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【池添学調教師】「能力なら秋華賞を勝って不思議ない」 ローズS完勝、アンドヴァラナウトの底力

  • 2021年10月10日(日) 18時02分
今週のface

▲アンドヴァラナウトを管理する池添学調教師、厩舎のGI初制覇なるか (C)netkeiba.com


秋華賞トライアル・ローズSを勝利したアンドヴァラナウト。重賞初挑戦ながらの完勝劇は、エアグルーヴ・グルヴェイグの血を引く彼女の素質がまさに開花された形ですが、大一番を前に指揮官の想像を超える成長ぶり。

能力があるがゆえに「大事にいこう」。主戦の福永祐一騎手ともそう約束を交わし、一丸となってここまで歩んできました。打倒ソダシへ――指揮官の手応えに迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)

「すごくいいものを持っている」、デビュー時から高評価


──ローズSは完勝でしたね。ものすごい瞬発力でした。

池添 もともと能力の高い馬ですが、前走に関しては、福永さんの好騎乗の賜物ですね。完璧だったと思います。レースのあと、福永さんとも話していたんですが、「まさかこんなに早く大きいところを獲れるとは思わなかった」というのが正直なところで。

──そうなんですね。確かに、前走で1勝クラスを勝ち上がったばかりで、重賞はローズSが初挑戦。想像を超えてきたという印象ですか?

池添 はい。こんなに早く重賞を獲れるとは、本当に思っていませんでした。古馬になってからだろうなと思っていましたから。

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▲「こんなに早く重賞を獲れるとは」指揮官の想像を超える成長ぶり (C)netkeiba.com


──とはいえ、ここまで6戦して3勝2着3回とパーフェクト連対。まさに素質の成せる業ですね。良血馬として早くから注目を集めていた1頭ですが、入厩当初はどんな印象でしたか?

池添 牝馬らしいといいますか、線が細くて、気性的にもチャカチャカした感じで。乗っているのを見ても、ちょっと難しそうな馬だなという印象でしたね。

 でも、牧場の評価は高くて、「先々は絶対に走ってくるだろう」と。当時はまだ420キロ台で、体が能力に追いついていない感じでした。

──新馬戦は僅差の2着。手綱を取った福永騎手は、初戦からセンスを評価していましたね。

池添 新馬戦はちょっと粗削りな走りで、そのあたりは福永さんも口にしていましたが、能力に関しては、「すごくいいものを持っている」とおっしゃっていて。いい馬の背中をたくさん知っているジョッキーの言葉ですから、「大事にいったほうがいいね」という話をしました。

──12月の未勝利戦で2着したあと、思い切って春まで休ませたのが象徴的ですね。あの時期、素質のある馬を休ませるのは、なかなか難しい判断だと思いますから。

池添 新馬から続けて使って負けましたからね。その後、続けて未勝利戦を使って勝ったとしても、おそらく体は落ちていくでしょうし、仮に桜花賞に間に合ったとしても、かなり馬に無理をさせることになる。

 脚元もまだ固まっていませんでしたし、膝や球節に熱を持ちやすい馬だったので、無理をさせたら壊れてしまう可能性もありました。もともと古馬になってから走ってくれるだろうと思っていた馬なので、そこは迷わず休ませることを選択して。

──あそこで休ませたことが、確実に今につながっていますね。

池添 そうですね、はい。いい成長につながったと思います。

──休み明けの未勝利戦では、体も10キロ増えて順当勝ち。その後、夏の新潟で2000m(出雲崎特別1着)を使ったあたりは、やはり秋のGIを見据えてのことですか?

池添 新潟の2000mは確かにそうです。僕はマイルでいいんじゃないかと思っていたんですが、やはり能力の高い馬なので、オーナーサイドから「試すべきだ」という進言がありました。結果、直線では包まれるようなシーンがありながら、あの勝ちっぷりでしたからね。

 距離が延びてさらによくなったというか、あの一戦で「もう絶対に牝馬同士なら重賞でもやれる」という手応えを得た感じです。

乗り難しさはあるも、“一貫して福永騎手の手綱”という強味


──現時点で先生が感じる、この馬の強味とは?

池添 強味は、スタートセンスがいいことと、気持ちの強さを上手くコントロールでき始めたことですかね。ここにきて、瞬発力と気持ちの強さが上手く噛み合ってきた印象です。

 新馬、2戦目の頃はけっこう噛んでいましたが、福永さんがしっかり我慢を教えてくれて。正直、新馬で2着だったときは、「もう少し気分よく行かせれば勝ってただろう」と思ったりもしましたが(苦笑)、あそこで我慢を教えてくれたことが、今につながっているんだと思います。

──福永さんのレース後のコメントを見ると、最初の頃はハミ受けやコーナリングなどいろいろと課題を挙げていらっしゃいましたが、そのあたりも解消されつつありますか?

池添 いやぁ、そのあたりの乗り難しさはまだありますね。まだしっかり下でハミを受けているわけではないですから。ただ、そうだったとしても、福永さんはもう乗り慣れていますからね。

──それが何よりの強味かと。

池添 確かにね、今の時代、ずっと同じジョッキーが乗り続けることは少ないので。調教師としては、何も言わなくていいので楽ですよ(笑)。

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▲新馬戦から6戦すべての手綱を握ってきた福永騎手 (C)netkeiba.com


──秋華賞に管理馬を送り出すのは、2018年のサラキア(4着)に次ぐ2度目。今年は京都から阪神に舞台は移りますが、どんな競馬をイメージしていますか?

池添 阪神とはいえ内回りの2000mなので、やっぱりある程度の好位につけないとダメかなと思います。人気馬もきっと早め早めの競馬をすると思うので、それを見ながら競馬ができれば一番いいのかなと。

 まぁあくまで僕のイメージですし、あとは枠や並び次第で展開がまったく変わってきますからね。もう完全にジョッキーにお任せです。

──この秋は、京成杯AH(カテドラル)、ローズSと連勝し、池添厩舎自体も絶好調。この勢いに乗って…。GIでは何度も惜しいレースがあっただけに、初制覇に向けて強い思いがあるのでは?

池添 たまたま大きいところを2つ勝てたというだけで、決して厩舎自体が絶好調というわけではないです(苦笑)。それに、アンドヴァラナウトに関しては、とにかく無事に帰ってきてくれたらそれでいいです。

──以前、有馬記念の前にサラキアの取材をさせていただいたとき、「一発あると思うけどなぁ」とおっしゃっていて、本当に一発ありました(11番人気2着)。今回も先生の“予言”に期待しているのですが。

池添 そんなこともありましたねぇ。能力だけでいえば、勝っても全然不思議はないですよ。ただ、ソダシのようなアイドルホースを負かしてしまっていいものかと(苦笑)。

──いいんですよ、先生(笑)。

池添 そうですよね(笑)。もちろん勝ちたいです。馬自身、大きな上積みこそないですが、調子もよくて、前走の状態を維持できています。春は飼い葉食いが安定していませんでしたが、今はしっかり食べているので、体が極端に減ることもないと思いますしね。

 とにかく無事に走り切ってくれて、そこに結果がついてくれば最高ですね。

(文中敬称略)

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