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【大阪杯予想】マイルから中距離戦線を占う一戦、期待は未来へ広がる

  • 2021年04月03日(土) 18時00分

血統背景からも秘めるスケール全開はこれから


 2017年にGIに昇格して以降、この4年間に連対した8頭にはすべて「GI連対実績」があった。3着馬4頭の中に、重賞5勝馬ながらGI連対記録がなかった2017年のヤマカツエースがいるだけ。

 もちろん、レイパパレのようにこれから開花する馬はいるが、天皇賞(秋)2000mと対をなす古馬中距離のGI。人気のコントレイル(GI4勝)、グランアレグリア(GI4勝)のほか、サリオス、ワグネリアン、ペルシアンナイトの5頭が有力候補であり、今年のマイルから中距離路線の出発点となる注目レース。期待は未来へ広がる。

 昨年、無敗の三冠馬となった4歳コントレイル(父ディープインパクト)は、ちょっと細身にも映った体が充実中。これからもっとたくましく成長してくれること必至。

 安田記念、スプリンターズSなどを制した5歳牝馬グランアレグリア(父ディープインパクト)は、距離の幅を広げ、第二のアーモンドアイを目指すことになる。

 2強の好走は確実だが、ここは第三の男になった印象の4歳サリオス(父ハーツクライ)に期待したい。勝ったGIは2歳時の朝日杯FSだけ。クラシック2冠はコントレイルの2着。マイルCSの5着で評価を落としてしまったが、あれは基準外の一戦に近い。

 前後半「46秒9-45秒1」=1分32秒0の緩いペースを後方に控えて進み、上がりだけ最速の33秒1でグランアレグリアと0秒4差。とても力を出し切ったとはいえない。

 巧みに再鍛錬の期間を挟みながら、成長をうながしつつ、完成に近づけるのが堀調教師の手法。父母両系ともに決して早熟ではないハーツクライ産駒に合っている。近年では古馬になって目下4連勝中のヒシイグアスがいる。

 ハーツクライ産駒にも素質の高さで早期に活躍する馬はいる。だが、ハーツクライ自身も、代表産駒のリスグラシュー、2018年の大阪杯の勝ち馬スワーヴリチャード、ジャスタウェイなどのエース級も、少し停滞したあと4歳以降のGI路線で本物になっている。

 サリオスの牝系は知られるようにドイツを代表する名門(ブエナビスタ、マンハッタンカフェも同じ牝系出身)。サリオスの4分の3同血の姉サラキアが本物になって重賞を制し、エリザベス女王杯→有馬記念を連続2着したのは、ディープインパクト産駒には珍しく5歳の後半だった。

 サリオスもこれから充実期に入って不思議ない。最初は水牛かと思わせる規格外れの怪しい巨漢馬に映った。サラブレッドとは思えないほど整っていなかった。

 だが、4歳になり素晴らしいバランスの体つきに変身している。秘めるスケール全開はこれからに違いない。人気の2強対決になる可能性はあるが、サリオスの未来へ広がる期待も負けずに大きい。サリオスの逆襲でこの中距離路線は一段と充実する。

 サリオスから2強本線に、手は広げられないから、穴馬に昨年小差4着のカデナ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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