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10年前を思い返して

  • 2021年03月13日(土) 12時00分

永く記憶に留めておきたい


 先々週の当コラムでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、無観客競馬が始まった1年前のことを振り返りました。

 そして今週は、東日本大震災が発生した10年前のことを思い返しておきたいと思います。1年前のことでさえ忘れがちですからね。備忘録として書き留めておいたほうがいいでしょう?

 10年前の3月11日(金)に競馬を開催していたのは、大井、名古屋、荒尾の3カ所。大井では12レースが組まれていましたが、15時35分発走の第9レースまで実施して打ち切り。地震の直接的な影響を受けなかった名古屋と荒尾は全レースが予定どおりに行われました。

 翌日以降、各地の競馬が開催の取り止めや日程の変更を余儀なくされます。まず、12、13日の中央競馬(中山、阪神、小倉)と12、14日の高知競馬が中止に。12日から3日間開催する予定だったばんえい帯広競馬は、12日分を15日に振り替え、13日から3日間の開催としました。一方で、12、13日の佐賀競馬と13日の福山競馬は開催されました。

 その後の中止、変更は以下のとおりです。

◎南関東の中止=14〜18日の船橋競馬、21〜25日の浦和競馬、28〜4月1日の大井競馬、4月4〜8日の船橋競馬

◎岩手競馬の中止=19〜21日、26〜28日の水沢競馬(同競馬の新年度開幕は5月14日の盛岡競馬に。水沢は12月10日にようやく再開)

◎中央競馬の日程変更=3月19日から4月17日までの中山競馬を取り止め。フラワーC、スプリングS、中山牝馬S、日経賞、ダービー卿チャレンジトロフィー、ニュージーランドトロフィー、マーチSを阪神で開催。中山グランドジャンプは7月2日に延期。皐月賞は1週順延し4月24日に東京で開催。第2回小倉競馬は3月12、13日の5、6日目を26、27日に実施した上、4月2日から10日まで9〜12日目を続けて開催。

◎福島競馬の中止=4月23日からの第1回を新潟に、6月18日からの第2回を中山に振り替えるなどした(福島の再開は翌年4月7日から)

◎川崎、大井のナイター開催を昼開催に変更=4月中に実施。ナイター再開は大井が5月9日、川崎が同16日から。

 まだまだありましたが、このくらいにしておきます。ただ、これらを列記しただけでも、いろいろなことを思い出しませんか?

 福島競馬が長く開催できなくなったのは、競馬場の修復に加え、原発事故後の除染に時間を要したから。ナイター競馬を昼開催にしたのは、電力不足が深刻だったからです。

 また、当時は中京競馬場が改修工事中。春の小倉が12日間開催になったのと、4月23日に始まった新潟競馬が6月12日まで8週間も続いたのは、このためでもありました。

 あの年はオルフェーヴルが3冠を制しました。コロナの影響を大きく受けた去年、牡牝で3冠馬が誕生したのは、何とも不思議な巡り合わせだと思います。10年前のことも今のことも、永く記憶に留めておきたいものです。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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