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パワフルな血を重ねていることが道悪適性の源泉

  • 2021年07月05日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・7/4 ラジオNIKKEI賞(GIII・福島・芝1800m)
 中団のインを追走したヴァイスメテオールが残り200mで先頭に立ち、ワールドリバイバルに2馬身半差をつけて快勝しました。前走のプリンシパルSは1番人気に推されたものの出遅れて4着。2走前は不良馬場の1勝クラスを楽勝していました。今回は稍重のコンディション。道悪の巧拙を問われる馬場となったことは追い風だったと思います。

「キングカメハメハ×キングヘイロー」という組み合わせで、母シャトーブランシュはマーメイドSの勝ち馬。重馬場のローズSで2着に食い込んでおり、道悪を得意とするタイプでした。アレッジド、トニービン、キングヘイローと、代々パワフルな血を重ねていることが高い道悪適性の源泉でしょう。

「母の父キングヘイロー」は、ディープボンド(阪神大賞典)、ピクシーナイト(シンザン記念)、キングズガード(プロキオンS)、アサマノイタズラ(スプリングS2着)など、最近活躍が目立っています。キングカメハメハ産駒は芝長距離戦に向いたタイプではなく、これまで菊花賞で連対したのはローズキングダム(2着)のみ。ただ、ヴァイスメテオールはスタミナ型の血を抱えているので、折り合いさえつけば3000mは守備範囲でしょう。

・7/4 CBC賞(GIII・小倉・芝1200m)
 果敢にハナを切ったファストフォースがピクシーナイトの追撃を半馬身しりぞけ、5歳にして重賞初挑戦・初制覇を成し遂げました。昨年夏に3勝クラスに昇級したあと、6着、8着と振るわず、今回は8ヵ月半ぶりの実戦でした。格上挑戦かつ久々だったので人気はありませんでしたが、52kgの軽ハンデと、積極的に逃げを打ったことが功を奏しました。

 開幕週だった先週の小倉芝は桁外れの高速馬場。「ロードカナロア×サクラバクシンオー」という、新旧のナンバーワンスプリント血統を組み合わせたスピードがモノをいいました。母ラッシュライフは函館2歳SとファンタジーSで2着となったスピード馬で、すでにディープインパクトとの交配でアデイインザライフ(新潟記念)を産んでいます。ファストフォースのオーナーである安原浩司さんが、2013年のジェイエス繁殖馬セール(秋季)で購買されました(900万円)。

「ロードカナロア×サクラバクシンオー」は、他にキルロード、ペプチドバンブー、サイクロトロンなど、コンスタントに活躍馬が出ており、連対率39.1%、1走あたりの賞金額320万円と、きわめて優秀な成績を挙げています。

今週の血統注目馬は?


・7/10 マカオジョッキークラブT(1勝クラス・小倉・芝1800m)
 小倉芝1800mと相性のいい種牡馬はディープインパクト。連対率25.0%は2011年以降、当コースで産駒が20走以上した70頭の種牡馬のなかで第2位。当レースにはアウサンガテとレッドレイルの2頭が登録しています。

 前者はロイカバード(京都新聞杯3着)、シルヴァンシャー(京都大賞典3着)の全弟で、母アゼリはアメリカの年度代表馬となった女傑。スパっと切れる脚はないものの、好位で立ち回る器用さがあるので、小回りの小倉芝コースは合うはずです。

今週の血統Tips


 例年、中京ダート1400mで争われるプロキオンS。今年は変則開催の影響で小倉ダート1700mに舞台を移します。このコースで重賞が行われるのはおそらく初めてでしょう。週末は雨が降るので、サンライズキングが持つ1分41秒8のレコードタイムが更新される可能性が高いと思われます。

 小倉ダート1700mは、オルフェーヴル、ウォーエンブレム、キズナといった、芝でもやれる種牡馬が好成績を残しています。雨が降って脚抜きのいい砂になればこの傾向は強まるでしょう。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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