スマートフォン版へ

【フローラS】今年も新しい風を呼び込んでくれるレースを期待

  • 2021年04月24日(土) 12時00分

大舞台への可能性があるかぎりその点に集約して鍛錬されている


 クラシックの晴舞台をめざす3歳馬たち。春は、あと2レース。東京競馬場の1マイル半、オークスとダービーへ向け、可能性のあるものは全力を注いでいく。昨年に続き、桜花賞も皐月賞も無敗のタイトル馬が生まれただけでなく、吉田隼人、横山武史騎手がその勝利の手綱を取り、レースに新しい風を呼び込んでくれた。ジョッキーの世界もはっきり移ろいを告げている。

 それは、街路樹の浅緑色の葉が美しく輝いているのを見る思いに似ている。透き通った葉が重なり合い、春の陽光と戯れている。その芽立ちを助けていたのが4月の雨だ。思い通りにならない中でも、少しでも光を受けて成長した様は、幾多の試練を経て今日を迎えた彼等と同じと言っていい。

 今週のフローラSは、昨年4番人気のウインマリリンが、4戦目でデビュー4年目の横山武史騎手が初重賞制覇を飾っていた。ミモザ賞を勝って2000米は2戦2勝でのぞんでいたが、中距離指向の強い牝馬がこのレースにはあっていることを立証していた。ウインマリリンはオークスでは父横山典弘騎手でデアリングタクトの2着に入っていたが、この春は、武史騎手で日経賞を勝って天皇賞に向かうまでに、人馬ともに存在を示している。きっかけがフローラSであったことに感慨深いものがある。

 3歳春の時点で、どこも不安のない牝馬は少ない。特に残るオークスは、距離、コースがこれまでとは大きく変わるから、そうした若馬たちは、あくまでもその点に集約して鍛錬されてきた。この5年、フローラSを勝ちオークスで2着したチェッキーノ、ウインマリリンの例を見るまでもなく、ここをステップに本番にのぞんだ馬はかなりいる。少し広げてこの10年、フローラS出走馬でオークスで3着以内に入った馬は、全部で8頭を数えている。

 今年は、ソダシ、サトノレイナスと阪神ジュベナイルF、桜花賞でワンツーを決めた2頭の今後の動向が微妙だが、このトライアルの持つ意味は、日を追う毎に大きくなってきた。

 桜花賞をパスしてこちらに路線を定めたユーバーレーベン。阪神ジュベナイルFでハナ、クビの3着、これは価値がある。始動のフラワーCは大事に乗って3着だったが、エンジンのかかりがゆっくりなので東京なら面白い。そのフラワーCではゲート内でジャンプしてスタートが遅れたルースは、じりじり脚をのばすタイプで開幕週の馬場がいいタイプ。同じ組のクールキャットも距離がのびてからの馬でこの3頭は紙一重だ。

 そのフラワーCは除外され、ミモザ賞では重馬場で切れ味が生かされなかったオメガロマンス、走りが良くなったオヌールも体は小さいが強烈な末脚で面白い。とにかく、多士済々でこの先を含めて見ていきたい。

「叶うなら 檜舞台へ トライアル」

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング