(ノーザンファーム、安平)
ダイヤモンドS、コスモメドウ(IRE)
*フェブラリーS、トランセンド(ノースヒルズ、新冠)
アーリントンC、ノーザンリバー(ノーザンファーム、安平)

 内訳を見ると、ノーザンファーム生産馬は5重賞、社台ファームが2つ、白老ファーム1つという内訳だ。一方の日高産馬は、このころはまだ健闘していて、9勝もしている。

 この後、ノーザンファームが一気に成績を伸ばしてきたのである。今年の重賞星取表は、どんなことになるものか。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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