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【秋華賞AI予想】この馬の取捨が明暗を分けそう! ソダシらに挑むAIの注目馬をチェック

  • 2021年10月11日(月) 18時00分

1番人気のシュネルマイスターが優勝(撮影:橋本健)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

近年は堅めの決着が目立っている


AIマスターM(以下、M) 先週は毎日王冠が行われ、単勝オッズ2.6倍(1番人気)のシュネルマイスターが優勝を果たしました。

伊吹 インパクトのある勝ち方でしたね。道中はずっと後方を追走していて、ゴール前の直線に入ってもなかなか前との差を詰められませんでしたが、最後の最後までしっかり伸びて差し切り勝ち。休養明け初戦だったことを考えても、上々の内容だったと思います。

M シュネルマイスターの上がり3ハロンタイムは33秒0。2位のサンレイポケット(6着)を0.5秒も上回る断然のトップです。

伊吹 現状ではこういう競馬が合っているのかもしれませんね。ただ、先行力が低い馬ではありませんし、もう少し長い距離も問題なくこなせそう。次走に予定しているマイルCSはもちろん、その後にどんなレースを選ぶのかも楽しみです。

M 2着のダノンキングリーも、アタマ差だけ及ばなかったとはいえ悪くない内容だったように思います。

伊吹 Aiエスケープが特別登録時点の注目馬に挙げていましたね。あの競馬なら見立て通りの好走と言って良いでしょう。

M やや出遅れたこともあり、スタート直後はシュネルマイスターより後ろにいたものの、向正面で一気に先団まで押し上げ、一旦は完全に抜け出しました。

伊吹 3着のポタジェ、4着のダイワキャグニー、5着のカイザーミノルは、いずれも4コーナーを4番手以内で通過した馬。結果的に差されてしまったとはいえ、あそこで動いたのは良い判断だったと思いますよ。

M もし動いていなかったら、シュネルマイスターと共倒れになっていた可能性もありそうです。

伊吹 たぶんそうなっていたでしょう。GI以外のレースで初黒星を喫したわけですが、能力の高さを改めて実感できましたし、次走以降も引き続き高く評価したいと思います。

M 今週の日曜阪神メインレースは、3歳牝馬三冠競走の最終戦となる秋華賞。昨年は単勝オッズ1.4倍(1番人気)のデアリングタクトが優勝を果たしました。

伊吹 他の上位人気馬も積極的に仕掛ける中、4コーナーで先団に取り付き、そのまま難なく抜け出しての勝利。4コーナー13番手のマジックキャッスルが2着に、4コーナー12番手のソフトフルートが3着に食い込んだことからもわかる通り、負かしにいった馬たちを完膚なきまでに叩き潰す横綱相撲でした。

M 近年は堅く収まりがちな印象です。

伊吹 実際、過去10年の優勝馬10頭中9頭は単勝3番人気以内の支持を集めていた馬。唯一の例外である2019年1着のクロノジェネシスも、単勝オッズ6.9倍の4番人気でした。



M 単勝1番人気馬の成績もまずまずですが、単勝2〜3番人気馬がわりと健闘していますね。

伊吹 より詳しく見てみると、単勝5番人気以内の馬は2011年以降[10-8-4-28](3着内率44.0%)、単勝オッズ15倍未満の馬は2011年以降[10-7-3-21](3着内率48.8%)です。一方、単勝6番人気以下の馬は2011年以降[0-2-6-119](3着内率6.3%)、単勝オッズ15倍以上の馬は2011年以降[0-3-7-126](3着内率7.4%)。1〜3着馬の順番を含め、波乱が起きづらいレースと言えるでしょう。

M そんな秋華賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、アンドヴァラナウトです。

伊吹 ほほう。なかなか興味深いところを挙げてきましたね。

M 桜花賞の2週後、今年4月25日に未勝利を勝ち上がった馬ですが、前哨戦のローズSで重賞初制覇を果たし、今回は上位人気馬の一角として参戦することになりそう。ただし、桜花賞馬のソダシが断然の人気を集めそうなので、連軸として狙う分には妙味ある存在と言えます。

伊吹 重視するにしろ軽視するにしろ、買い目作りのポイントになりそうな馬ですよね。今のところAiエスケープが高く評価しているという事実を踏まえたうえで、別角度からその信頼度を検証していきましょう。

M まずは強調できるポイントを教えてください。

伊吹 単純なところで恐縮ですが、関西馬である点は高く評価して良いと思います。



M ここ数十年の情勢や関西圏のレースであることを考えると当然かもしれませんが、関東馬は相当に苦戦していますね。

伊吹 勝ち切ったのは単勝オッズ1.3倍(1番人気)だった2018年のアーモンドアイのみですから、単勝回収率は2%弱。複勝回収率も14%にとどまっていました。

M ただ、2020年は単勝オッズ56.9倍(10番人気)のマジックキャッスルが2着に食い込んでいます。流れが変わりつつあるということはないのでしょうか。

伊吹 マジックキャッスルもアーモンドアイも、さらに言うなら2019年2着のカレンブーケドールも、国枝栄調教師の管理馬ですね。調教師の所属が美浦、かつ調教師が国枝栄以外の馬は2011年以降[0-1-1-63](3着内率3.1%)。今年は該当馬が多いので注意すべきでしょう。

M なるほど。では、ローズSを勝って臨む点についてはどうお考えですか?

伊吹 前哨戦で好走を果たしたという事実はポジティヴに解釈して良いと思います。大敗直後の馬はあまり強調できませんし。



M これだけ前走好走馬が上位を占めているとなると、堅く収まりがちなのも当然ですね。

伊吹 2018年以降の3着以内馬9頭はいずれも前走の着順が4着以内でした。ローズSの勝ち馬は2013年以降[0-1-1-5](3着内率28.6%)とやや期待を裏切りがちで、強調材料とまでは言えないのですが、無理に嫌う必要もないでしょう。

M レースの傾向からも信頼して良さそうに思えますが、何か不安要素はありますか?

伊吹 あとはもう、実績馬との力関係がどうかですね。近年の秋華賞はオークスで好走した馬の活躍が目立っています。



M 今年もアールドヴィーヴル、アカイトリノムスメ、タガノパッション、ユーバーレーベンが出走予定。このうえソダシもいるわけですから、新興勢力にとっては厳しい状況なのかもしれません。

伊吹 一応フォローしておくと、オークスにおいて5着以内となった経験がない、かつ“同年8月以降、かつJRA、かつ芝1700m超、かつ2勝クラス以上のレース”において1着となった経験のある馬は2017年以降[0-1-2-6](3着内率33.3%)。ここ2か月あまりのパフォーマンス次第では狙える印象でした。Aiエスケープが注目馬に挙げているくらいですし、能力が足りないということはないはず。私も相応のシルシを打つつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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