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【天皇賞・春】「他馬が手出しできなかった」福永祐一騎手のポジショニング

  • 2021年05月04日(火) 18時00分
哲三の眼

福永祐一騎手は初の天皇賞・春制覇!(C)netkeiba.com


今年の天皇賞・春は、3番人気ワールドプレミアがレコード勝ち! 福永祐一騎手は初コンビながらも積極的な騎乗で、パートナーを2つ目のGIタイトルへ導きました。課題だったスタートは決まらなかったものの、その後のリカバリーでポジションを取りにいったことが、大きな勝因と哲三氏は分析します。阪神3200mの舞台で繰り広げられた、春のステイヤー決定戦を振り返ります。

(構成=赤見千尋)

“ポジションを取りにいくこと”で生まれてくるもの


 春の天皇賞は3番人気だったワールドプレミアがレコード勝ち。馬自身も強かったですし、(福永)祐一君の好騎乗も光りましたね。

 まずはスタートで、ポジションを取ろうとした結果取れなかったけれど、取ろうとしたことによって、アリストテレスをしっかりマークすることが出来ました。アリストテレスの後ろに他の馬を入れないようにしたことが、勝利にかなり近づいた要因だったと思います。そこからはずっとアリストテレスをマークする形で、レースはしやすかったのではないでしょうか。

 もしスタートしてポジションを取りにいかず、最初から内をすくって距離を詰めていこうという考えであれば、他の馬にアリストテレスの後ろを取られていたかもしれません。最初のコーナーまでポジションを取ろうという姿勢で、スピードに乗っているわけですから、他の馬からしたら入りづらい状況になります。他の馬を入れないように詰めていったということではなく、スタートしてからのスピード感で他の馬が入れない形を作りました。

 僕はいつも、「まずはポジションを取りにいった方がいい」と言っていますが、ポジションを取りにいくことで生まれてくるものは、こういうところに繋がっていくと思います。3200m戦で、当然スプリント戦などよりもゆっくり展開していくわけですが、それでもスタートから最初のコーナーまではとても重要です。

 当日の阪神競馬場はかなり風がキツい状況で、そういうところでも強い馬をしっかりマーク出来たというのは大きかったのではないかと。近くに接近してマークするというよりも、スピードが乗りやすいくらいの微妙な距離間で前を見れていたというのがすごく良かったと思います。特に向正面の攻防は、周りの馬たちに手出しさせなかったですから。祐一君の好判断でしたね。

哲三の眼

「向正面の攻防は周りの馬たちに手出しさせなかった、祐一君の好判断」(C)netkeiba.com


 3コーナーで早めに動くと読んでの騎乗も好判断だったと思います。アリストテレスのクリストフ(・ルメール騎手)、ディープボンドの和田(竜二)君も、3コーナーから早め早めに動いていきましたから、あそこでもし内にいたら難しくなった可能性もあります。レースが動いてペースアップした時にはすでに外目に出していて、しっかり流れに乗れたこともポイントだったのではないでしょうか。

負けても次に繋がる競馬をしたコンビ


 2着だった和田君は、土曜日の青葉賞の判断も冴えていて、そこは接戦を勝ち切りました。天皇賞は接戦のすえ2着でしたが、すごくいいトライをしていましたね。風が強い状況で、どの辺りに入るだろうかというところで、あまり内に入れて欲しくないなと思いながら見ていました。もしかしたら「もっと内に入れていたら」と思った人もいるかもしれませんが、パドックでの歩きや返し馬などでリズムの良さが目立っていて、前走も内に入れずに勝っているわけで、そこを崩したくないというのがポイントだったと思います。

 内には入れず、外からリズム良く運ぶことを選んだのは好判断だったと思いますし、強い風にも負けず、「勝つんだ!」という熱い想いが伝わるレースでした。タラレバはあまりいいたくないですが、もしあそこまで風がキツくなかったら押し切っていたのではないかと想像しています。

 今回の騎乗は狙っていたと思いますし、実際狙い通りに運んで勝ってもおかしくない競馬でした。あの攻めっぷりを見せられたら勝って欲しかったなと思いますが、次に繋がっていく競馬だったと思うので、またGIで応援したいです。

 3着だったカレンブーケドールの戸崎(圭太)君も好レースでした。2、3着の多い馬で、あと一歩勝ち切れないわけですが、今回同じ3着でも、勝ちに動いていってのもの。いいトライを見せてくれましたし、GIの舞台で魅せる騎乗でしたね。ディープボンドにも言えることですが、たとえ負けても次に繋がっていくレースだったと思います。

哲三の眼

2、3着馬たちは負けたものの、次に繋がる競馬を見せてくれた(C)netkeiba.com


 アリストテレスは4着でしたが、前回の失敗を繰り返さなかったですよね。前回もし良馬場で戦っていたら、今回もう少し前につけられたのではないかと想像しました。もちろん今回も攻めているんですが、前回の修正をしながらのレースで、少し守りに入らざるを得ない分の4着だったのではないかと。負けはしましたが、クリストフの騎乗はさすがだなと思いました。

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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