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もがき苦しんだ新人時代──生き残るために出した結論 【In the brain】

  • 2021年07月01日(木) 18時03分
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▲自信を抱いてプロの舞台へ、そこで待ち受けていた現実は… (撮影:福井麻衣子)


今週は、テーマを設けて川田騎手の脳内を紐解いていく「In the brain」です。競馬学校時代は、入学直後に大きな挫折を味わった川田騎手でしたが、そこからは冷静に軌道修正。自身に足りないものを分析し、きっちりとデビューにこぎつけました。

自信を抱いてプロの舞台に立ったわけですが、待ち受けていた現実は実に想定外。同期・藤岡佑介騎手の存在に、その自信を揺さぶられます。

(取材・構成=不破由妃子)

絶対に生き残りたい、自分の居場所を作りたい──



 デビュー前、1年目の目標を聞かれた僕は、「40」という数字を軽い気持ちで口にしていました。

 なぜなら、父の厩舎に所属している騎手が、1年目に36勝を挙げたから。まだ現実を知らなかった僕は、「俺のほうが上手い。だから40くらい楽に勝てる」、本気でそう思っていたんです。

 結果、デビューした年は16勝。35勝を挙げて最多勝利新人騎手を掴んだのは(藤岡)佑介で、いきなり倍以上の差をつけられました。ちなみに、2年目も僕は39勝止まり。余裕で超えられると思っていた40勝のハードルは、思っていたより遥かに高かった。

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▲デビュー2年目に京都牝馬Sで重賞初制覇を遂げた藤岡佑介騎手 (C)netkeiba.com


 勝てる可能性のある馬を依頼されてこそ、勝ち負けの舞台に立てる。そんな現実を突きつけられ、それがいかに難しいことか、毎週の競馬のなかで痛感していました。このまま漠然とレースに乗っていても、自分が望む結果を獲ることは絶対にない。この世界で生き残っていくためには、僕は何をしたらいいんだろう──。

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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