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【札幌記念】距離不安を払拭した価値のある1勝

  • 2021年08月23日(月) 18時00分

クロフネ産駒が平地2000m以上の重賞を勝利したのは初


重賞レース回顧

札幌記念を鮮やかに快勝した3歳牝馬ソダシ(C)netkeiba.com、撮影:高橋正和


 オーラを漂わせるような素晴らしい仕上がりを示した3歳牝馬ソダシ(父クロフネ)が、初の古馬との対戦になった札幌記念を鮮やかに快勝した。

 クロフネの産駒は、8月22日終了現在、歴代最多となる通算1686頭の産駒が全国で出走し、これも歴代最多となる1210頭の産駒が勝ち上がり、史上2位となる4339勝を記録しているが、ソダシの札幌記念は非常に価値ある1勝だった。クロフネの産駒が2000mの距離でJRAの平地重賞を勝ったのは初めてだからである。

 スタート直後にバイオスパークが、レース後半にステイフーリッシュが競走中止となるなど、波乱を思わせる出来事はあったが、強い牝馬の対決には関係なかった。

 目標になるのを避け、少し控えて進むのかと思えたが、好スタートから正攻法の先行策。レースの流れは、前後半「59秒9-59秒6」=1分59秒5。早い流れではなかったため、ベテラン6歳の古馬ブラストワンピース(父ハービンジャー)が3コーナー手前から一気に進出の果敢な手を打ったが、連れて早めに先頭に立つ形になりながらの完勝は素晴らしい。

 52キロは確かに楽な負担重量だったが、対する5歳牝馬ラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)も決して不利ではない55キロ。まだ総合力ではラヴズオンリーユーの方が一枚上とみていたが、初の古馬相手にこの内容は文句なしに素晴らしい。

 この流れで2分突破の1分59秒5(自身の上がり35秒4)も、歴代のトップホースとの比較で見劣るものではなく、自身で動いて記録した中身十分の内容だった。若さ、キャリアを考えれば、とりあえずの目標は「秋華賞」としても、秋のビッグレースの主役にもなるだろう。これで少なくとも2000m級までは大丈夫。距離不安を払拭した自信は大きい。

 対する1番人気のラヴズオンリーユーは、控えた軽めの追い切りで懸念されたように、体つきがギリギリというか、この後を展望する一戦にしては仕上がりすぎの印象があった。

 前にソダシがいて、なおかつ早めに動いてくれる絶好の展開。アメリカ遠征を予定するので、もっとふっくら見せる馬体で確勝のはずだったが、休み明けで、必死に、かろうじて2着確保のレースはこの後すぐに良化をもたらすものではないかも知れないという気もした。上がりは最速の35秒1とはいえ、夏のノーザンFで調整し休み明けでの馬体減は、このあとを考えると気になる。

 3着した7歳ペルシアンナイト(父ハービンジャー)は、昨年の2着馬。昨年に少しも見劣らない内容でがんばった。札幌コースが合うのだろうが、体を大きく見せデキもよかった。絶好調、横山武史騎手の強気な騎乗も光った。

 6歳ブラストワンピースは、よく言えば果敢な騎乗で見せ場を作ったということになるが、有馬記念馬であり、3歳牝馬が快勝し、7歳ペルシアンナイトが3着に好走。11番人気の伏兵マイネルウィルトス(父スクリーンヒーロー)が4着したとなると、ここを目標にしていた咋年の勝ち馬とすると、なんとなく物足りない印象が残った。

 ユーキャンスマイル(父キングカメハメハ)、ウインキートス(父ゴールドシップ)は、続けて長丁場に出走していただけに、この組み合わせの2000mはきびしかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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