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2歳チャンピオンシリーズ

  • 2021年08月31日(火) 18時00分

馬主と調教師にボーナスが授与されることになったが…


 地方競馬でこれまで『未来優駿』として行われてきた2歳馬のシリーズ競走が、今年新たに設定された2歳馬のダートグレード3競走も加え『2歳チャンピオンシリーズ』として進化した。

 2008年に始まった『未来優駿』は、一昨年まで全国7レースが対象レースとなっていたが、それぞれが連携するわけでもなく、また必ずしもその地区の2歳最高峰のレースでもなく、「2歳ダートグレード競走、さらには3歳クラシック競走を目指す」ことが目的と謳われているものの、“シリーズ”というにはやや興味に欠けるものだった。

 昨年からは南関東の2歳重賞を対象レースとし、また高知の黒潮ジュニアチャンピオンシップを加えたことで対象レースが11に増えたが、勝ち馬に対して各レースの賞金以外に何らかのメリットがあるというものでもなかった。

 それが今年、未来優駿11競走と、対象のダートグレード3競走にそれぞれポイントを設定し、合計ポイントの上位3位までの馬主と調教師にボーナスが授与されることになった。今年の対象レースは次の通り。

【未来優駿】
9/20 大井・ゴールドジュニア(1200m)
9/30 門別・サンライズカップ(1800m・全国交流)
10/3 佐賀・九州ジュニアチャンピオン(1400m)
10/5 金沢・兼六園ジュニアカップ(1500m・全国交流)
10/13 川崎・鎌倉記念(1500m・全国交流)
10/14 園田・兵庫若駒賞(1400m)
10/27 船橋・平和賞(1600m・全国交流)
10/31 盛岡・南部駒賞(1600m・全国交流)
10/31 高知・黒潮ジュニアチャンピオンシップ(1400m)
11/17 大井・ハイセイコー記念(1600m)
11/30 名古屋・ゴールドウィング賞(1600m)

【ダートグレード競走】
11/3 門別・JBC2歳優駿(1800m)
11/25 園田・兵庫ジュニアグランプリ(1400m)
12/15 川崎・全日本2歳優駿(1600m)

 詳しくは地方競馬全国協会発表の実施概要をご覧いただきたいが、ボーナス授与の要件として以下を満たす必要がある。

・未来優駿、ダートグレード競走、それぞれで1回以上出走
・いずれかの競走で3着以内
・本シリーズの最終出走時点で地方所属の馬

 ボーナスは、合計ポイント第1位の馬主500万円・調教師50万円、第2位の馬主300万円・調教師30万円、第3位の馬主200万円・調教師20万円となっている。

 また合計ポイントでのボーナスとは別に、ダートグレード3競走すべてを勝利した馬に3冠ボーナス(500万円)も設定されている。

 地方馬がこの2歳3冠すべてを制するのは容易ではなさそうで、そもそも3レースに出走するだけでも難しい。それだけに3冠すべてを勝ってのボーナスが500万円は安すぎると思うのだがどうだろう。それぞれの1着賞金は、JBC2歳優駿が3000万円、兵庫ジュニアグランプリが3000万円、全日本2歳優駿が4200万円。3冠を制すると1着賞金の合計が1億200万円となり、そのボーナスが500万円ではあまり魅力的ではないように思えるのだが。

 そもそも3冠ボーナスについては、増額した上で中央所属馬も対象にしていいのではないか。

 近年では中央でも2歳のうちからダートの番組も増えてきて、高額な血統馬でもデビューから一貫してダートを使う馬もめずらしくないし、あえてダートでデビューして3歳の成長を待って芝に挑戦するような馬もいる。それにしては2・3歳馬のダート重賞やオープン競走が中央にはまだまだ少ない。

 中央からも2歳ダートの3冠を目指すような馬が出てくれば、2歳ダート戦線はさらに盛り上がると思うのだが。2歳チャンピオンシリーズと2歳ダート3冠の来年以降さらなる発展に期待する。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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