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ダートグレード初挑戦のジンギ

  • 2021年03月09日(火) 18時00分

兵庫の期待馬、JRA勢相手でも好勝負期待


 近年のダートグレード戦線では、JBCスプリントで一昨年ブルドッグボス(浦和)、昨年サブノジュニア(大井)と地方馬が連覇したのをはじめ、その少し前にはキタサンミカヅキ(船橋)が東京盃を連覇するなど、短距離路線においては地方馬が中央勢と互角に戦えている。

 一方で苦戦が続いていたのが中距離路線だ。1月27日の川崎記念ではカジノフォンテン(船橋)がようやく一矢報いたが、古馬(牝馬限定戦は除く)のマイル以上のダートグレードで地方馬が勝ったのは、2015年12月2日の浦和記念でハッピースプリント(大井)が勝って以来、実に5年以上ぶりのことだった。3歳限定戦を含めても、2017年のジャパンダートダービーをヒガシウィルウィン(船橋)が勝って以来だった。

 JBCクラシックは昨年まで20回の歴史で、いまだ地方馬の勝利がないが、今年金沢が舞台となるJBCでは、カジノフォンテンにその期待がかかることになる。

 そんなダート中距離戦線ではあるが、3月11日の名古屋大賞典(JpnIII・名古屋1900m)には、満を持して地方の期待馬が出走する。兵庫から参戦のジンギ(牡5)だ。

 父はロードカナロアで、その2世代目の産駒。そして母の父がディープインパクトという血統の馬が、園田からデビューしたということでは、当時から注目の存在だった。

 重賞初挑戦となった3歳2月の園田ユースカップを勝ち、兵庫一冠目の菊水賞では5馬身差の楽勝。期待に違わぬ活躍を見せた。しかし断然人気に支持された兵庫ダービーでは4着、秋の園田オータムトロフィーでも4着、楠賞は北海道のリンゾウチャネルに完敗の2着だった。

 それでもその3歳10月以降は2着以内を一度も外すことがなく、4歳になった昨年、古馬重賞初挑戦となった5月の兵庫大賞典ではタガノゴールドの2着。8月の摂津盃で古馬重賞初制覇を果たすと、10月の姫山菊花賞では、これが重賞11勝目となったエイシンニシパの2着に健闘した。

 そしていよいよ本格化を感じさせたのが、その後。特別戦を8馬身差で圧勝したあと臨んだのが、兵庫のグランプリレースと言われる、12月9日の園田金盃。1着賞金は2019年の1300万円から一気に3000万円に増額された。そこでエイシンニシパを相手に5馬身差の圧勝。兵庫の古馬ナンバー1を決定づけたレースとなった。

 そして年明け初戦、愛知、高知、佐賀などから遠征馬を迎えて行われた白鷺賞は、好スタートから後続を引き付けての逃げに持ち込んだ。3コーナー過ぎからその差を徐々に広げると、直線ではうしろを振り返る余裕で2着に7馬身差をつける圧勝となった。

 その勝利から目標を名古屋大賞典と定めていたようで、本格化を待ってのダートグレード初挑戦となる。

 断然人気が予想されるのは、前走佐賀記念で2着に9馬身差をつけてコースレコードで圧勝したクリンチャーだが、別定58kgを背負う。日本テレビ盃を勝ったロードブレスも57kg。対してジンギは54kg。そのほか重賞勝ちがないJRA勢、メイショウカズサ、ウインユニファイド、バンクオブクラウズも54kg。

 ジンギで勝負になると思うのだが、どうだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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