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欧州古馬12F戦線へ オブライエン厩舎がロケットスタート

  • 2021年05月19日(水) 12時00分

キーファーズ松島氏が共同所有するジャパンも復活V


 欧州古馬12F戦線が、興味深い展開になっている。

 シーズンの滑り出しからこの路線でロケットスタートを決めたのが、エイダン・オブライエン厩舎のブルーム(牡5、父オーストラリア)だ。

 キーファーズの松島正昭氏が共同馬主に名を連ねている本馬。3歳春にG3バリーサックスS(芝10F)、G3愛ダービートライアルS(芝10F)を連勝して以降、伸び悩んでいた同馬だが、5歳を迎えて覚醒。3月28日にネースで行われたLRデヴォイS(芝10F)を3.1/2馬身差で制して約1年10か月振りの勝利を飾ると、4月17日にカラで行われたG3アレッジドS(芝10F)を制し3度目の重賞制覇。

 そして、5月3日にカラで行われたG2ムーアズブリッジS(芝10F)でも、道中2番手から残り500m付近で先頭に立つと、昨秋のG3愛インターナショナルS(芝10F)を7.1/2馬身差で快勝しているヘルヴィックドリーム(セン4、父パワー)に2馬身差を付けて優勝。3連勝を飾るとともに、4度目の重賞制覇を果たしている。

 ここ2戦で同馬の手綱をとっているR・ムーア騎手は、ムーアズブリッジSの後、「10Fで3連勝しているが、距離はもっと長くても問題ない。どんな馬場状態でもこなせるのが、この馬の強み」とコメントしている。

 松島氏が共同所有しているオブライエン厩舎所属馬と言えば、3歳時にG1パリ大賞(芝2400m)、G1インターナショナルS(芝10F56y)を制しているジャパン(牡5、父ガリレオ)の存在を忘れてはならない。ブルーム同様、4歳となった20年は5戦未勝利と、期待を裏切る歯がゆいシーズンを過ごしたジャパンだったが、この馬もまた5歳になって復活を果たしている。

 同馬の今季初戦となったのが、5月6日にチェスターで行われたG3オーモンドS(芝13F84y)で、ジャパンがオッズ2.625倍の1番人気に推され、昨秋のG2ブリティッシュチャンピオンズ・ロングディスタンスC(芝15F209y)勝ち馬トゥルーシャン(セン5、父プラントゥール)がオッズ3.25倍の2番人気に推された。

 道中3番手で競馬をしたジャパンは、先に抜け出していたトゥルーシャンを残り1Fで捉えると、最後は3/4馬身抜けて優勝。約1年9か月振りの勝利を飾るとともに、5度目の重賞制覇を果たした。

 同馬の手綱もとったライアン・ムーアは、「今日のような馬場(Good to Soft)は好きではない馬だが、よくこなしてくれた」と、レース後にコメントしている。

 一方、5月13日に仏国のパリロンシャンで行われたG3エドヴィル賞(芝2400m)に出走したのが、昨年のG1独ダービー(芝2400m)優勝馬で、秋にはG1パリ大賞(芝2400m)2着、G1凱旋門賞(芝2400m)2着と、この路線の中核となるレースで善戦を続けたインスウープ(牡4、父アドラーフルーク)だった。

 今季初戦となった、4月18日のLRロードシーモア賞(芝2400m)では、半年の休み明けが響いたか、重賞未勝利馬サブリミス(セン5、父シャマーダル)の2着と不覚をとった同馬だったが、G3エドヴィル賞では道中4番手から残り300mで先頭に立つと、そこから1.1/4馬身抜け出す危なげのないレースぶりで快勝。今季初勝利をあげるとともに、2度目の重賞制覇を果たしている。

 さらに、5月15日に英国のニューベリーで行われたG3アストンパークS(芝12F)を、オッズ1.91倍という圧倒的1番人気に応えて制したのが、ウイリアム・ハガス厩舎のアルアーシー(牡4、父シーザスターズ)だ。

 3歳だった昨年は4戦し、ニューマーケットのG3バーレーントロフィー(芝13F)を含む2勝を挙げたのがアルアーシーだ。今季初戦となった、4月18日にニューベリーで行われたG3ジョンポーターS(芝12F)を4.1/2馬身差で制し、2度目の重賞制覇を果たしていた。

 そして、今季2戦目となったG3アストンパークSでも、5頭立ての5番手追走から、残り2Fで先頭に立つと、ノーステッキのまま昨年のG2ダンテS(芝10F56y)勝ち馬サンダラス(牡4、父ナイトオブサンダー)に4馬身差をつける快勝で、3度目の重賞制覇を飾っている。

 ここで紹介した4頭は、いずれも6月4日にエプソムで行われるG1コロネーションC(芝12F6y)に登録があり、ブックメーカー各社による前売りだと、アルアーシーが2.0〜2.2倍のオッズで1番人気。3.75倍〜4.0倍の2番人気がジャパン。ブルームが7.0〜9.0倍、インスウープが8.0〜9.0倍で、3〜4番人気を争っている。

 6月4日のG1コロネーションCは、今後のこの路線を占う意味でも、見逃せない一戦となりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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