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【天皇賞・春】今年は何が起こっても不思議なし!

  • 2021年04月25日(日) 18時00分

■天皇賞・春(GI・阪神芝3200m)フルゲート18頭/登録17頭


★3行でわかる! 天皇賞・春 攻略の糸口

1.波乱傾向が強めのレース条件。7〜12番人気を積極的に!
2.4角で前を射程圏に入れる必要あり。直線勝負は厳しい。
3.阪神大賞典組5歳馬関東馬&関東騎手は要チェック!

データ特注推奨馬
 ★現時点ではナシ

 今年の天皇賞・春が開催される「阪神芝3200m外→内」は、なんと過去に2回しか使用されていないコース。1周目が外回り、2周目が内回りというトリッキーなコース形態で、京都芝3200m外とは何から何まで違う。データ分析の記事でこんなことを言うべきではないのかもしれないが、過去のレース傾向など、今年はまったく参考にならないだろう。そういった前提のもとで、多少なりとも参考になりそうな点をあげた結果がコレだ。

 京都開催でもけっこう波乱含みだったのだから、格段にトリッキーな阪神芝3200mでの開催となることで、その傾向は加速する可能性が大。今回と同じコースで行われている1994年の天皇賞・春はガチガチの順当決着だったが、その勝ち馬であるビワハヤヒデのような「確たる中心」も見当たらない。荒れ馬場や重馬場を苦にする馬や、この距離が未知数である馬が人気を集めそうな今年は、そうそう順当には決まらないはずだ。

 あとは「直線では差せないレース」というのも、しっかり意識しておきたいポイント。京都外回りの長い直線で差せないのだから、阪神の内回りではなおさら差しづらい。中団〜後方に位置する馬は、2周目の3コーナーあたりから進出を開始して、直線の入り口では前を射程圏内に捉えておく必要がある。組み合わせや馬場バイアスにもよるが、おそらく「前」のほうが有利なレースである。

 あとは「阪神大賞典組>日経賞組」であることや、5歳馬がもっとも優秀な内容を残していること、関東馬や関東所属騎手が存在感を大いに発揮していること、前走でマイナス体重だった馬が高配当の立役者となっていることなども、ある程度は意識しておいたほうがよさそう。事実上の新設重賞で分析はほぼ不可能なので、データ特注推奨馬は「ナシ」とさせていただいた。

【コース総論】阪神芝3200m外→内 Bコース使用

・コースの要所!

★2周目は内回りなので最後の直線は短い。スタミナと器用さが要求されそう。
★中波乱傾向が強そうなイメージ。7〜9番人気や10〜12番人気の激走を警戒。
★すべて異なるコーナーを6回まわる形態。馬場次第だが内のほうが有利そう。





 阪神芝3200mは、その表記に「外→内」と付くJRA平地で唯一のコース。外回りと内回りの両方を使うという、トリッキーな形態だ。バックストレッチの中央あたりがスタート地点で、そこからまずは外回りコースの3〜4コーナーへと進入。そして2周目からは内回りコースを走って、約360mとやや短めの最後の直線へ。同じ3200mといっても、京都の外回りとはまったく異なる性質のコースといえる。

 参考となるコースデータは、ほぼゼロだ。というのも、阪神芝3200mでレースが行われたのは、過去に2回だけだからである。1994年の天皇賞・春(1着ビワハヤヒデ、2着ナリタタイシン)と、今年の2月の松籟Sでしか使用されていないコースを分析するのは不可能。というわけで今回は、多少は参考になるかもしれない、阪神芝の「2200m以上内回りコース+芝3200m」を集計対象としたデータを掲載している。

 まずは人気別成績だが、7〜9番人気や10〜12番人気といった穴馬の活躍が目立つ。距離が長くなることで、能力よりも“適性”が問われるケースが増えて、人気薄の激走率が上がるのだろう。1994年の天皇賞・春は人気通りのガチガチ決着だったが、今年2月の松籟Sでは、11番人気のタイセイモナークが2着に激走。人気サイドで好走したのは、天皇賞・春にも出走予定のディアスティマだけだった。

 続いて枠番についてだが、すべて異なるコーナーを6回も走るという形態や、距離ロスの差を考えるに、やはり内枠のほうがベターなはず。掲載している参考データでも、馬番13〜18番に入った馬はかなり成績不振だ。ただし、超ロングラン開催の最終日でもあるので、馬場バイアスには要注意。馬場が悪くなった内を避けて通るような状況になると、内に押し込められた馬は、能力を発揮できなくなる可能性がある。

 最後に脚質について。2周目で走る内回りコースは、3〜4コーナーにかけての起伏が小さく、しかも最後の直線が短い形態となっている。急坂が待ち構えているとはいえ、ある程度は前のほうのポジションにいなければ、勝ち負けに持ち込めないはずだ。実際に参考データを確認しても、先行勢と中団待機組は互角に張り合っているが、後方に置かれた馬はサッパリの成績。コーナーでうまく加速できる器用さが問われてきそうだ。

【レース総論】天皇賞・春(GI) 京都過去10回

・レースの要所!

★1番人気はイマイチな結果も2〜3番人気は好内容。相手紛れのケースが多い。
★脚質は完全に「前」優勢で、4角先頭からの押し切り多発。差せないレース。
★成績がもっとも優秀なのは5歳馬。前哨戦別では阪神大賞典組の内容がいい。
★前走マイナス体重の馬が波乱の立役者。関東馬や関東所属騎手も侮れない。









 京都でのレースデータは「まったく」参考にならないが、ほかに参考とすべきものがないので、通常どおり掲載している。人気別での傾向やローテ面などについては、今年の予想に役立てられる部分があるかもしれないが、今年の天皇賞・春は新設重賞のようなもの。過去の傾向にとらわれずに、ニュートラルな姿勢で臨んだほうがいいだろう。

 まずは人気別成績だが、1番人気は[3-1-0-6]と意外なほどアテにできない。もっとも、過去4年に限れば[3-1-0-0]とパーフェクトに近い成績で、近年になって信頼度がグンと向上してはいるのだが、それでも過信は禁物だ。人気サイドを狙うならば、高信頼度かつ高回収値である、2〜3番人気のほうが面白い。

 4番人気以下馬については大きな偏りがなく、狙いを絞りづらい印象。7番人気以下馬が、トータル[2-3-3-100]で複勝率7.4%、単勝適正回収値108.5、複勝回収値91と好内容を残しているので、人気薄を積極的に狙っていくべきではあるのだが、具体的に「どこ」を狙うかは非常に難しい。2〜3着のヒモは、かなり手広く狙ったほうがいいだろう。

 枠番データは、本気と書いてマジで何の役にも立たないので、今回はノータッチ。ただし、大きな偏りが出ている「脚質」については、今年もしっかり意識しておいたほうがいいと思われる。というのも、外回りで直線も長い京都開催でのデータでありながら、圧倒的に「前」が強いレースだからだ。中団〜後方に位置する馬は、早めに進出を開始して、直線では前を射程圏に捉えておく必要がある。これは、今年も変わらないだろう。

 年齢別成績では、単勝適正回収値と複勝回収値の両方が大台を突破している、5歳馬の内容がいい。複勝率の高さは4歳馬や6歳馬のほうが上だが、勝率や連対率では大きく上回っている。7歳以上の高齢馬もそれなりに馬券に絡んでいるが、これだけ信頼度に差があると、手は出しづらいところ。強い買い材料がある馬だけを3着で狙うというのが、おそらくベターな付き合い方だろう。

 前哨戦別では、阪神大賞典組と日経賞組が互角に張り合っているイメージ。ただし今年に関しては、阪神の長距離戦で好走しているという「実績」が、例年以上にモノをいう可能性が高い。そもそもの信頼度や回収値も阪神大賞典組のほうが高いのだから、どちらを重視すべきかは自明の理。例年以上に、阪神大賞典組を信頼したい。

 因果関係がうまく解説できないアノマリー系のデータからは、前走での馬体重増減別成績を取りあげた。7番人気以下で激走した馬は8頭いるが、そのほとんどが、前走で「マイナス体重」だった馬なのだ。ちなみに、今年の登録馬で前走がマイナス体重だったのは、ウインマリリン、オーソリティ、ゴースト、ナムラドノヴァン、メロディーレーンの5頭だけ。この組は人気になった場合の信頼度も高いので、要チェックといえる。

 最後に騎手関連データだが、継続騎乗組のほうがわずかに内容が優秀であるのと、関東所属騎手の活躍が目立っていることが注目すべきポイント。そして天皇賞・春は、関東馬が意外に強いレースでもある。関東所属騎手&関東馬が大いに存在感を発揮した今年の皐月賞のように、ここでも関東勢の台頭があるかもしれない。

【血統総論】


 血統面は、ディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒、キズナ産駒を一応はプラス評価の対象とした。集計の対象期間が長いので、近年の傾向とは少しズレがありそうではあるが、ある程度はアテにできるはずだ。注目はキズナの産駒で、阪神大賞典ではディープボンドが快勝。さまざまなタイプを出す種牡馬だが、おそらく器用さやパワーに秀でているという点が、このコース条件の適性を高めているのだろう。

★特別登録馬 総論×各論

 例年以上に混戦ムードが漂っている、今年の天皇賞・春。上位の人気が割れまくるのは確実で、どの馬がどの程度の人気になるのかすら読みづらい。阪神大賞典を快勝したディープボンドや、そこで圧倒的な人気を集めていたアリストテレス。牝馬ながらこの距離の頂上決戦に挑んできたカレンブーケドールやウインマリリン。長距離適性の高さは折り紙付きの菊花賞馬ワールドプレミアなどが、上位人気候補だろうか。

 しかし、前述したように「通常のデータ分析」は不可能。それでもある程度の結論は出す必要があるので、以下では「なんとなく向きそう」「なんか買いづらそう」といった、筆者のイメージや感覚による各論を述べている。データ分析の結果とはいえないというのを、あらかじめご承知いただきたい。

 トップ評価はディープボンドだ。菊花賞でも4着と結果を残していた馬だが、前走の阪神大賞典は後続に5馬身差をつける完勝劇。ダート馬や短距離馬も出すキズナの産駒ながら、本馬は長距離適性が非常に高いというのを、改めて証明してみせた。荒れ馬場や道悪をこなせるパワーも十分で、前々で流れに乗れる脚質もプラス。2〜3番人気になった場合には、さらに期待できそうだ。

 二番手評価に、菊花賞馬ワールドプレミア。日経賞では3着に敗れたが、まだデキが本物ではなかったことを考えれば、悪くない結果だろう。阪神芝での勝ち鞍はないが、神戸新聞杯や若葉Sで好走しているように、とくに問題はないはず。菊花賞馬という実績と、前走からの上積みの大きさ、相手関係の軽さなどから考えて、ここで再びGIタイトル奪取となる可能性は、十分にあるはずだ。

 三番手評価にカレンブーケドール。前走の日経賞でも2着と「らしさ」を発揮したが、条件を問わずに相手なりに走れる持ち味は、ここでも生きるはずだ。天皇賞・春での好走例がまったくない牝馬であること、ここまで距離が延びていいタイプではなさそうなことなど懸念材料も多いが、その実績はここに入ると最右翼といっても過言ではないほど。上位への食い込みが、ここでも期待できるとみた。

 以下はユーキャンスマイル、アリストテレス、ウインマリリン、ナムラドノヴァンといった評価の序列としたが、忘れてはならないのが「いかにも荒れそうなレース」だということ。1〜2着が人気馬や上位評価組で決まったとしても、3着には意外な伏兵が突っ込んでくるケースが十分に考えられる。個人的には「堅く決まったら諦める」くらいのスタンスで、かなり振り回した馬券で勝負してみたいと考えている。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



けっこう自信あったがハズレ(#^ω^)ビキビキ

上位に評価していた4頭がそれぞれ4枠と8枠に入ったので、枠連1点勝負をするようなイメージで買ったこちらの馬券。より人気のない15グラティアスと16レッドベルオーブのほうを軸にしているのが、我ながらスケベ心いっぱいである。

それにしても、07エフフォーリアの勝ちっぷりは鮮やかだったデスネ。東京のほうが向きそうなイメージの馬だけに、これはダービーでも好勝負必至ではないかと。あとは、ディープインパクト産駒が馬券に絡まなかったというのに、時代の流れを感じます(加齢)。

※コース&血統データは2013年以降、レースデータは2011年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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