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【菊花賞AI予想】人気次第では狙い目!? レースの傾向からAIの注目馬を分析

  • 2021年10月18日(月) 18時00分

4番人気(単勝オッズ8.9倍)で秋華賞を勝利したアカイトリノムスメ


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

超人気薄の好走例はそれほど多くない


AIマスターM(以下、M) 先週は秋華賞が行われ、単勝オッズ8.9倍(4番人気)のアカイトリノムスメが優勝を果たしました。

伊吹 個人的に高く評価していた馬ですが、この人気なら素直に本命を打つべきだったと反省しています。発売金額の少ない単勝だけでなく、馬連や3連複、3連単1着付けの合成オッズでも4番手にとどまっていましたからね。

M 道中は先団を追走し、4コーナーを4番手で通過。ゴール前で先頭に立ち、そのまま後続の追撃を振り切りました。

伊吹 決して楽な展開ではなかったと思います。これまでより積極的な競馬だったにもかかわらず、上がり3ハロンタイムは出走メンバー中3位タイ。期待通りの素晴らしいパフォーマンスでした。

M 次走以降は古馬や牡馬と対戦することになります。

伊吹 今後も楽しみですね。秋華賞は阪神芝内回りのレースでしたが、東京芝のレースにも十分な実績がある馬。距離を含め、どんな条件にもある程度は対応できるタイプと見て良いでしょう。過小評価されていたら積極的に狙ってみようと思います。

M ちなみに、Aiエスケープが特別登録時点の注目馬に挙げていたアンドヴァラナウトは3着。勝ったアカイトリノムスメとは約1馬身差でした。

伊吹 見立て通りの健闘と言って良いんじゃないでしょうか。今年8月に1勝クラスを勝ち上がったばかりですが、前走のローズSも完勝でしたし、本当に力をつけています。

M こちらも今後が楽しみですね。

伊吹 ローズSを勝った直後の回でも触れましたが、2代母のエアグルーヴと3代母のダイナカールは現役時代にオークスを勝っている馬ですし、母のグルヴェイグも2012年マーメイドSの勝ち馬。そのうえノーザンテースト・トニービン・ディープインパクト・キングカメハメハと、各時代のトップサイアーが血統表に名を連ねています。まだまだ上積みがあるでしょうし、そのうちビッグタイトルに手が届くかもしれません。

M 今週の日曜阪神メインレースは、3歳牡馬クラシック競走の最終戦となる菊花賞。昨年は単勝オッズ1.1倍(1番人気)のコントレイルが優勝を果たしました。

伊吹 ゴール前の直線でアリストテレスに並びかけられ、脚色もまったくの互角に見えたのですが、あの状況から粘り切ったのには驚きました。それ以前とはまた違った凄みを感じさせる、三冠馬の称号に相応しい走りだったと思います。

M 2020年は3連単の配当も8740円にとどまりました。波乱の決着となった年もありますが、基本的には堅く収まりがちな印象です。

伊吹 過去10年の優勝馬を見ても、単勝オッズが10倍以上だったのは2015年のキタサンブラックと2018年のフィエールマンだけ。残る8頭はいずれも単勝3番人気以内の支持を集めていました。



M 単勝1番人気馬は勝率60.0%、3着内率80.0%。無理に逆らうべきではないかもしれません。

伊吹 ちなみに、単勝2〜7番人気の馬も2011年以降[4-7-6-43](3着内率28.3%)とまずまず健闘しています。一方、単勝8番人気以下の馬は2011年以降[0-3-2-105](3着内率4.5%)。超人気薄の伏兵が上位に食い込む可能性はそれほど高くないと見るべきでしょう。

M そんな菊花賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ハギノピリナです。

伊吹 ……うーん。面白い存在だとは思うのですが、残念ながら出走できるかどうかは微妙なところですね。

M 今春のオークスで3着に健闘したものの、収得賞金はまだ900万円。現時点では抽選対象になる見込みとなっています。ちなみに、2番手評価はレッドジェネシスです。

伊吹 こちらは優先出走権を確保していますね。一応、両馬について見ていきましょう。

M ハギノピリナは前走の紫苑Sで8着に敗れてしまいました。一方のレッドジェネシスは前哨戦の神戸新聞杯で2着に健闘。やはり基本的には前走好走馬を重視すべきなのでしょうか。

伊吹 その通りですね。過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、前走でも3着以内に好走していました。



M 思いのほかハッキリと明暗が分かれていますね。

伊吹 ご存知の通り、3000m以上のコースで施行されるJRAの平地GIは天皇賞(春)と菊花賞だけ。特殊な条件ということもあり、どうしても各馬の適性や潜在能力といった部分ばかりクローズアップされてしまいます。ただ、実際は勢いのある馬を素直に重視すべきレースなんです。

M 超人気薄の馬があまり上位に食い込めていないのも、こうした傾向のあるレースだからなんでしょうね。

伊吹 ハギノピリナのような馬を狙うのであれば、あえて狙うほどの妙味があるかどうかをしっかり確認してからにした方が良いと思います。まぁ、仮に出走できても穴人気と言えるほどの支持は集まらないでしょうし、無理に嫌う必要はなさそうですが。

M 実績面に関してはいかがでしょう。条件戦を勝ち上がったばかりの馬も少なくありませんから、ハギノピリナやレッドジェネシスは実績上位と言える存在です。

伊吹 GIやGIIで善戦したことがある点は単純に高く評価して良いと思います。条件クラスのレースはもちろん、オープン特別やGIIIのレースを主戦場としてきた馬も苦戦していました。



M 皐月賞以降の実績が明暗を分けているんですね。ただ、よく見るとハギノピリナはこの条件をクリアしていないような……。

伊吹 お気付きになりましたか。ハギノピリナはオークスの4コーナー通過順が13番手。GIやGIIでの好走経験は基本的に高く評価すべきなのですが、追い込みで上位に食い込んだことしかない馬はあまり強調できません。ハギノピリナに関してはこの点も少々気掛かりです。

M 一方のレッドジェネシスは、ここまでのお話を伺う限りだと信頼して良さそうに思えます。

伊吹 レッドジェネシスは既にキャリア9戦である点をどう見るかですね。2013年以降の過去8年に限ると、条件クラスを勝ち上がるのに時間がかかった馬や、使い詰めでクラシック戦線を戦ってきた馬は苦戦していました。



M レッドジェネシスは初勝利がデビュー4戦目。今年5月の京都新聞杯が重賞初出走だった馬です。

伊吹 ただ、その京都新聞杯を快勝していますし、戦績からもおそらくは叩き良化型。ある程度はAiエスケープの評価を素直に信じて良いんじゃないでしょうか。ハギノピリナの扱いを含め、出馬表やオッズが出てからもう一度じっくり考えるつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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