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競馬の歴史が風化しないよう綴り続ける使命感

  • 2021年09月18日(土) 12時00分

「去る者は日日に疎し」にならないよう書き留めておきたい


 今週のJRAは3日間開催。でも、まずは台風の動きが気になるところです。3日とも無事に行われるといいのですが…。

 さて、先週の当コラムに、先日亡くなった深澤弘アナウンサーのことを含め、今から30年以上も前の話を書きました。

 なにしろ昭和の時代のことですから、私とほぼ同世代の方々にとっては懐かしいと感じていただける話題だったでしょう?

 ところが、競馬を始めたのが平成になってからという方々には、「何のことやら」という内容でしたよね。

「去る者は日日に疎し」という言葉があるとおり、昔の話はどこかに書き留めておかないと、どんどん忘れ去られてしまいます。

 それで私は、『週刊競馬ブック』に、競馬放送の事始めや、地図に表記された今はなき競馬場のこと、戦時中の無観客競馬、場外馬券売場の変遷など、競馬史にまつわる話を相次いで寄稿しています。

 現在連載中の高知競馬の歴史をたどる記事は、来週21日発売号で完結します。

 そういう話を書いても、どなたがおもしろがって読んでくださるのかわかりません。でも、とにかく誰かが書かないと忘れられてしまうに違いないと思い、いわば勝手な使命感に駆られて、あれこれネタを考えては書き記している次第です。

 ネタにするかどうかは別として、競馬情報週刊誌や競馬新聞にしても、さまざまな変遷、紆余曲折があります。

 例えば、かつては『東京スポーツ』が『レースポ』という中央競馬専門紙を発売していた、とか、『報知新聞(今の『スポーツ報知』)』が同じく専門紙の『競馬報知』と『週刊競馬報知』(『競馬ブック』や『Gallop』のような情報誌)を出していた、なんていうことは、もうほとんど忘れられちゃったのではないでしょうか。

 また、国会図書館のホームページで検索してみると、『週刊馬』(『ホースニュース馬』の週刊誌)や『競馬研究』(『競馬ブック』が出していた専門紙とは無関係)、『競週地方競馬』といった、昭和に発行されていた競馬雑誌が出てきます。

 これらの雑誌は、調べ事の参考資料としてたびたび閲覧していますが、残念なのはすべての“号”が完璧に所蔵されていないこと。これは、昔の新聞などにもよくあることなのですが…。

 でも、それらを一度読み始めたらタイヘン。昔懐かしい馬の名前や成績はもちろん、興味深い記事がたくさん見つかって“底なし沼”にはまり込んだ感じになるんです。

「そんなことはどうでもいい。目の前のレースが当たればいいんだから」という方々が多いに決まっているでしょうが、きっと何人かの方には、「へぇー」とか「そんなことがあったんだ」と思っていただけるはず。そう信じて、これからも書き記していくつもりです。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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