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【クイーンS】8年前に「洋芝の女王」が制したこの舞台を振り返る

  • 2021年07月31日(土) 12時00分

1番人気の信頼度は高いが大波乱の年も


 連続開催の5週目に入った函館は、今週から芝はBコース、4米外になる。小回りの洋芝だということを合わせて考えると、どうしても、ロスなく内目を走れる先行馬が気になるのは当然だ。8年ぶりに函館で行なわれるクイーンSにどう取り組むか。取り敢えずその8年前を思い出してみた。過去を振り返って今に生かせることもあるだろうから。

 この年の1番人気は、前年札幌で勝っていた4歳牝馬アイムユアーズ。一年前は桜花賞3着、オークス4着とクラシックで健闘して以来のレースで勝っていた。小回り向きの器用さがあり、この函館でも連覇の期待がかかっていた。スタートは抜群でポンと1馬身ほど飛び出したが、内から出てくる馬に譲って2番手に。3〜4角の中間で並びかけ、直線入口で手綱を抑えたまま先頭に立って、追い込む伏兵をクビ差しのいで、2004年のオースミハルカ以来2頭目のクイーンS連覇を達成していた。

 この時の2着は、行くか控えるか極端な競馬をすると言っていた最低人気のスピードリッパーが、最後方から最速の上がりで飛び込んでいた。本命馬が勝ったのに馬単が一万円を超えていたので、よく覚えている。因みにこの年も函館はBコースだった。クイーンSは、この10年、1番人気は5勝して7連対と信頼度は高いが、昨年は3着に敗れて、なんと11番人気のレッドアネモスが勝ち大波乱だった。例年通り札幌だったが、それまで重賞はあと一歩及ばず、8回目で初勝利。良馬場、1800米の距離と条件が揃っていたのが勝因と言われたが、それもさることながら、1番枠を吉田隼人騎手が上手に生かしていたのが大きい。中団の内をぴったり追走し、勝負所でも内にへばりついてじっと我慢。直線は狭いスペースをついて抜け出すという好プレイ。「枠が良かった」との言葉を残していた。

 アイムユアーズは「洋芝の女王」と称えられたが、レッドアネモスの勝利は「吉田隼マジックさく裂」と表現されていた。

 今年は、例年好走するヴィクトリアM組から3着馬マジックキャッスルが、中10週で出てくる。昨秋の秋華賞2着で今年は愛知杯で重賞初制覇を果たした実力馬で、最後まで一生懸命走るのが取り柄。これまで戦ってきた相手を考えると、ここは主役とみたい。

 昨年のオークス3着だったウインマイティーは6か月半ぶりで心機一転して登場する。洋芝は合いそうだ。立て直してきた組ではテルツェットも加えたい。レース前にイレ込んで大敗した前走は不完全燃焼で度外視したい。あと枠を見て出方が想像できるシゲルピンクダイヤとイカットを加えたい。前者は早目に動きたいので外枠が生きるし、後者はうまくためを利かせたいので内枠がいい。

「パワー要る 北の女王の コンテスト」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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