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例年にも増して豪華なラインナップの「タタソールズ・ディセンバーセール」

  • 2021年10月27日(水) 12時00分

主役は後半の11月29日から登場する牝馬たち


 11月22日から12月2日まで、英国のニューマーケットで開催される「タタソールズ・ディセンバーセール」の上場馬が出揃った。この市場のメインとなる上場馬は、後半の11月29日から12月2日にかけて登場する牝馬たちなのだが、前半の24日から27日まで開催される「当歳セッション」も、なかなかにホットな品揃えとなっている。

 種牡馬別で見ると、ダークエンジェルの産駒が22頭、ドバウィ産駒が4頭、フランケル産駒が6頭、キングマン産駒が3頭、ノーネイネヴァー産駒が6頭、シユーニ産駒が5頭、ウートンバセット産駒が5頭など、1歳馬のセレクトセールかと見紛うほど、トップサイアーの仔が顔を揃えている。また、今年の当歳が初年度産駒となる新種牡馬の子供たちを見るのも、当歳馬セールの楽しみである。

 連覇を果たしたG1キングズスタンドS(芝5F)などスプリントG1を4勝したブルーポイントの産駒が17頭、19年のワールドベストレースホースランキング1位クリスタルオーシャンの産駒が3頭、G1コモンウェルスC(芝6F)勝ち馬エクティダールの産駒が20頭、G1英2000ギニー(芝8F)などマイルG1・2勝のマグナグリーシアの産駒が20頭、愛国産ディープインパクト産駒としてG1仏ダービー(芝2100m)を制したスタディオブマンの産駒が5頭、G1ジュライC(芝6F)などスプリントG1を2勝したテンソヴリンズの産駒が15頭、18年の欧州2歳牡馬チャンピオン・トゥーダーンホットの産駒が13頭、G1凱旋門賞(芝2400m)など4つのG1を制したヴァルトガイストの産駒が6頭など、新種牡馬の初年度産駒がマーケットでどのような評価を受けるか、実に興味深い。

 しかし、ディセンバーセールの主役は、冒頭でも記したように、11月29日から登場する牝馬たちである。

 今年のヨーロッパで言えば、G1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)を制したドリームオブドリームズの母ヴァシラ、G1パリ大賞(芝2400m)など3つのG1を制したハリケーンレーンの母ゲイルフォース、G1プリンスオブウェールズS(芝9F212y)勝ち馬ラブの母ピカブー、G1ロワイヤリュー賞(芝2800m)を制したラビングドリームの母キサブル、G1デューハーストS(芝7F)など2つのG1を制したネイティブトレイルの母ニードルリーフ、G1ミドルパークS(芝6F)を制したパーフェクトパワーの母セイジリー、G1愛チャンピオンS(芝10F)など5つのG1を制したセントマークスバシリカの母キャバレー、G1ゴールドC(芝19F210y)勝ち馬サブジェクティビストの母レッコニング、G1チェヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬テナブリズムの母イモータルヴァーズ、G1マルセルブーサック賞(芝1600m)を制したゼリーの母サライらが、このセールで購買されている繁殖牝馬たちである。ちなみに近年の日本では、19年のG1日本ダービー(芝2400m)勝ち馬ロジャーバローズの母リトルブックが、タタソールズ・ディセンバーセールで購買されて日本にやってきている。

 そして今年も、フランケルを受胎した牝馬が6頭、キングマンを受胎した牝馬も6頭、シーザスターを受胎した牝馬が4頭、日本でGI宝塚記念2着馬ユニコーンライオンを送り出したノーネイネヴァーを受胎した牝馬が5頭いるなど、最高品質の上場馬が揃っている。例えば、ジャドモントからの上場馬となる1425番のタシトリー(牝4、父ドバウィ)は、母がG1ファルマスS(芝8F)勝ち馬タイムピースで、受胎しているのがフランケルだ。あるいは、上場番号1693番のコスモポリタンクイーン(牝6,父ドバウィ)は、G1インターナショナルS(芝10F56y)勝ち馬アラビアンクイーンの全妹で、キングマンを受胎している。

 上場番号1746番のミステリーエンジェル(牝3,父コーディベア)は、今年のG1英オークス(芝12F6y)2着馬だ。もう1年現役で走らせるか、このまま繁殖にあげるかは、購買した人の意志次第である。1771番のハヴアグッドデイ(牝2,父アダーイ)は、今年8月にドーヴィルで行われたG3カブール賞(芝1200m)の勝ち馬で、1774番のコラゾン(牝2,父マーカズ)は、今年9月にパリロンシャンで行われたG3アランベール賞(芝1000m)の勝ち馬。さらに、1798番のフロータス(牝2,父スタースパングルドバナー)は、今年9月にニューマーケットで行われたG1チェヴァリーパークS(芝6F)の2着馬である。いずれも、来年のロイヤルアスコットを舞台とした3歳馬限定のG1コモンウェルスC(芝6F)が視野に入る馬たちだろう。

 1810番のサンデータイムス(牝12、父ホーリーローマンエンペラー)は、北米でG1ジャストアゲームS(芝8F)など2つのG1を制しているニュースペーパーオブレコードの母だ。同馬はロペデヴェガを受胎しての上場で、順調なら来春にはニュースペーパーオブレコードの全弟か全妹が誕生する。1822番のタイガータナカ(牝3,父クロドヴィル)は、昨年のG1マルセルブーサック賞(芝1600m)勝ち馬で、1840番のカイエンペッパー(牝4,父オーストラリア)は昨年のG1愛オークス(芝12F)2着馬だ。タイガータナカやカイエンペッパーは、「現役上がり」というカテゴリーでの上場となる。

 1837番のブロンドミー(牝9,父タマユズ)は、G1EPテイラーS(芝10F)勝ち馬で、現在はシユーニを受胎中。1839番のヴァルドリード(牝6,父ニューアプローチ)は、G1凱旋門賞など4つのG1を制したヴァルトガイストの半妹で、キングマンを受胎中。1876番のアメージングマリア(牝10、父マスタークラフツマン)は、G1ファルマスS(芝8F)やG1ロートシルト賞(芝1600m)の勝ち馬で、オアシスドリームを受胎中だ。

 ニューマーケットのディセンバーセールで、どのようなマーケットが展開されるか、ぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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