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現役時代にもG1・2勝と“直線コース”への適性あるマクフィ

  • 2021年07月26日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・7/25 アイビスサマーダッシュ(GIII・新潟・芝1200m)
 好位につけたオールアットワンスがライオンボスとの一騎打ちを制し、初の重賞タイトルを獲得しました。初の直線競馬にもかかわらず、戸惑うことなく終始楽な手応えで追走したところに、センスの良さや適性の高さがうかがえます。

 母シュプリームギフトはディープインパクト産駒ながら芝短距離で活躍し、重賞こそ勝てなかったものの、重賞で繰り返し馬券圏内に食い込みました。2代母スーヴェニアギフトはランダルースS(米G3・ダート6ハロン)を勝ち、デルマーデビュターントS(米G1・ダート7ハロン)2着。スピード色の強いファミリーに属しています。

 父マクフィは欧州の名種牡馬ドバウィの仔で、現3歳世代が日本における初年度産駒。前週までにJRAで芝10勝、ダート20勝という成績を挙げています。アイビスサマーダッシュは過去10年間にバトルプラン、アフリート、スウェプトオーヴァーボード、ヨハネスブルグ、メイショウボーラー、クロフネといったダートを得意とする種牡馬が連対馬を出しています。ダート血統は総じてスピードの持続力に秀でており、当レースは緩急の乏しいスピードレースなので、そうした特性がモノをいいます。

 マクフィ自身、ヨーロッパでの競走馬時代に、直線コースで行われる英2000ギニー(G1・芝8ハロン)とジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)を勝っています。当レースは前年までに3歳牝馬が計12頭が出走し、2勝、2着3回、3着2回という抜群の成績を収めていたことは見逃せません(勝率16.7%、連対率41.7%、複勝率58.3%)。

 このレースに51kgで出走することは二度とありませんが、カノヤザクラやベルカント(いずれも連覇達成)のような存在になれるかもしれません。

・7/24 新馬戦(新潟・芝1600m)
 果敢にハナに立ったオタルエバーが後続に4馬身差をつけて逃げ切りました。メンバー水準は上々で、2着コリエンテス、3着プルサティーラは、POGでも人気に推された評判のディープインパクト産駒です。勝ったオタルエバーはレイクヴィラファームの生産馬。稽古で好時計をマークしたものの、ここは5番人気と伏兵勢の一角でした。

 父リオンディーズはキャリアわずか1戦で朝日杯フューチュリティSを制覇し、JRA賞最優秀2歳牡馬のタイトルを獲得しました。エピファネイア(ジャパンC、菊花賞)、サートゥルナーリア(皐月賞、ホープフルS)の兄弟で、母に名牝シーザリオ(オークス、アメリカンオークス)を持つ良血です。現2歳世代が2世代目の産駒で、この勝利が種牡馬としてちょうど50勝目となります。

 内訳は芝34勝、ダート16勝。芝1800mで最も優れた成績を挙げています。母方にデインヒルを持つリオンディーズ産駒はニックスで、連対率26.9%、1走あたりの賞金額185万円。同産駒全体の17.9%、108万円をそれぞれ大きく上回ります。

 母は未勝利に終わりましたが、その全姉妹にオーストラリアのマイルG2勝ち馬エルダーナ、オーストララシアンオークス(豪G1・芝2000m)2着馬グランドドーターがいます。今回の内容ならば重賞でも楽しみです。

今週の血統注目馬は?


・8/1 竜飛崎特別(2勝クラス・函館・ダ1700m)
 函館ダ1700mと相性のいい種牡馬はヨハネスブルグ。連対率32.3%は、2011年以降、当コースで産駒が20走以上した81頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはヴィーダが登録しています。

 ここ2走、同じ2勝クラスの函館ダ1700mで連続2着。中1週→中1週という押せ押せのローテーションですが、登録してくるということは体調がいいのでしょう。

今週の血統Tips


 7月24日、英アスコット競馬場で行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1・芝11ハロン211ヤード)は、3歳牡馬アダイヤーが2番手から抜け出して優勝しました。

 英ダービー馬がその年のキングジョージを制したのは、2001年のガリレオ以来20年ぶりの快挙です。アダイヤーはガリレオの息子フランケルを父に持ちます。

 現在、英愛サイアーランキングは、常勝ガリレオを抑えてフランケルが首位に立っています。英ダービーの1、3着馬、アダイヤーとハリケーンレーンが両輪となって大レースを次々と制しています。

 いずれも馬主はゴドルフィン、調教師はチャーリー・アップルビーで、後者は愛ダービーとパリ大賞を勝ちました。

 一方、ガリレオ産駒のめぼしい大駒は、仏オークス馬ジョアンオブアーク、昨年の牝馬二冠馬ラヴぐらいしか見当たらず、後者はキングジョージで3着と敗れたので、今後に大きな期待は抱きづらい状況です。2010年以降11連覇、計12回首位に立っているガリレオは、今年は少々厳しい状況で、土俵際まで追い詰められています。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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