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近年長距離GIで活躍目立つディープの血

  • 2021年05月03日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・5/2 天皇賞・春(GI・阪神・芝3200m)
 中団を追走したワールドプレミアが直線で外から伸び、ディープボンドに競り勝ちました。阪神コースでの施行、馬場コンディションなど、予想をする上でいくつかの難しいファクターがあったのですが、結局は1〜4番人気馬が上位4着までを占めました。この4頭が能力的に上だったということです。

 母マンデラはドイツの名馬マンデュロ(ジャックルマロワ賞などGIを3勝)の半姉にあたる良血で、現役時代に独オークス(GI・芝2200m)3着、ポモーヌ賞(仏GII・芝2700m)3着などの成績を残したスタミナタイプ。

 全兄ワールドエースはマイラーズCときさらぎ賞の勝ち馬ですが、距離適性の面からいえば、菊花賞と天皇賞・春を勝ったワールドプレミアのほうが母の特徴を素直に受け継いでいるといえます。

 菊花賞時に比べると確実に地力を強化しており、今回も正攻法でねじ伏せる堂々たる横綱相撲でした。ディープインパクト産駒は天皇賞・春3連覇。ちなみに、菊花賞も現在3連覇中と、このところ長距離GIにおけるディープインパクト産駒の強さが目立っています。

・5/1 青葉賞(GII・東京・芝2400m)
 好位を追走したワンダフルタウンが直線で馬群を割って伸び、内で粘るキングストンボーイにハナ差競り勝ちました。

 昨年11月に京都2歳Sを勝ったあと爪に不安を発症し、これが約半年ぶりの実戦。1週前追い切りでは併せた馬に後れを取っており、コンディション的には万全とはいえませんでした。とりあえず間に合った、といった状態で前哨戦を勝つのですから、爪の不安が再発しなければ次走のダービーはいいところがありそうです。

 ルーラーシップ産駒は東京芝2400mで連対率29.3%。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した35頭の種牡馬のなかで第1位。2位ディープインパクト(25.4%)を約4ポイント上回っているのですから優秀です。

 母シーオブラブはJRA未勝利馬ですが、紫苑Sを勝ち、オークスでも3着と健闘したビッシュの全姉。「ルーラーシップ×ディープインパクト」は菊花賞馬キセキと同じ組み合わせです。

今週の血統注目馬は?


・5/8 五泉特別(2勝クラス・新潟・ダ1800m)
 シニスターミニスター産駒は新潟ダ1800mで連対率26.8%。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した122頭の種牡馬のなかで第4位という優秀な成績です。当レースにはストームガストが登録しています。

 昨年10月、当コースで9番人気ながら逃げ切っているので、コース適性は高いといえるでしょう。それ以来、勝ち星はありませんが、自分の競馬ができれば一発が期待できます。

今週の血統Tips


 5月1日、米ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われたケンタッキーダービーは、6番人気の伏兵メディーナスピリットが逃げ切りました。

 プロトニコというマイナー種牡馬の仔で、1歳時のセリでわずか1000ドル(約11万円)で落札されたフロリダ産の安馬であることが話題ですが、系統という視点で見ると、1着メディーナスピリット、2着マンダルーンはいずれもストームキャット系です。

 昨年の優勝馬オーセンティック、2018年の優勝馬ジャスティファイもストームキャット系なので、過去4年間でこの系統が3勝しています。2着マンダルーンの父イントゥミスチーフは、2年連続で北米チャンピオンサイアーとなり、今年も好調なので、黄金時代を築きつつあります。北米種牡馬界の重心が少しずつストームキャット系に傾いているのではないか……という見方もできますが、エーピーインディ系やミスタープロスペクター系、他のノーザンダンサー系もランキング上位に種牡馬を送り込んでおり、現在の群雄割拠状態はもうしばらく続くのではないかと思います。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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