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さらに成績が向上しそうなマジェスティックウォリアー産駒

  • 2021年06月21日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・6/20 ユニコーンS(GIII・東京・ダ1600m)
 中団を追走したスマッシャーがゴール直前でサヴァをとらえ、3歳春のJRAダート王の座につきました。3コーナーでピンクカメハメハが内ラチに突っ込んで競走中止となりましたが、スマッシャーはその後ろを走っていたので、一歩間違えればアクシデントに巻き込まれていたところでした。うまくかわして衝突事故にならなかったのは不幸中の幸いです。

 ダート重賞を6勝したメーデイアと同じファミリーの出身で、父はエーピーインディ系のマジェスティックウォリアー。同馬は、マル外として日本に入ったベストウォーリア(マイルCS南部杯を連覇)とエアアルマス(東海S)の活躍により、アメリカから輸入されました。日本における初年度産駒は現4歳。サンライズホープやライトウォーリアなどの活躍馬を出していますが、重賞勝ち馬はスマッシャーが初めてです。

 エーピーインディ系はシニスターミニスター、パイロ、カジノドライヴといったあたりが日本における代表的な種牡馬ですが、これらに引けを取らない活躍ぶりを見せており、年々種付け頭数が増えているので、これからさらに成績が向上しそうです。わが国で種付けをして誕生した産駒を大別すると、1400mタイプか1800mタイプに分かれ、間の1600mではこれまで目立つ成績を挙げていませんでした。ここで重賞を勝ったスマッシャーは馬のスケールが大きい、と考えるべきでしょう。

・6/20 マーメイドS(GIII・阪神・芝2000m)
 果敢にハナを切ったシャムロックヒルがクラヴェル以下の追撃をしりぞけて逃げ切りました。昨年7月に初勝利を挙げるまで10戦を要し、まだ2勝クラスを勝った実績しかなく、今回は5ヵ月ぶりの休み明けでした。50kgの軽ハンデと、キズナ産駒の成長力がモノを言いました。

 シャムロックヒルはキズナの初年度産駒で、現4歳。キズナ産駒は成長力旺盛で、2歳、3歳、4歳の連対率はそれぞれ19.9%、18.8%、24.4%。同じく1走あたりの賞金額は139万円、171万円、318万円。いずれも4歳時の伸びが際立っています。先週の函館スプリントSを制したビアンフェ、春の天皇賞で2着と健闘したディープボンドも4歳のキズナ産駒です。データを正確に読み解くと、3歳夏以降から右肩上がりに上昇しているので、現3歳世代を夏競馬で狙うのは有効な馬券作戦となるでしょう。もちろん、4歳世代もまだまだ狙えます。

 母ララアは社台ファームがアメリカから輸入した繁殖牝馬で、現役時代にハリウッドスターレットS(米GI・ダート8.5ハロン)を勝ちました。シャムロックヒルの2歳上の半姉サラス(父オルフェーヴル)は2年前のマーメイドS優勝馬。姉妹で同じ重賞を制覇したことになります。

今週の血統注目馬は?


・6/26 ポプラ特別(2勝クラス・札幌・ダ1700m)
 札幌ダ1700mと相性のいい種牡馬はマジェスティックウォリアー。連対率33.3%は2011年以降、当コースで産駒が20走以上した72頭の種牡馬のなかで第2位。当レースにはオレンジペコが登録しています。「母の父キングカメハメハ」も札幌ダ1700mでは連対率30.4%と成績抜群。このコースに向いた血統構成です。オレンジペコ自身、札幌ダ1700mでは3戦3連対。今回はチャンスでしょう。

今週の血統Tips


 宝塚記念と有馬記念はリンクすることで知られています。直線が短く、ラストに急な坂があり、時計の掛かる馬場で行われることが多い、という共通点があるため、両方のレースで好走する馬が珍しくありません。2000年以降、両レースを制覇した馬は7頭を数えます。ちなみに、宝塚記念とジャパンCを勝った馬は3頭しかいません。こちらはコース設定が対照的なのでリンクしづらく、ダブル制覇は2006年のディープインパクトを最後に実現していません。

 新しい阪神競馬場(2006年12月新装オープン)となってからはゼロです。1番人気が予想されるクロノジェネシスは上記の7頭のなかの1頭。なおかつ、昨年のこのレースを6馬身差で圧勝しています。父バゴは瞬発力よりもスピードの持続力に定評があるため、小回りコースや時計の掛かる馬場を得意としています。ドバイ帰りで体調が本物かどうか、当日の馬場状態がどうか、という2点が不確定要素で、このあたりをしっかり見極めたいところです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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