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【北九州記念】「ヨカヨカ自身の走りをベースに」好条件を結果に繋げた幸英明騎手

  • 2021年08月24日(火) 18時00分
哲三の眼

ヨカヨカとともに北九州記念を制した幸英明騎手 (C)netkeiba.com


今年の北九州記念を制したのは5番人気だったヨカヨカ、見事に初重賞制覇を果たしました。今回のレースについて「無駄なことをせず、攻めるところは攻めて、メリハリの利いたいい競馬」と語った哲三氏。道悪時のポイントや幸英明騎手の走らせ方について解説しつつ、札幌記念でソダシを勝利に導いた吉田隼人騎手の騎乗も振り返ります。

(構成=赤見千尋)

目を引いた3コーナーまでの走らせ方


 小倉競馬場で行われた北九州記念は5番人気だったヨカヨカが初重賞制覇を果たしました。当日の小倉芝1200mは外枠の馬の好結果が目立っていましたし、雨が降ったこともあり、スピードがあって51キロのヨカヨカにとっては好条件が揃った印象です。幸(英明)君はその好条件をしっかり掴み取って、結果に繋げましたね。

 一番目を引いたのは、3コーナーまでの走らせ方です。いいスピードを保ちながら3コーナーに進入して行きましたし、馬群の並びを見てもヨカヨカの視野を保てていたので、馬にとっても走りやすかったのではないかと。これは道悪競馬の時には、重要なポイントです。

 ヨカヨカが前に行ってスピードをコントロールしている分、後ろの馬は無駄なブレーキを掛けたり無駄なハミを掛けたりせざるを得ない場面が出て来たりします。外枠からスムーズにスピードに乗せて、レースを優位に進めることが出来ました。

 4コーナーでも、早めに仕掛けようとか後ろの馬を待とうということがなく、ヨカヨカの走りで進めたことが、馬自身走りやすかったのではないでしょうか。無駄に内に行ったり、外に行ったりせず、いいスピードに乗って4コーナーを回れていて、他の馬たちのことももちろん視野に入っているでしょうが、ヨカヨカの走りを上手くエスコート出来ているなと。何かし過ぎようとするとせっかくの51キロのハンデが無駄になってしまう可能性もありますが、今回はしっかりとその軽ハンデを活かした騎乗でしたね。

哲三の眼

「ヨカヨカの走りを上手くエスコート出来ている」と哲三氏 (C)netkeiba.com


 一概には言えませんが、道悪競馬で内を気にしたり外を気にしたりし過ぎて結局足をすくわれるというのはよくあるパターンです。今回はヨカヨカ自身の走りを一番のベースにしているので、足をすくわれるようなレースにはならなかったし、より強い競馬に見えたのもそういう部分が大きかったのではないでしょうか。

 好条件をしっかり掴み取るために、無駄なことをせず、攻めるところは攻めて、メリハリの利いたいい競馬でした。

 札幌記念は2番人気だったソダシが勝利。鞍上の吉田隼人君はオークスの結果からいろいろなことを考えたと思いますし、しっかりと修正出来ていましたね。

哲三の眼

札幌記念は2番人気だったソダシが勝利 (撮影:高橋正和)


 まずは変に馬の後ろに付けることをしないで、しっかり流れに乗せたことが大きかったと思います。ヨカヨカもそうですが、ソダシもスピードに乗せた中でコントロールしていました。道中で抜かされたり、前をこすられたりということがないように考えていたと思いますし、実際に向正面で岩田(康誠)君がマクって来た時も、前向きさを削がないようにしつつ、ソダシのリズムを重要視していたように感じました。

 好内容で2000mを克服しましたから、秋のレースも今からとても楽しみです。

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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