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【レパードS AI予想】レースの傾向からも侮れない!? 意外な伏兵をAIがピックアップ

  • 2021年08月02日(月) 18時00分

3番人気で2度目の重賞を制覇したテルツェット(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

ここ4年は波乱の決着が続いている


AIマスターM(以下、M) 先週は牝馬限定のクイーンSが行われました。

伊吹 自宅でテレビ中継を観ていたのですが、まず発走直前の雨に驚かされましたね。思わず「聞いてないよ!?」と呟いちゃいましたもん。

M この時期ならではですね。

伊吹 今回のレース結果にどこまで影響したかはもう少しじっくり検証したいところですが、今後もしっかり警戒しておこうと改めて思いました。

M 勝ったのは単勝オッズ5.0倍(3番人気)のテルツェット。2度目の重賞制覇です。

伊吹 強い競馬でしたね。GI初挑戦のヴィクトリアMでは14着に敗れてしまいましたが、そこからすぐに巻き返してきたわけですから、大したものだと思います。

M まだキャリア9戦ですし、この秋は大舞台でも注目を集めそうです。

伊吹 マイルCSあたりが本線かと思いますが、エリザベス女王杯や国外のレースを選んでも面白いんじゃないでしょうか。今後の出走予定が発表されるのを楽しみに待ちたいと思います。

M 今週の日曜新潟メインレースは、3歳馬によるダート重賞のレパードSです。昨年は単勝オッズ22.3倍(7番人気)のケンシンコウが優勝を果たしました。

伊吹 1〜2コーナーで先頭に立ち、そのまま逃げ切りましたね。コース適性が高い丸山元気騎手を鞍上に迎えたこともあり、思い切って本命に指名したのですが、本当によく頑張ってくれました。

M 3連単はここ4年連続で十万円を超える配当となっています。

伊吹 単勝オッズ10倍を超える馬が4連勝中ですからね。ここまで単穴が続くとは……。

M 今年も波乱が起きる前提で予想に臨むべきなのでしょうか。

伊吹 一応、過去10年という括りで見ると、単勝1番人気馬は10頭中8頭が馬券に絡んでいるんですよ。



M 確かに、2016年以前はどちらかと言うと堅く収まりがちな印象でした。

伊吹 昨年のレパードSで単勝1番人気に支持されたデュードヴァンも、4着には来ていますからね。

M 大きく崩れた馬は案外少ない、と。

伊吹 ただ、そうは言っても3着以内馬30頭のうち11頭が単勝7番人気以下だったわけですし、近年の流れを考えても、高額配当を狙わない手はありません。

M そのようですね。さて、そんなレパードSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ノーブルシルエットです。

伊吹 ……話の流れを読んでいたかのような馬が挙がってきましたね(笑)。

M 1勝クラスを勝ち上がったばかりの馬ですし、無事に抽選を突破して出走が叶ったとしても、人気の中心にはならないでしょう。

伊吹 最終的な出走メンバーにもよりますが、単勝二桁人気クラスの伏兵と思っておいて良さそうです。

M やはり実績的に苦しいと見た方が良いのでしょうか。

伊吹 当然ながら、歓迎材料とは言えませんね。過去10年のレパードSを振り返ってみても、前走がJRA、かつ1勝クラスのレースだったにもかかわらず3着以内となった馬は2頭だけです。



M 3着内率も7.4%どまり。さすがに苦戦していますね。

伊吹 ただ、前走がJRA、かつ2勝クラスのレースだった馬も、2014年以降の過去7年に限ると[0-1-1-30](3着内率6.3%)なんですよ。

M おおっ。こちらもほとんど上位に食い込めていませんね。

伊吹 その通り。ダートグレード競走やオープン特別を経由してきた馬が圧倒的に優勢で、前走が1勝クラスだった馬と2勝クラスだった馬の間には、それほど顕著な差がありませんでした。

M 今年は前走2勝クラス組が人気の中心となりそうなメンバー構成。これなら、前走1勝クラス組を狙うのも面白そうです。

伊吹 私もそう思います。少なくとも、実績不足を理由に嫌う必要はないでしょう。

M まだキャリア5戦で、伸びしろもありそうですからね。

伊吹 その点はレースの傾向からも強調できます。前走がJRA、かつ2勝クラス以下のレースだったにもかかわらず3着以内となった馬の大半は、出走数が5戦以内だったんです。



M 思いのほか綺麗に明暗が分かれていますね。

伊吹 今年もこの条件をクリアしている馬は意外と多くありません。

M 実績馬が少ないメンバー構成で、もともとの能力差が小さいと仮定するならば、伸びしろの差で力関係が逆転する可能性は例年より高い――とも考えられますよね。

伊吹 むしろ、そう考えるべきでしょう。出走数に見合った実績のある馬がほとんどいないのならば、未知の魅力がある馬、すなわちキャリアが浅い馬を重視すべきだと思います。

M このノーブルシルエットも、レースの傾向からは意外と侮れない存在――ということで宜しいでしょうか。

伊吹 その通りですね。Aiエスケープが注目馬に指名してきたということは、相手関係やコース替わりもそれほど心配しなくて良いのでしょう。先程挙げた傾向から強調できる馬は他にもいますし、今のところ私は別の馬を中心視する予定ですが、この馬の激走も警戒しておきたいと思います。

M 楽しみですね。

伊吹 ただ、一点だけ補足しておくと、枠順には注意が必要です。



M なるほど。近年は外枠不利、と。

伊吹 2015年以前はそうでもなかったんですけどね。人気馬が大きく崩れてしまった例もありましたし、7枠や8枠に入ってしまったら評価を下げるべきでしょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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