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賞金リーディングに異変?

  • 2021年07月06日(火) 18時00分

驚いた高知競馬所属調教師の躍進


 コロナに翻弄されつつも、早いもので今年も折り返し地点を過ぎた。残念ながら笠松競馬は休止したままだが、地方競馬の売上は引き続き好調で、発表されている5月現在では、すべての主催者(笠松は除く)で引き続き前年比100%超。

 地方競馬全体(1〜5月)の前年比でも、総売得額で119.8%、1日平均で129.8%となっている。総売得額と1日平均で10ポイントもの開きがあるのは、1月中旬以降、笠松競馬の開催が行われていないためと思われる。

 半年が過ぎての全国リーディング(7月4日現在)を見てみると、騎手の勝利数では森泰斗騎手(船橋)が185勝で1位、吉村智洋騎手(兵庫)が161勝で2位、というトップツーは、一昨年、昨年と変わらず。3位が岡部誠騎手(愛知・131勝)で、笹川翼騎手(大井・120勝)が全国4位、南関東2位に躍進している。次に南関東のトップに立つのは笹川騎手だろう、というのは衆目の一致するところ。

 調教師の勝利数では、打越勇児調教師(高知)が110勝でダントツ。2018、19年に続いて3度目の全国リーディングとなるかどうか。そして2位が81勝で小久保智調教師(浦和)というのはちょっと驚きだ。

 小久保調教師は近年、賞金では毎年ダントツで全国リーディングを続けているが、勝利数リーディングで南関東の調教師が全国のトップを争うのは難しく、小久保調教師でも過去に2014、17年の5位が最高だった。

 勝利数では18年の147勝(全国7位)が自身最高で、これが南関東所属調教師としてはダントツの記録となっている。現時点で81勝ということであれば、単純計算ではその南関東レコードも超える勢いだ。

 3位が雑賀正光調教師(高知・79勝)というのもおなじみで、4位はばんえいの松井浩文調教師(75勝)。そして毎年のようにトップを争っている角田輝也調教師(愛知)が71勝で5位というのは、おそらく笠松競馬の開催がないため、例年より出走機会が少ないからだろう。

 そして表題の“異変”というのは、調教師の賞金リーディング。

 前述のとおり賞金トップは小久保智調教師で、2位にダブルスコア近い差をつけているのも毎年の光景。カジノフォンテンでJpnI・2勝(川崎記念、かしわ記念)の山下貴之調教師(船橋)が2位に躍進。上位に南関東の調教師がずらりと並んでいるのも例年どおり。

 そして驚いたのは、南関東の調教師以外で最高順位の10位が高知の別府真司調教師、11位にも高知の打越勇児調教師が続いていること。その次は13位が橋本忠明調教師(兵庫)で、14位が田中守調教師(高知)、15位も雑賀正光(高知)となっている(JRA調教師は除く、以下同)。

 つまり、賞金が圧倒的に高い南関東を除く調教師の賞金リーディングでは、ここまでのところ上位5位のうち4人を高知の調教師が占めているのだ。

 例年の調教師の賞金リーディングでは、10位前後に、南関東に次いで賞金が高い兵庫か、2歳のダートグレードや南関東の重賞を勝った北海道の調教師が食い込んでくるというのが常だった。

 それが今年は、南関東以外の上位に4人も高知の調教師がランクされていることには驚かされた。ちなみに昨年の調教師の賞金リーディングで高知の調教師は、打越勇児調教師の22位が最高で、南関東以外の調教師では5番目だった。

 6月22日付のこのコラム(詳しくはコチラ)でも高知競馬の賞金について触れたが、今年、高知の賞金はそれほどまでに上昇しているということ。

 高知競馬の売上V字回復は、回復という以上に上昇を続けていて、いろいろなことで驚かされる。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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