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【高松宮記念】とにかく馬が走りやすいように… 川田騎手がダノンスマッシュにかけた想い

  • 2021年04月01日(木) 18時00分
哲三の眼

ダノンスマッシュが悲願の国内GI初制覇! 川田騎手もJRA重賞100勝達成!(C)netkeiba.com


今年の芝GI初戦・高松宮記念を制したのは2番人気のダノンスマッシュ。同レースの勝利で鞍上の川田将雅騎手はJRA重賞100勝を達成しました。哲三氏によると今回のレースで川田騎手は極力何もしないようにしていたといいます。何もしないと聞くと簡単なように思えますが、その裏には多くの騎乗技術、そして騎手の馬に対する想いが詰まっていました。今週は高松宮記念で川田騎手が見せた馬へのアプローチに迫ります。

(構成=赤見千尋)


“馬の走りやすいように”という想いが究極にハマった


 高松宮記念は2番人気だったダノンスマッシュが勝ちました。川田(将雅)君はさすがの騎乗でしたね。これまで何度もコンビを組んできて、この馬の良さを出そうと考えた時に、極力自分は何もしないでおこうというようなレースだったと感じます。レース後のコメントで「馬場状態は大きなポイントでしたが、あえて何も考えず、馬の走りたいように走らせました」と言っていましたが、何もしないというのは簡単そうでいて、実はすごく難しいことです。

 重馬場で走りづらい面もあったと思いますが、18頭の中でダノンスマッシュが一番安定するように乗っていたように見えました。先週も話しましたが、特に馬場状態が良くない時、スピードに乗せる時には縦のラインを大事にしていたと。今回の騎乗は手綱の位置をなるべく変えず、肘からハミにかけてのラインも安定していて、縦のラインが真っすぐ向いていました。川田君が同じリズムで走らせることを作り上げていたので、馬自身も走りやすかったのではないかと思います。

 直線を捌いて伸びて来たところに注目が行くかもしれませんが、その流れを作ったのは道中で、パトロールビデオを見ると3コーナーに入って50mくらいまでのところに、たくさんすごい技術が詰まっているんです。

 僕自身、現役時代は勝つ確率の高い乗り方を意識していて、今回のレース運びは勝つ確率がすごく高いレース運びだったんじゃないかと。もしもあの形で負けたとしても、納得のいくレースだと感じられたのではないでしょうか。昨年の高松宮記念は3番人気10着と負けてしまいましたが、悪い乗り方はしていなかったと思います。そういうことも経験し、今回の馬場状態も含め、いろいろなことを考えた上で、馬の走りやすいように走らせてあげたいという想いが究極にハマったのではないでしょうか。

哲三の眼

勝つ確率がすごく高いレース運びだったと哲三氏が振り返る川田騎手の騎乗(C)netkeiba.com


 軸がしっかりしていてブレていない、人間の想いと馬の走りの軸がブレないというのは、とても大切なことだと思います。レースの中で「こういう位置に付けたい」「こういう競馬がしたい」とジョッキーが考えて、そこにはめ込みたくなる気持ちもわかりますが、今回の川田君の騎乗は、馬が走りやすいような形を作って、無駄なことはしないというシンプルなレースでした。

川田騎手が見せる馬への優しさ


 騎乗とは直接関係ありませんが、川田君らしい馬への優しさ、気遣いが見られたのが、レース後検量前の枠場で馬を下りた場面です。馬を労う時に、肩に軽く抱き着いて「ありがとう」と伝えているところが好きだなと。

 これは僕の持論で、いろいろな意見があっていいと思っていますが、僕はレース後の派手なガッツポーズは疲れている馬にとって負担になることもあると考えています。レース後に馬から下りた時にも、まだ息が整っていない馬の目の前にずっと立ってしまうのは、馬からしたらイヤなのではないかと想像していて。横から鼻づらをちょっと撫でたり、クビを撫でたりということはいいと思うけれど、息が整っていないわけですから、さっと済ますというのが理想かなと。そういうところを見ても、さすが川田君だなと感じました。

 もちろん大きなレースを勝って、感情が爆発してガッツポーズをする、というのも競馬の醍醐味の一つですから、そのことについて批判しているわけではありません。今回の労い方は、川田君らしい馬への優しさを感じた、というエピソードです。

今週の注目コンビ


哲三の眼

今週の注目コンビは3択で迷った挙句、サリオス&松山弘平騎手に(撮影:下野雄規)(C)netkeiba.com


 今週注目のコンビは大阪杯の中で1組に絞り込めず、祐一君、クリストフ(・ルメール騎手)、松山君の、3人のせめぎ合いをイメージしています。誰を一番にピックアップしていいかわからないくらい、すごくいいメンバーですね。特に楽しみなのはサリオスと松山君。どんな立ち回りを見せてくれるか注目しています。

(※文中敬称略)



【公開曜日変更のお知らせ】

 いつも哲三の眼!をご覧いただきありがとうございます。

 毎週木曜18時に公開していた当コラムですが、レース回顧をより早くお届けするために、来週より毎週火曜18時公開に変更させていただきます。

 次回更新は4/6(火)の予定です。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

netkeiba編集部

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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