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【オークス】ユーバーレーベンへの理解と過去の勝ちパターンから実現 M.デムーロ騎手らしい好騎乗

  • 2021年05月25日(火) 18時00分
哲三の眼

2年ぶりにオークスを制覇したM.デムーロ騎手(撮影:下野雄規)


2年ぶりのオークス制覇となったM.デムーロ騎手。哲三氏は、レース直前のある姿を見て「今日はやるんじゃないか」という予感がしたと言います。

さらに、ユーバーレーベンの位置取りが、ラヴズオンリーユーで勝った時と似ているとも分析。M.デムーロ騎手の頭の中では、どのようなイメージが描かれていたのでしょうか? さらに、今回は8着に敗れたソダシについても解説します。

(構成=赤見千尋)

過去の騎乗から大切にしていた東京2400mのイメージ


 オークスは3番人気だったユーバーレーベンが差し切り勝ち。ミルコ(デムーロ騎手)が勝ってとても嬉しそうにしている表情を見るのは、こちらも嬉しくなりますね。レースでは直線の伸び脚が目立っていましたが、ミルコのファインプレーは的確な状況判断が随所にあったことだと思います。

哲三の眼

「ミルコ騎手の嬉しそうな表情を見ると、こちらも嬉しくなります」と哲三氏(撮影:下野雄規)


 まず最初に目に付いたのがゲートの入り方。手綱を伸ばして馬がリラックスした状態でゲートの中に入れていました。構えずにゆったり手綱を伸ばして入れているミルコを見て、「今日やるんじゃないか」と思ったんです。馬券的には本命にしていなかったので、「やられたら困るな」と思ったのが正直な気持ちです(笑)。

 スタート後、先行勢が少しゴチャつく展開になりましたが、ユーバーレーベンは中団後方寄りの位置取りでした。1コーナーの入り方が、ラヴズオンリーユーで勝った時と似ているんですよね。枠順としてはラヴズオンリーユーの方が少し外目でしたが、ゲートを出てから2コーナーへの進入角度が似ている。意識していたかどうかはわかりませんが、過去の自分が騎乗した東京2400mで良かったイメージというのを大切にしているのではないかと感じました。

 ジョッキーは騎乗しながらペースを判断し、ラップタイムと自分の馬の手ごたえを感じているわけですが、僕自身は2400m戦に乗る時、最初の1200mと後半の1200mで分けてイメージしていました。最初の1200mをどのくらいの手ごたえで走れたか、そこからまだお釣りあるなと思ったら早めに仕掛けたり、脚が溜まっているなと思ったら外に出して準備したりという風に判断していました。

勝ちパターンを意識した、的確な状況判断


 今回のミルコがどう考えていたかはわかりませんが、1200mくらいから外に出しましたよね。それまでは松山君の馬が前にいて、やや後ろにミルコという形。そのまま突っ込んで行くと、前の進みが悪くなる可能性があるので捌くのが大変だろうな、と想像していたのですが、自分の馬を少し下げて外に出しました。

 この3コーナー手前からの駆け引きが、勝利に繋がっていると感じます。一度馬場のいいところに出して押し上げて、そのまま勢いよく外を回る騎手もいると思いますし、そういう選択が有効な場面もありますが、ミルコはいったん少し内に入れて、馬をリラックスさせるんです。

 おそらく前にいる馬が仕掛けて上がって行ったらそのまま外を回った可能性がありますが、前の馬は脚を溜めているイメージで仕掛けて行かなかった。その外を回るのは損になるので一回内にいれて態勢を整えて、4コーナーを回ってから外に出しました。馬にとって走りやすいと思いますし、外を回っているけれど必要以上に損をしない乗り方です。

 状況判断と馬場状態の読みが的確で、勝ちパターンにはめ込んだなと。過去の良いイメージと、今回のユーバーレーベンの能力と状態をしっかり把握しているからこそ、的確な判断が出来たのではないかと思います。実にミルコらしい勝ち方でした。

哲三の眼

ミルコ騎手らしい好騎乗を見せた(撮影:下野雄規)


 期待していたソダシは8着と初めての負けを喫してしまいました。2400mは難しい戦いだったと思いますし、前の日に雨が降って、良馬場発表とはいえ若干重めで先行しづらい馬場だったと感じます。

 展開的にも先行勢には厳しい流れになりました。その中で直線まで見せ場を作ってくれましたし、普通の馬だったらもっとバテていたのではないかと想像しています。今回は残念な結果でしたが、また応援したいと思えるレースでした。

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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