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【天皇賞・秋AI予想】好走馬の傾向からも魅力十分!? 一角崩しを目論むAIの注目馬

  • 2021年10月25日(月) 18時00分

後続を突き放す逃げで優勝したタイトルホルダー(C)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

基本的には堅く収まりがちなレース


AIマスターM(以下、M) 先週は菊花賞が行われ、単勝オッズ8.0倍(4番人気)のタイトルホルダーが優勝を果たしました。

伊吹 素晴らしい勝ちっぷりでしたね。スタート直後から気合を付けてハナに立ち、レースの中盤ではしっかり脚を溜め、ゴール前の直線に入ってすぐ後続を突き放すという内容。実績ある逃げ馬にあんな競馬をされてしまったら、他の馬はもう何もできませんよ。

M 2着のオーソクレースとは5馬身差でした。

伊吹 タイトルホルダーの上がり3ハロンタイムは35.1秒。一方、上がり3ハロンタイム順位1位タイのステラヴェローチェとアサマノイタズラは34.7秒、単独3位のオーソクレースも34.8秒にとどまっています。道中のポジションがあれだけ離れていたにもかかわらず、終盤の脚色には大きな差がなかったんです。

M 奇襲としての逃げがハマったのではなく、あの逃げによってこの馬の能力がしっかり引き出されたということなんでしょうね。

伊吹 昔話で恐縮ですが、私はセイウンスカイが勝った1998年の菊花賞を思い出しました。そう言えば、当時セイウンスカイに騎乗していたのは、横山武史騎手の父である横山典弘騎手ですね。

M ちなみに、横山武史騎手は1998年12月22日生まれ。セイウンスカイが制した菊花賞の44日後です。

伊吹 ……時が流れるのって早いなぁ(笑)。ともあれ、完璧にレースを進めた横山武史騎手も、それに応えたタイトルホルダーも、本当にお見事でした。

M ようやくGIのタイトルを獲得しましたし、今後が楽しみですね。

伊吹 もともと弥生賞や皐月賞で強い競馬をしていた馬ですから、正直なところ今回は阪神芝内回りという舞台設定も有利に働いたと思います。有馬記念や来年の大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念あたりを使ってきたら、相応に高く評価せざるを得ません。ただ、さすがにその辺のレースでは注目を集めてしまいそう。オッズやメンバー構成を踏まえたうえで、上手に付き合っていきたいところです。

M 今週の日曜東京メインレースは、下半期の芝中距離チャンピオン決定戦と位置付けられている天皇賞(秋)。昨年は単勝オッズ1.4倍(1番人気)のアーモンドアイが優勝を果たしました。

伊吹 私は素直に本命視しましたが、こちらも凄みを感じる勝ちっぷり。ゴール直前でフィエールマンやクロノジェネシスが迫ったものの、ゴール前の直線半ばまで“持ったまま”だったこともあり、危なげなく押し切りました。

M その2020年は3連単の配当が4130円。同じくアーモンドアイが制した2019年も、3連単の配当は8860円にとどまりました。やはり、堅く収まりがちなレースと見ておくべきなんでしょうか。

伊吹 その通り。人気薄の馬はほとんど上位に食い込めていません。


M 過去10年まで遡っても、単勝7番人気以下で馬券に絡んだ馬は4頭しかいないんですね。

伊吹 もっと言うと、単勝8番人気以下の馬は2011年以降[0-1-1-90](3着内率2.2%)でした。2011年以降の天皇賞(秋)は、平均出走頭数が16.2頭。単勝人気順が出走頭数の半分より下にとどまっているような馬は、よほどの理由がない限り買い目から外すべきなのかもしれません。

M そんな天皇賞(秋)でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ワールドプレミアです。

伊吹 おおっ、絶妙なところを挙げてきましたね。さすがに単勝8番人気以下ということはなさそうですが、積極的に狙うならば妙味がありそう。

M 2019年の菊花賞と2021年の天皇賞(春)を勝っているとはいえ、3000m未満の重賞では今のところ3着が最高。東京のレースもまだ2020年のジャパンカップ(6着)しか使っていませんし、コース適性を不安視されているように思います。

伊吹 今回は約6か月の休養明けでもありますからね。Aiエスケープが有力視しているという事実を踏まえたうえで、レースの傾向と照らし合わせていきましょう。

M 既にGIを制した経験のある実績馬ですが、やはりこの点は高く評価すべきなのでしょうか。

伊吹 そうした方が良いと思います。過去10年の天皇賞(秋)で好走を果たした馬の大半は、GIで優勝争いに絡んだことがあった馬です。


M GIで勝ち馬から0.1秒差以内というのは、相当に高いハードルですね。

伊吹 近年は特にこの傾向が強まっています。2016年以降の過去5年に限ると“JRA、かつGIのレース”において“着順が1着、もしくは1位入線馬とのタイム差が0.1秒以内”となった経験のない馬は[0-0-0-31](3着内率0.0%)でした。少なくとも、ビッグレースで好走したことがない馬よりは上位に評価するべきでしょう。

M 馬齢が5歳である点はどうですか。

伊吹 強調材料のひとつと見て良いんじゃないでしょうか。過去10年の3着以内馬30頭中27頭は4〜5歳馬でした。


M ハッキリと明暗が分かれていますね。

伊吹 2015年以降の過去6年に限ると、馬齢が4〜5歳でなかった馬は[0-0-0-35](3着内率0.0%)。こちらも近年になって強まりつつある傾向です。

M ビッグレースで優勝を争ったことがある4〜5歳馬となると、狙うべき馬はだいぶ限られてきます。そのうちの一頭である点は心強いですね。

伊吹 一応、不安要素もないわけではありません。2017年以降の過去4年に限ると、前走で積極的な競馬をした馬はやや苦戦していました。


M 前走の4コーナーを5番手以内で通過した馬はほとんど連対できていませんね。

伊吹 さらに言うと、前走の条件が国内、かつ前走の4コーナー通過順が5番手以内、かつ“前年以降、かつ東京、かつGIのレース”において“着順が3着以内、かつ上がり3ハロンタイム順位が6位以下”となった経験のない馬は2017年以降[0-0-1-21](3着内率4.5%)です。2019年3着のアエロリットあたりをイメージしていただければと思いますが、先行粘り込みのスタイルを貫きつつ東京のビッグレースで善戦できるくらいの馬でないと、積極的な競馬をした直後の馬は強調できません。

M そういうタイプではない分、ワールドプレミアは割り引きが必要ということでしょうか。

伊吹 はい。ただ、基本的に差し馬が強いレースと解釈するならば、あまり心配する必要はないのかも。ましてや、Aiエスケープが高く評価している馬ですからね。私もオッズ次第では重いシルシを打とうと考えています。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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