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昨年7月以来となるテスコボーイ系のJRA重賞勝利

  • 2021年08月16日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・8/15 関屋記念(GIII・新潟・芝1600m)
 2番手を追走したロータスランドが最内から抜け出し、外から伸びたカラテ、ソングラインの追撃を抑えました。前日までかなりの降雨があったにもかかわらず、良馬場まで回復したのは、日本一の水はけを誇る新潟競馬場ならではでしょう。

 ただ、ロータスランドのような道悪巧者が勝ったところを見ると、例年のような硬い馬場ではなかったように思います。父ポイントオブエントリーは、アメリカの芝G1を5勝した活躍馬で、バーディバーディ(ダート重賞を2勝)と酷似した重厚な血統構成です。本馬はロベルト3×4。切れ味よりもスピードの持続力が持ち味で、前々走、重馬場の米子Sを勝っていました。今回も少し馬場が渋り、展開的にも上がりの競馬にならなかったことが幸いしました。今後も、少し時計の掛かる競馬になればおもしろいでしょう。

・8/15 小倉記念(GIII・小倉・芝2000m)
 後方待機のモズナガレボシが直線で大外に出して差し切りました。残り1000mからラップが上がる厳しい展開。先に行った馬は総崩れとなり、慌てずワンテンポ遅らせて追い出した松山騎手の騎乗が功を奏しました。

 父グランプリボスにとって初のJRA重賞勝ち馬となり、テスコボーイ系としては昨年7月にCBC賞を勝ったラブカンプー(父ショウナンカンプ)以来のJRA重賞勝ち馬です。テスコボーイは1967年12月に輸入され、70年代から80年代にかけてテスコガビー、トウショウボーイ、サクラユタカオーをはじめ多くの名馬を出し、わが国の馬産に“スピード革命”を起こしました。父グランプリボスは朝日杯フューチュリティSとNHKマイルCを勝ち、安田記念やマイルCSで2着となった名マイラーです。

 ただ、種牡馬としては自身のスピードを十全に伝えているとはいいがたく、芝よりもダートの成績のほうが優秀で、芝であれば少し時計の掛かるコンディションのほうが合っています。今回、雨の影響の残る馬場であったことも追い風でした。

今週の血統注目馬は?


・8/22 薩摩S(3勝クラス・小倉・ダ1700m)
 小倉ダ1700mと相性のいい種牡馬はスマートファルコン。連対率30.9%と素晴らしい成績を挙げています。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した134頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはワンダーウマスが登録しています。当コースでは過去一度だけ走り、13番人気で3着と好走しています。近走は冴えませんが、一発大穴の魅力は十分です。

今週の血統Tips


 欧米では夏季に多くのビッグレースが組まれていますが、日本の夏競馬はローカルに舞台を移して行われるため、一流馬はお休みに入り、春と秋に大レースが集中しています。7、8月に組まれたJRAの平地重賞17レースのうち、GIはひとつもありません。GIIは札幌記念のみで、残りの16レースはGIIIです。

 夏競馬を代表するビッグレースである札幌記念は、毎年ハイレベルなメンバー構成で行われ、今年はラヴズオンリーユー、ソダシ、ブラストワンピースといった強豪が集まりました。GIと遜色ない顔ぶれです。出走馬のレベルが高い定量戦は基本的に荒れづらいのですが、1番人気馬がなぜか9連敗中です。札幌コースに強いディープインパクト産駒が5頭連対していますが、注目すべきはハービンジャー。ここ2年の連対馬4頭のうち3頭が同産駒です。今年はブラストワンピースとペルシアンナイトが登録しているので要注目です。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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