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【新潟記念】残り少ないディープインパクト産駒の巻き返しも期待

  • 2021年09月04日(土) 12時00分

馬体調整に専念した馬が多く勝っている


 レース検討は、ひとつの出会いを見つけるようなもの。たまたま目にとび込んできたものに心を惹かれ、ずっと気にしていく。今どきの花で言えば、去年は、風もないのにかすかにゆれる萩だったのに、今年は、猛暑の中でも気丈に咲かせている百日紅(さるすべり)に目が行っているようなもの。

 新潟記念は、特にその傾向の強い重賞と言っていいだろう。実績馬には厳しいハンデ戦で、この10年でハンデ頭は、2011年のナリタクリスタルが57.5キロで勝ったのと、16年アルバートドック58キロが2着に入った2頭だけが連対を果たし、だいたいが苦戦してきた。それに、出走馬たちの目標が様々だということも、レースを難しくしている。

 ここを勝ってサマー2000シリーズチャンピオンになったものは、昨年のブラヴァスで7頭になるが、チャンピオンの資格は、1勝以上かつ合計13ポイント以上となっているから、最終戦でポイントを上乗せして目標を達成することも可能だ。

 今年はトーセンスーリヤとショウナンバルディがこれに該当する。トーセンスーリヤは函館記念を勝って10ポイント。3馬身差の圧勝で、あそこまで強くなっているとは驚かされた。昨年、新潟大賞典を勝っていてコースは問題ないが、57.5キロのハンデがどうか。ショウナンバルディは6ポイント。勝てばチャンピオンになれる。前走の小倉記念5着より、今度はゆったり走れるのは間違いなく、3走前の鳴尾記念2着のような渋太さで頑張れる。近3走はGIII戦で好走しており、ハンデ差を生かすチャンスとみた。

 これまでの勝ち馬を見ると、「春にGIを戦って休養していたもの」、「春、クラシックを走った後、休んでいた3歳馬」、「春に勝ってオープン入りし休養していたもの」と馬体調整に専念したものが多い。

 軽ハンデと言えば、3歳馬になるが、53キロのラーゴムは、春の二冠は大敗だったが、きさらぎ賞を勝った力量は無視できない。ステイゴールドの血を引くオルフェーヴルが父だから、これから期待できる。真面目に走りすぎるのがマイナスに働いていたそうで、どこまで解消されているか、可能性を感じる。「ここではっきり弾みつく」ではないが、これからの注目馬を見つけるレースだ。

 新潟記念はこの2年は、キングカメハメハ産駒が、ディープインパクト×アパパネの良血ジナンボーを破っている。2019年は豪脚でユーキャンスマイルにクビ差に迫ったジナンボーは、昨年は中団から早目に動き、ブラヴァスにアタマ差といずれも2着だったが、今年はこの全弟ラインベックが54キロで出てきた。アパパネの3番仔で、前走は半年ぶりの実戦で久々の芝の3勝クラスを、逃げて上がり33秒0の脚で完勝。左回りは得意としている。残り少ないディープインパクト産駒の巻き返しもふと頭に浮かんだのだが、果たして。

「可能性 ここではっきり 弾みつく」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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