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父が勝った凱旋門賞での活躍にも期待したい

  • 2021年06月28日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・6/27 宝塚記念(GI・阪神・芝2200m)
 好位を追走したクロノジェネシスが残り100mで先頭に立ち、ユニコーンライオンに2馬身半差をつけて連覇を果たしました。午後にひと雨降ったためパンパンの良馬場ではなく、蹄で少し掘れるような柔らかめの馬場でした。4コーナー手前で後続の馬が押し上げてきたとき、慌てず騒がず先に行かせ、直線でゴーサインを出すとそれらを悠々と追い抜いて楽勝しました。馬の力を信じたルメール騎手の好騎乗だったと思います。

 父バゴは凱旋門賞馬で、産駒は総じてスピードの持続力に優れています。詰めの甘さがある一方、それをカバーすることができる荒れ馬場や道悪といった条件を得意としています。クロノジェネシスがこれまでに勝ったGIはいずれも消耗戦で、自身が計時した上がり3ハロンは秋華賞が36秒1、昨年の宝塚記念が36秒3。有馬記念が36秒2。今回は少し雨の影響があったとはいえ34秒4と、これまでとは明らかに異なっていました。それでも楽勝したので、ここでは一枚も二枚も上だったということです。

 レース後、サンデーレーシングの吉田俊介代表が凱旋門賞挑戦を表明。父が勝った舞台だけに大いに期待したいところです。

・6/27 新馬戦(阪神・芝1800m)
 レース前にテーオーコンドルが放馬し、ローマンネイチャーの後ろから乗りかかるアクシデント。急襲されたローマンネイチャーは尻っぱねをして反撃しましたが、精神的動揺はあったはずで、レースでは4着と敗れました。何もなければもっと上の着順が見込めたはずなのでかわいそうな結果でした。1番人気に応えて勝ったレッドベルアームは、福永騎手が「兄弟の中で一番良い馬です」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語りました。

 レッドベルジュール(デイリー杯2歳S)、レッドベルオーブ(デイリー杯2歳S)、レッドベルローズ(フェアリーS-3着)、レッドベルディエス(クイーンC-5着)と比較した上での発言ですから、GI級と語ったに等しいでしょう。「ハーツクライ×アンブライドルズソング」の組み合わせは、スワーヴリチャード(ジャパンC、大阪杯)をはじめコンスタントに活躍馬が出ているニックスです。クラシック路線に乗ってきそうです。

今週の血統注目馬は?


・7/4 巴賞(OP・函館・芝1800m)
 函館芝1800mと相性のいい種牡馬はルーラーシップ。連対率31.0%は2011年以降、当コースで産駒が20走以上した32頭の種牡馬のなかで第2位。当レースにはワールドウインズが登録しています。ここ2走はマイル戦で8着、9着と敗れていますが、本質的には1800〜2000mがベストでしょう。函館芝1800mは昨年夏に一度走って勝っています。今回は変わり身が見込めそうです。

今週の血統Tips


 6月26日、アイルランドのカラ競馬場で行われた愛ダービー(G1・芝12ハロン)は、先に抜け出したローンイーグル(Lone Eagle)と、外から襲い掛かるハリケーンレーン(Hurricane Lane)の一騎打ちとなり、ゴール直前で後者が交わして優勝しました。前走の英ダービーで3着と敗れた以外は負け知らずで、通算5戦4勝です。父フランケルは通算14戦全勝の名馬。種牡馬としても成功し、大種牡馬ガリレオの最良の後継種牡馬となっています。

 先日の英ダービーを制したアダイヤー(Adayar)、一昨年の英オークスを勝ったアナプルナ(Anapurna)、同じく一昨年の英セントレジャーを勝ったロジシャン(Logician)と、ここにきてクラシックウィナーを連発しています。英愛種牡馬ランキングは、昨年までガリレオが11年連続12回トップに立っています。

 しかし、今年は調子がもうひとつ。一方のフランケルは絶好調。ロイヤルアスコットが終わった時点で、イギリスのみの種牡馬ランキングではフランケルがトップ、ガリレオが2位です。アイルランドで差を詰めれば、父ガリレオを引きずり降ろしてフランケルが初のトップに立つ可能性もあります。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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