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1日あたりの売得金レコードを更新した第2回JBC2歳優駿デー

  • 2021年11月04日(木) 18時00分

勝ちこそJRA勢に譲ったが、地元勢が掲示板内に3頭と健闘


 JBC2歳優駿は、昨年からこの名称に変更し、グレードアップして、全国持ち回りで開催されるJBCの一環として実施されるようになった。距離1800m。1着賞金3000万円。今年のJBCが日中開催の金沢で行われたため、門別のJBC2歳優駿も発走時刻を午後3時40分、第5レースに変更された。

 開門は午前10時。第1レース発走は12時20分。その後は30分間隔で発走し、午後1時50分に第4レースが発走すると、午後3時40分のJBC2歳優駿までの1時間50分を金沢のJBCレディスクラシック(午後2時15分)、JBCスプリント(午後3時00分)の発走時間に合わせて、間を空けた。

生産地便り

JBC2歳優駿直前のスタンド風景


 この日の門別は、幸いにもこの時期としては風もほとんどなく、終日太陽光が降り注ぎ、昼間は上着も必要ないほどの小春日和であった。競馬にはもってこいの天候に恵まれ、第1レースから場内には事前申し込みで当選したファンが早々と来場し、熱心に観戦していた。

 いつもとは少し違った華やいだ雰囲気も漂う中、午後3時を回った頃には、パドックにJBC2歳優駿に出走する14頭が厩務員に引かれて姿を現した。

 JRAからの遠征馬が5頭、対する地元勢が9頭という内訳である。キャリアの浅い2歳馬同士の対決とあって、非常に予想の難しいレースであった。人気もかなり割れた。

 1番人気は地元勢のナッジで4.4倍。すでに8戦のキャリアを持つフェノーメノ産駒で、前走サンライズカップ(9月30日、1800m)まで3連勝中と上り調子の馬だ。鞍上は阪野学騎手。

 2番人気はそのナッジに惜敗したシャルフジン(服部茂史騎手)、4.7倍。続いてJRAのアイスジャイアント(三浦皇成騎手)、5.5倍。そして地元勢リコーヴィクター(笹川翼騎手=大井)、6.4倍。JRAのコマノカモン(田辺裕信騎手)、8.2倍と10倍を切るのが以上5頭であった。

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パドックでのアイスジャイアントの様子


 14頭がパドックからコースに出て、返し馬からスタート地点に向かう。晩秋の太陽はすでに西に大きく傾いて、逆光がきつい。定刻午後3時40分。大井競馬から出張してきたトゥインクルファンファーレ隊の生演奏によるファンファーレが晴れた青空に響きわたる。

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馬場入りするアイスジャイアント


 順調に枠入りが進み、各馬一斉にスタートした。まず先行したのは地元勢の3番エンリル(宮崎光行騎手)、それに並びかけるように13番シャルフジン、そして5番コマノカモン、9番モーニングショー(阿部龍騎手)、JRAの10番オディロン(池添謙一騎手)が追走して行く。

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JBC2歳優駿スタート直後


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JBC2歳優駿1コーナー通過


 向正面から3コーナー、そして4コーナーまでエンリルが先頭をキープし、シャルフジン、位置取りを上げた14番ダイナソー(松井伸也騎手)がそれに迫るも、直線に向かうと各馬が横に広がり、残り1ハロン地点では、最内に4番ナッジ、その外にシャルフジン、リコーヴィクター、オディロンなどの追い比べとなった。

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JBC2歳優駿ゴール前


 そんな各馬の外を一気に強襲してきたのが2番アイスジャイアント。キャリア1戦ながらも、中京のダート1800m新馬戦を1分52秒9の好タイムで駆け抜けた実力は伊達ではなかった。1分53秒0のタイムでアイスジャイアントが抜け出して先頭でゴールイン。1馬身2分の1差でナッジが2着。さらに1馬身遅れてリコーヴィクターが3着。以下4着にオディロン、5着シャルフジンという着順であった。

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レース後のアイスジャイアントと三浦皇成騎手


 勝ったアイスジャイアントは、父ダンカーク、母アイスドール、母の父キャプテンスティーヴという血統の栗毛牡馬。前述の通り、三浦皇成騎手が騎乗。高柳瑞樹厩舎の管理馬。生産はノーザンファーム、馬主は吉田勝己氏。これで2戦2勝。獲得賞金を3700万円とした。

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▲▼1と1/2馬身差で勝ったアイスジャイアント


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 今年は中央勢に軍配が上がったとはいえ、2着と3着、5着に地元のホッカイドウ勢が入り、十分見せ場は作ってくれたという印象である。

 三浦皇成騎手は「二戦目で重賞制覇はアイスジャイアントにとっても良い経験になったと思います。終始、落ち着いていましたし、良い感触で競馬に臨めました。渋った馬場でタフな状態だったので、脚の使いどころを考え、慎重に乗らせて頂きました」と勝利騎手インタビューに答えていた。

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1日当たりの売上新記録となったJBC2歳優駿


 また高柳師は「長距離輸送によく耐えて、良いコンディションでした。まだ二戦目で未知なところもあるのですが、なかなかいい根性をしていると思います。過去のレースを見ても、馬場状態からも、ある程度の位置にいなければ勝てないと思っていたのですが、ペースも速かったし、三浦騎手が早めから追い上げてくれたので、彼の好判断で勝てました。今後に関してはオーナーと相談して考えたいと思います」とレース後、コメントしていた。

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表彰式後の記念写真


 今年のJBCデーは、金沢とのコラボであったため、第5レースにJBC2歳優駿が組まれる変則的な番組構成となったものの、午後8時の最終12レースまで順調に馬券が売れ続け、終わってみれば、昨年同日を上回る18億2199万2390円(SPAT4LOTOを含む)の1日当たりの売上新記録となった。

 なお、今日、11月4日で、ホッカイドウ競馬の今年度開催が終了する。改めて来週、シーズンを通じての総括をしたいと思う。手元の計算では、この11月3日で、今年度の売上が昨年に続き500億円の大台に乗っているはずである。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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