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日本馬が出走予定のブリーダーズカップ展望

  • 2021年10月06日(水) 12時00分

今週はBCスプリントとBCディスタフの見どころをご紹介


 11月5日と6日の両日にわたって、今年はカリフォルニア州のデルマー競馬場を舞台に、アメリカ競馬におけるシーズンのクライマックスとなるブリーダーズCが開催される。日本調教馬が出走する可能性があるレースについて、今週と来週の2回に分けて見どころをご紹介していきたい。

 まずは、マテラスカイ(牡7)が出走するダート6FのG1ブリーダーズCスプリントから。

 既に海外で6戦をこなし、勝利こそ手にしていないものの、19年のG1ドバイゴールデンシャヒーン(d1200m)で2着、サウジアラビアのリヤドダートスプリント(d1200m、20年はサウジアカップ)でも20年、21年と2年連続で2着に入るなど、確固たる実績を残しているのがマテラスカイだ。

 アメリカのダート短距離戦線は、8月28日にサラトガで行われたG1フォアゴーS(d7F)を、ヤウポン(牡4、父アンクルモー)が快勝。BCスプリントを目指す古馬の代表格を務めるものと見られていたが、好事魔多し。9月24日の調教中に左後肢の種子骨を骨折し、現役の引退と、スペンドスリフトでの種牡馬入りが発表されている。

 古馬の大物を欠くことになった戦線を新たに牽引するのは、3歳世代のジャッキーズウォリアー(牡3、父マクリーンズミュージック)だ。2歳6月にデビューするや、G1ホープフルS(d7F)、G1シャンパンS(d8F)という2つのG1を含む4連勝をマーク。

 東海岸におけるケンタッキーダービー候補の筆頭に挙げられたのがジャッキーズウォリアーで、2歳最終戦のG1BCジュヴェナイル(d8.5F)で4着に敗れて連勝が止まり、3歳になると3冠路線には向かわずに短距離路線にシフト。6月にチャーチルダウンズで行われたG1ウッディースティーヴンスS(d7F)で2着になると、以降は、夏のサラトガに組まれたG2アムステルダムS(d6.5F)とG1・H.アレン・ジャーケンスS(d7F)、そして9月25日にパークスで行われたG2ギャラントボブS(d6F)を3連勝。BCスプリントへ向けた前売りで、オッズ2.375倍〜2.625倍の1番人気に推されている。

 続いて、6倍〜8倍のオッズで2番人気に推されているのが、サラトガのG1フォアゴーSでヤウポンの2着となったフィレンツェファイア(牡6、父ポセイドンズウォリアー)だ。

 日本の競馬ファンの中にも、フォアゴーSの映像をご覧になった方はたくさんおられると思うが、直線残り120m付近で、内側にいたヤウポンに噛みつきにいった挙句に、2着に敗れたのがフィレンツェファイアである。2歳時に制したG1シャンパンS(d8F)を含めて9つもの重賞を制している実績馬で、BCスプリントは19年が5着、20年が3着だった。この後は、10月9日にベルモントパークで行われるG2ヴォスバーグS(d6F)から、BCスプリントに向かう予定だ。

 マテラスカイは現在のところ、34倍前後のオッズとなっている。

 続いて、マルシュロレーヌ(牝5、父オルフェーヴル)が出走を予定するのが、牝馬限定のG1ブリーダーズCディスタフ(d9F)だ。大腿屈筋を傷めて休養中で、ここは間に合わないだろうと見られていた、18年と20年のBCディスタフ勝ち馬モノモイガール(牝6、父タピザー)が、9月21日の調教後に右前脚種子骨に亀裂骨折を発症したことが判明。現役を退くことになった。一時代を築いた名牝の引退で、北米牝馬ダート中距離戦線の勢力図も、塗り替えられることになる。

 現時点で戦線のトップにいるのがレトルースカ(牝5、父スーパーセイヴァー)だ。4歳の夏から重賞戦線に顔を出し、5歳となった今季に本格化した遅咲きの名牝がレトルースカだ。今年4月にオークローンパークで行われたG1アップルブロッサムH(d8.5F)で、女王モノモイガールを2着に退けてG1初制覇を達成。以降は、ベルモントパークのG1オグデンフィップスS(d8.5F)、チャーチルダウンズのG2フルールデリS(d9F)、そして8月28日にサラトガで行われたG1パーソナルエンスンS(d9F)まで、破竹の4連勝を飾っている。この後、10月10日にキーンランドで行われるG1スピンスターS(d9F)から、BCディスタフに向かう予定のレトルースカを、ブックメーカー各社はオッズ2.625倍〜2.75倍の1番人気に支持している。

 続いて、オッズ5.0倍〜6.5倍の2番人気に推されているのが、現3歳世代の代表格と目されるマラサート(牝3、父カーリン)だ。シャドウェルの自家生産馬で、トッド・プレッチャーの管理下に入った同馬は、2歳10月にデビュー。ベルモントパークのメイドン(d7F)、アケダクトのLRテンプテッドS(d8F)、アケダクトのG2ドゥモアゼルS(d9F)、キーンランドのG1アッシュランドS(d8.5F)と、少しづつハードルを上げながら無敗の連勝街道を突き進み、チャーチルダウンズのG1ケンタッキーオークス(d9F)も手中に収めて牝馬3歳世代の頂点に立った。続いて出走したサラトガのG1CCAオークス(d9F)で頭差の2着に敗れて連勝は止まったが、8月21日に同じくサラトガで行われたG1アラバマS(d10F)を快勝している。

 マルシュロレーヌには現段階で、34〜41倍のオッズが提示されている。今年のブリーダーズCには更に、ラヴズオンリーユー(牝5、父ディープインパクト)が参戦を予定している他、ヴァンドギャルド(牡5、父ディープインパクト)も遠征を検討中と言われている。ラヴズオンリーユーは、牝馬限定のG1BCフィリー&メアターフ(芝11F)とG1BCターフ(芝12F)の両睨みと言われている一方、ヴァンドギャルドがターゲットとするのがG1BCマイル(芝8F)だ。来週のこのコラムでは、この3レースの展望をお届けしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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