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小回りコース向きの良血開花で本番でも勝機あり

  • 2021年03月22日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・3/21 スプリングS(GII・中山・芝1800m)

 最後の直線でアサマノイタズラが先頭に立ったところを、大外からヴィクティファルスが強襲してアタマ差先着しました。昨年11月の新馬戦は、勝ち上がったとはいえ平凡な内容だったので、2戦目の共同通信杯は7番人気に過ぎなかったのですが、2着と好走しました。3戦目の今回、見事に重賞を勝ちました。馬が成長しているということでしょう。

 ハーツクライ産駒はこの世代、グラティアス(京成杯)に次いで2頭目の重賞制覇。母ヴィルジニアはチューリップ賞4着馬で、シルバーステート、ヘンリーバローズ(いずれも種牡馬)の半姉にあたる良血です。サドラーズウェルズやロベルトなど、小回りコースでモノをいうヨーロッパ血統を抱えているので、中山コースに向いており、母の父が大種牡馬ガリレオ(英愛リーディングサイアー12回)なので道悪も歓迎材料でした。皐月賞が再度道悪となれば勝機もあるでしょう。

・3/20 フラワーC(GIII・中山・芝1800m)

 好位のインを追走したホウオウイクセルが直線で早め先頭に立ち、エンスージアズム以下の追撃を抑えました。母メジロオードリーは現役時代にフェアリーSで4着。ミスアシヤガワ≒メジロボサツ4×4をはじめ配合的におもしろい仕掛けのある馬だったので、繁殖牝馬としても結果を出しました。

 2代母メジロドーベルはオークス、秋華賞、エリザベス女王杯(2回)、阪神3歳牝馬Sなどを制した名牝。同じく小笹芳央さんが所有し、オープンクラスまで出世したホウオウドリームは4分の3同血(父が同じで母同士が親子)です。メジロドーベルの子孫が重賞を勝ったのはショウナンラグーン(青葉賞)に次いで2頭目。このファミリーはこれからさらに広がっていくでしょう。

 ルーラーシップ産駒は東京芝2400mで連対率29.5%と抜群の成績を挙げているので、オークスでは侮れません。ホウオウイクセルの祖父2頭(キングカメハメハ、スペシャルウィーク)はいずれもダービー馬、祖母2頭(エアグルーヴ、メジロドーベル)はいずれもオークス馬です。

今週の血統注目馬は?


・3/28 御堂筋S(3勝クラス・阪神・芝2400m)

 ディープインパクト産駒は阪神芝2400mで連対率26.4%。2011年以降、当コースで産駒が10走以上した40頭の種牡馬のなかで第2位という優秀な成績です。当レースには産駒のリリーピュアハートが登録しています。前走2着でこのクラスはいつでも卒業できる力を持っており、馬場が渋りやすいこの時季、もし雨が降れば母の父ガリレオのパワーがモノをいうでしょう。

今週の血統Tips


 最後の直線で決め手を発揮できるタイプの種牡馬であるか否かは、芝の着別度数で1着が2着よりもどれくらい多いかを見ればある程度判断できます。たとえばディープインパクト産駒は1着2217回、2着1794回なので、1着が2着の1.23倍あります。この数字は優秀です。

 先週の土日、モーリス産駒は芝で3勝を挙げ、1着41回、2着40回としました。デビュー以来ずっと1着よりも2着の数が多かったのですが、ここにきてようやく1着が上回ってきたわけです。2着が多い種牡馬は、要するにゴール前で他馬に競り負けているので、ラストの速い脚が欠けるタイプと判断することができます。モーリスはしばしばそう見なされてきました。

 しかし最近は、以前とは傾向が異なってきています。年明けに限ると1着13回、2着6回と、しっかり勝ち切れていることが分かります。サラブレッドは、身体が出来上がっていない若駒のころ、最後の踏ん張りが利かないことがあります。成長して身体に実が入ってくると、そうした弱点が解消されていくことは珍しいことではありません。

 以前はモーリス産駒を狙うとき、馬連系の馬券がよかったのですが、これからは連単系で攻めたほうがいいかもしれません。先週の土曜日、ルークズネストがファルコンSを勝ち、これで重賞3勝目。この世代の種牡馬別ランキングではミッキーアイル、クロフネと並んでトップです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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