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総額40億円を初めて超えた「セレクションセール」

  • 2021年07月28日(水) 18時00分

前日から売れる予感はあったがそれを上回る大盛況


 日高で行われる最初の1歳市場「セレクションセール」が、7月27日、新ひだか町静内の北海道市場にて開催された。前日展示の段階から、多くの購買関係者が集まり、かなりの売れ行きになるのでは?と予想されたが、蓋を開いてみれば、その予想を上回るほどの活況を呈し、大盛況であった。

 このところ例外なく日高地方は例年以上の厳しい暑さに見舞われており、この日も太陽が顔を出すと一気に汗が噴き出てくるほどの高い気温で、べっとりと汗ばんでいる上場馬が少なくなかった。東京方面からやってきた幾人かの知人に話を聞いても、みんな口々に「とても北海道の夏とは思えないくらい暑い。すっかり当てが外れた」と嘆くほどの気候である。容赦なく降り注ぐ紫外線と、台風余波の東寄りの湿った風のせいで、日陰に避難していなければいささか辛くなるほどであった。

 それでも、灼熱の環境も何のその、午前10時に始まったセリは、最初から落札馬が連続した。価格も総じて高めに推移し、2000万円台、3000万円台が続出。かなり売れまくっている印象であった。

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開始直後から順調に落札馬が連続した


 このセールでは、途中3回の「再上場」場面が設定されている。その1回目が上場番号70番の後にやってきた。軒並みめぼしい上場馬にはみな声がかかり、価格も高めに落札されていることから、この初回の再上場コーナーに登場したのは僅か1頭のみ。この時点で、70頭中65頭が落札されており、売却率は90%を超えていた。ここまでの最高価格馬は27番イチリュウの2020。父へニーヒューズの牡鹿毛馬で、母は南関の桜花賞馬である。近親にはヒガシウィルウィン、タイニーダンサーなどダートの活躍馬がいる血統馬で価格は5060万円(落札価格4600万円)。販売者は(有)グランド牧場、落札者は(有)湘南。これまでならば、ほぼセールを通しての最高価格にもなりそうな数字だが、今年はこの時点でもすでに4000万円超の落札馬が他に4頭も出ていたので、この後も最高価格を更新する馬が出現するかも知れないとは感じていた。

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▲▼5060万円で落札されたイチリュウの2020


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 活発なセリが続く。勢いは全く衰えることなく、片っ端から売れて行く。96番アガサの2020(父エピファネイア、牡栗毛、販売者・前谷武志氏)が5060万円(落札価格4600万円)まで競り上がり、27番イチリュウの2020と同額に並んだ。落札者は嶋田賢氏。

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▲▼5060万円で落札されたアガサの2020


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 するとその直後、101番ベアフットレディの2020(父ドゥラメンテ、牡鹿毛)が5170万円(落札価格4700万円)となり、あっさり最高価格を塗り替えてしまった。販売者は(株)タイヘイ牧場。落札者は田中成奉氏。

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▲▼5170万円で落札されたベアフットレディの2020


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 その後も高値で落札される上場馬が続き、ついに154番スリーアローの2020(父エピファネイア、牡青鹿毛)が一気に6600万円(落札価格6000万円)まで高騰し、またしても最高価格が更新された。販売者は(有)フジワラファーム。落札者は嶋田賢氏。

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▲▼この日の最高価格となる6600万円で落札されたスリーアローの2020


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 牝馬では116番スイートハートの2020(父エピファネイア、青毛)の4620万円(落札価格4200万円)。販売者は鎌田正嗣氏、落札者は山元哲二氏が最高価格であった。

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▲▼牝馬では最高価格となる4620万円で落札されたスイートハートの2020


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 さすがにセリの中盤を過ぎてからは売却率が90%を維持できなくなったものの、それでも、最後までほとんど勢いは衰えることがなかった。

 最終的には、234頭(牡167頭、牝67頭)が上場され、202頭(牡144頭、牝58頭)が落札。売却率は前年比3.8%増の86.3%。売り上げ総額は税込みで40億1577万円。前年から4億2647万円上昇し、このセールでは初の40億円台に到達した。平均価格も1988万円と、2000万円に手が届くレベルにまで到達した。

 主催者を代表して日高軽種馬農協の木村貢組合長は、

「予想をはるかに超える結果だったと思います。前日展示から大変多くの参加者に来場して頂いたので、ある程度期待はしていたのですが、1番の馬から活発なセリが行われたということで一日ずっと良い流れができていたのかなと見ています。

 セレクトセールから中一週挟んでの開催は購買者の方々にも概ね好評を頂いていますから、来年もこの日程で行きたいと思います。地方競馬の馬券の売り上げの伸びとともに、賞金のかさ上げもあり、補助馬購買の枠が増えていることもあって良い馬を購買しようという意欲が年々強くなっているとは感じています。

 ブラックタイプは年々良くなっていますし、後は馬体がどうかと思っていましたが、購買者の方々に見て頂いても恥ずかしくないレベルになっていたと思っています。

 購買者登録は886人。一昨年の数字との比較しかできないのですが199人の伸びになりました。オンラインによる落札も8頭ありました。これが主流にはならないでしょうけど、セリを補完する意味でも外せないですね」とセリを総括していた。

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「予想をはるかに超える結果だった」と話した木村貢組合長


 次回のセリは8月下旬に開催されるサマーセールである。上場申し込みが多く5日間開催となるが、この勢いはまだ続きそうな気配だ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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