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【スプリングS予想】日本最強の牝系が生んだ新星ボーデン

  • 2021年03月20日(土) 18時00分

BMSキングカメハメハの影響力で死角はカバーできるだろう


 昨年、13年も連続して母の父(BMS)ランキング1位を続けたサンデーサイレンスを抜いて1位に躍進したのは、ディープインパクトの後を追うように2019年夏に18歳で没したキングカメハメハ。サンデーサイレンス系の血を持つ牝馬を味方にできたことに加え、次代に及ぼす遺伝力も強いのだろう。今年もBMSランキング1位に立っている(3月19日終了現在)。

「阪神大賞典」には、ユーキャンスマイル(父)、ショウリュウイクゾ(母の父)などその血を持つ馬が5頭いて、「スプリングS」にもヴェイルネビュラ(父の父)、ボーデン(母の父)など5頭もキングカメハメハの血を持つ馬が出走する。

 新星ボーデン(父ハービンジャー)の前走、東京1800m1分45秒2は超高速馬場。伏兵が前半1000m通過57秒9のハイペースで引っ張った展開もあった。コントレイルが2歳秋の2019年に1分44秒5で独走した距離であり、驚くべき記録とはいえないが、使い出してまだ2戦目。早めに進出して残り400mで先頭に立つと、最後の1ハロンは流して「11秒8」だった。

 典型的なスピード型の勝ち方ではなく、6馬身差2着のトゥーフェイスも次走を快勝している。あふれる総合力で独走した内容だった。馬場差はあるとはいえ、目下、有力候補の筆頭エフフォーリアが圧勝した同開催の共同通信杯は1分47秒6だった。

 ボーデンのファミリーは3代母エアグルーヴ(牝祖は輸入牝馬パロクサイド)が代表する現在の日本で最強の牝系。母方に配されてきた種牡馬は新しい順に、母の父キングカメハメハ、その前がサンデーサイレンス、トニービン、ノーザンテースト、ガーサント。これらはすべてサイアーランキング1位を記録した種牡馬であり、だから名牝系が成立したともいえる。輸入牝馬パロクサイドに配合されていたのも3代連続して、英・愛サイアーランキング1位の記録を持つ馬だった。

 ただ、ボーデンの父はチャンピオンサイアーではないハービンジャー(過去3年の総合ランキングは5位→12位→16位)となった。かなり評価が落ちている。そこが不安だが、渋馬場の巧拙は別に少しタイムを要する馬場を歓迎すること。母の父キングカメハメハとの組み合わせで、GI馬ブラストワンピース、モズカッチャンを送っていること(GI勝ち産駒5頭のうち2頭を占める)。牝系の積み重ねてきた底力と、BMSキングカメハメハの影響力で死角はカバーできるだろう。

 前走は逸走後とあって慎重なレースだったランドオブリバティにかかる期待も大きい。ホープフルSは苦しくなっての逸走ではなく、若さが出ただけの印象だった。好位のイン追走になれば能力全開があるはずだ。再三中山に遠征するヴィゴーレ(父キズナ、母の父キングカメハメハ)は、重心の低い体型と、目下のデキの良さから、渋馬場は苦にしないと思える。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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