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【高松宮記念】春のGIを駆ける馬たちは咲き満ちる桜のように強く美しい

  • 2021年03月27日(土) 12時00分

馬場・展開ともに異例だった昨年


 春のGIシリーズの開幕、ここを目標に鍛錬してきた成果が問われる。第一弾、古馬短距離路線のチャンピオン決定戦、高松宮記念は、今年は史上最多のGI馬が出走、その多くが初めての芝1200米戦。他に初のタイトルをと出走する伏兵陣もいて、例年の如く多彩な顔ぶれとなった。

 咲き満ちる桜の様々な姿を見ているようなもので、そこから春の命を感じ取るが如く、心をときめかせてくれる。朝の桜、夕桜、夜桜、さらには散る桜、残る桜、その表情がいろいろあるように、駆ける馬たちにも、それぞれの戦い方がある。

 2012年に中京コースは改修され、直線の長い力のいるコースになった。

 ペースはだいたいが速くなり、逃げ馬が苦戦することが多く、この5年を見ると、スタートして先頭に立ったものは、そのうち4年がふた桁着順に終っていた。

 唯一、昨年は重馬場で各馬が苦しむ中、緩みないペースで懸命に逃げたモズスーパーフレアが坂を上がってからも粘り、ハナ交わされて2位入線も、1位入線のクリノガウディーの内側への斜行があって4位降着で繰り上がり、GI初制覇となっていた。

 ハナ、ハナ、アタマで4頭のしのぎ合いという結末だったが、こういうケースは滅多にない。

 初の無観客で行われたGIで、しかも道悪という状況、何から何までが異例ずくめだった。

 テンからスピードに乗せて走るので、馬場が良ければ枠の内外が明暗を分ける。2年前はそれがはっきり出ていた。芝のスプリント戦は初めての3番ミスターメロディが勝って、2着に2017年の勝ち馬で4番のセイウンコウセイが入ったのだが、どちらも3、4番手の好位から内をついて伸びてきていた。

 同じ位置につけていた1番人気で13番のダノンスマッシュは、終始外々を回らされて0秒2差の4着、3連単449万円の大荒れとなっていた。ミスターメロディは3番人気、以前中京で1400米のファルコンSを勝っていて、直前の阪急杯が外枠で不利を受け7着に終わっていたが、父がスピードとパワーがある米G1馬スキャットダディという血統で、本領発揮の一戦だった。

 ステップ別では、この5年で4勝2着1回のシルクロードS組が抜けていて、これに1、2、3着各1回ずつの阪急杯が続いている。距離の異なる前哨戦だが、それは気にすることはないだろう。

 この路線からは外れているが、暮に香港スプリントでG1馬になったダノンスマッシュがワンランク強くなって、父ロードカナロアの偉業を受け継ぐかが最大の焦点で、あとはタフなレースになれば強そうなラウダシオン、インディチャンプ。それに牝馬勢から枠順のいいものと考えたい。高松宮記念、大阪杯と牝馬が勝った昨年を思い出しておく。

「スプリント 雅(みやび)に駈ける 宮記念」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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