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【ラジオNIKKEI賞AI予想】1勝クラスを勝ち上がったばかりだがチャンスはありそう!

  • 2021年06月28日(月) 18時00分

道中の位置取りからして完璧だったクロノジェネシス(C)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

荒れる要素しかない一戦でAIが選んだのは!?


AIマスターM(以下、M) 先週は上半期を締め括る大一番、宝塚記念が行われました。

伊吹 勝ったクロノジェネシスは、もう道中の位置取りからして完璧でしたね。海外遠征からの帰国初戦で、状態面を心配していたのですが、まったくの杞憂でした。

M 下半期からは、Aiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬を、伊吹さんの解説とともにお伝えしていきます。

伊吹 宜しくお願いします。もともと他の予想家さんと議論するのは大好きなのですが、まさか人工知能を相手にする日が来るとは(笑)。とても楽しみです。

M 今週の日曜福島メインレースはラジオNIKKEI賞。昨年は単勝オッズ20.2倍(8番人気)のバビットが制しました。

伊吹 2着のパンサラッサに5馬身差をつけての逃げ切り勝ちでしたね。次走のセントライト記念も勝って、フロックでないことを証明したわけですが、当時は正直なところびっくりしました。

M そのパンサラッサが単勝オッズ15.8倍(7番人気)、3着のディープキングも単勝オッズ9.5倍(5番人気)で、3連単は17万3020円の高額配当になりましたね。

伊吹 過去10年のラジオNIKKEI賞における単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭のうち12頭を7番人気以下の馬が占めています。


M 1番人気馬はそれなりに健闘していますが、超人気薄の馬も侮れない、波乱含みの一戦と言って良さそうです。

伊吹 私もそう思います。まぁ、2015〜2019年の5年間はいずれも単勝3番人気以内の馬が勝っていて、“単穴”は昨年のバビットが久々だったんですけど。

M やはりハンデ戦であるという点が大きいんでしょうか。

伊吹 このレースの場合は“3歳限定のハンデキャップ競走”という部分がポイントになっていそうです。他に同じ条件のレースがない、非常にユニークな存在ですから、予想する側としてもノウハウを蓄積するのが難しい。

M なるほど。参考にできるデータが少ない唯一無二のレースと考えれば、むしろ荒れない方が不思議ですよね。

伊吹 そのうえ舞台がまぎれの多い福島芝1800mですからね。これからも積極的に穴を狙っていくべきでしょう。

M 今年のラジオNIKKEI賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ジュンブルースカイです。

伊吹 おっと。そこに行きましたか。

M 今年は上半期の重賞で善戦してきた馬がたくさんいますし、おそらくそれほど人気にはならないでしょう。

伊吹 一応、この馬も昨年の東京スポーツ杯2歳Sで3着に健闘している実績馬なんですけどね。

M 2歳時に収得賞金を上積みすることができず、今年は1勝クラスから再出発。前走で勝ち上がり、再びオープンの舞台へと戻ってきました。

伊吹 皐月賞やNHKマイルCまで駒を進めた馬たちに比べると、やはりどうしても戦績が地味に映りますよね。

M やはりオープンクラスで戦ってきた馬の方が信頼できるのでしょうか。

伊吹 そんなことはありませんよ。過去10年の3着以内馬30頭のうち12頭は、前走の条件が「JRA、かつ1勝クラス」でした。3着内率も20.7%と、悪くはない水準をキープしています。


M おお。前走がどのクラスでも、好走率はほとんど変わらないんですね。

伊吹 実際、昨年の1〜3着馬はいずれも前走が1勝クラスのレースでしたからね。

M ハンデ戦ということもあってか、 前走の格はあまり関係ない、と。

伊吹 そういうことになります。もともと、ハンデキャップ競走は「格よりも勢いが重要」という傾向になりがちなんですよ。このラジオNIKKEI賞も、2011年以降の過去10年に限ると「前走の着順が4着以下だった馬」は[3-3-5-60](3着内率15.5%)。2017年以降の過去4年に限ると、3着以内馬12頭のうち9頭は前走の着順が2着以内でした。たとえ前走が格の高いレースであっても、大敗直後の馬はあまり信頼できないと見るべきでしょう。


M 前走を勝ち切っているジュンブルースカイにとっては心強い傾向ですね。

伊吹 今年は前走好走馬がそれほど多くありませんし、そういう意味でも高く評価できます。

M レースの傾向からも面白い存在に思えるのですが、伊吹さんから見て何か不安要素はありますか?

伊吹 そうですね……。強いて挙げるならば、休養明けの馬が苦戦している点でしょうか。2011年以降の過去10年に限ると、3着以内馬30頭のうち27頭は前走との間隔が中7週以内でした。


M なるほど。ジュンブルースカイは前走から中12週での参戦となります。

伊吹 とはいえ、この馬自身が休養明けを苦にするタイプかどうかはまだわかりませんからね。もともと私もそれなりに重いシルシを打つつもりでしたし、Aiエスケープの評価を加味するならば、連軸を任せる価値がある一頭と言えるでしょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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