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【天皇賞・秋】「難しい場面でもロスなく御せた」横山武史騎手が2週連続のGI制覇!

  • 2021年11月02日(火) 18時00分
哲三の眼

横山武史騎手が菊花賞に続きGI制覇 (撮影:橋本健)


秋の天皇賞は3番人気エフフォーリアが勝利、鞍上の横山武史騎手は先週に引き続いてのGI制覇となりました。レースを振り返り、最初のコーナーでの攻防や直線での3頭の追い比べなど「とても見ごたえがあり面白かった」と語った哲三氏。上位人気のグランアレグリア、コントレイルの走りにも触れながら詳しく解説します。

(構成=赤見千尋)

この若さで、GIで上手く結果を出せるジョッキーは少ない


 秋の天皇賞は3番人気だったエフフォーリアが勝ちました。ダービーからの休み明けでしたが、エフフォーリアの成長を感じましたし、鞍上の横山武史君は先週の菊花賞に続いて2週連続のGI制覇と、本当に勢いがありますね。武史君はダービーで負けて、相当悔しい想いをしたと思いますが、そこからしっかり自分の中で整理して、この短期間で結果を出しました。先週も話しましたが、この若さで、GIで上手く結果を出せるジョッキーは少ないと思います。

 レースは上位人気3頭が強いと思っていましたが、その通りの好レースになりましたね。まずはスタートして最初のコーナーでの攻防で、グランアレグリアのクリストフ(・ルメール騎手)が2番手に付けました。ゲートが決まればハナに行くスピードはある馬だと思っているので、「もしかしたらハナを狙っているかもしれないな」とちょっとだけ感じていたのですが、でもさすがにハナまではないかと思っていたら、絶好の2番手で競馬をしました。

 結果的に3着に敗れはしたものの、良馬場発表とはいえ雨が降ったこともあり、後ろからでは末脚は鈍るだろうというイメージがありましたから、そこを先行した判断は僕は好きですね。

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「絶好の2番手」で競馬をしたグランアレグリア (撮影:橋本健)


 話を最初のコーナーでの攻防に戻しますが、クリストフが外から2番手を取って、前半60秒くらいのラップで流れましたから、コーナーの入り口で武史君は控えざるをえない形になったんです。難しい場面だったと思いますが、そこを上手くやりくりして、ロスなく御せたことが直線の伸び脚に繋がったと思います。

 いつも言っていますが、スタートをしっかり出してスピードに乗せている分、流れの中で上手く立ち回ることが出来たのではないでしょうか。そして、その場面で武史君が引いたあおりを一番受けたのは、1枠1番からスタートしたコントレイルでしょう。

 コーナーで外からポジションを取られると、どうしても内の馬は窮屈になりがちです。クリストフも武史君も流れの中でポジションを取っているので、ルール違反的に他の馬の邪魔をしているわけではないですが、もしもクリストフが2番手に行かなければ、エフフォーリアと武史君はもう少し前の位置に進めていたと思いますし、そうすると内枠の祐一君ももう少し楽だったのではないかと。ここの駆け引きは大きかったと思います。

哲三の眼

1枠1番からスタートしたコントレイルは2着 (撮影:橋本健)


 もちろん直線の追い比べも見ごたえがありましたが、改めて最初の150mから200mは大事だなと感じました。コントレイルに関しては内枠の難しさが出た形で、パンパンの良馬場ならば内をすくっていく選択肢もあったかもしれませんが、今回の馬場ならば外に出しに行くという選択で、実際の出し方もスムーズでした。それでも最後に交わせなかったのは、展開的な側面もあると思います。

 レース前からこの3頭が強いだろうと思っていましたが、展開的にも読むのが難しかったです。その中でクリストフが前に行って、最初のコーナーでの攻防があり、最後の直線は3頭の追い比べという、とても見ごたえのあるレースで面白かったです。

哲三の眼

エフフォーリアの口取りの様子 (撮影:橋本健)



(文中敬称略)

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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